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電算システム Research Memo(3):総合型情報処理サービス企業としてワンストップでサービスを提供

注目トピックス 日本株
■事業セグメント別動向

(1)情報サービス事業

a)事業の概要
電算システム<3630>の情報サービスセグメントは、「SI・ソフト開発」「情報処理サービス」及び「商品販売」の3つに細分される。このうちSI・ソフト開発は、顧客に注文に応じて業務システムやネットワーク構築などのソフトウェア開発を行ったり、開発の際にコンピュータ端末やネットワーク機器の販売なども取り扱うことがあり、その売上高は商品販売として計上される。

情報処理サービスは、同社のデータセンターや情報処理技術を活用して、情報処理システムやそれに付随する役務・サービスを提供するものだ。具体的には、顧客データの管理や顧客データに基づいて商品の発送業務などを行うBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)業務や、ホスティングサービスを中心としたデータセンターサービスの提供などがある。情報処理サービスは収入のタイプとしてはいわゆるストック型収入の事業となっている。

サブセグメントは上述のように分類されるが、同社は総合型情報処理サービス企業として、システムの営業提案から設計・開発、最適なハード調達、システムの運用・保守まで、ワンストップで提供している。

b)業績動向
情報サービス事業セグメントの2015年12月期の業績は、前述のとおり、売上高15,122百万円(前期比8.6%増)、営業利益484百万円(同30.5%減)と、増収ながらも大幅減益となった。

減益の主たる要因は前述のようにSI・ソフト開発事業での不採算案件の発生によるものだ。この点の対応は完了している。SI・ソフト開発への引き合い自体は活発な状況が続いているもようだ。同社は中古車オークションシステムのような大型案件から、モバイル端末向けアプリに開発まで、顧客の様々なニーズに対応できる技術とノウハウを備えており、顧客の事業領域についても幅広く対応できるのが強みとみられる。

同社が注力するクラウドサービスもSI・ソフト開発に属している。クラウドサービスでは、Google関連サービスを始め、セールスフォース・ドットコム関連サービス、デジタルサイネージなどを展開している。現状ではGoogle関連サービスが順調に拡大する一方、デジタルサイネージでは、マーケットの需要に期待が高まるものの、大型案件の受注へ後一歩となったことから、成長ペースが予想を下回ったものもあるようだ。

SI・ソフト開発は、商品販売と密接な関係にある点は注意が必要だ。システム構築(SI)を受注した際には機器の販売も加わってくる。2015年12月期実績における計画との比較で、SI・ソフト開発が1,278百万円の未達となる一方、商品販売が計画を601百万円も上回った背景には、機器販売を2つの事業部門のどちらで計上するかについて、計画時と決算時とで売上の内容が変わった影響があるとみられる。両事業の数値を合算して数字を見る方が実態の理解には有用と思われる。

情報処理サービスはBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)業務とデータセンター業務が2本柱となっている。BPO業務の詳細は別項で詳述する。データセンター業務は顧客データの保管・運用における自社サーバのレンタル(ホスティングサービス)や顧客のサーバを預かる(ハウジングサービス)の両方を手掛けている。クラウドサービスの拡大とも相まって、クラウド型のセキュリティサービスやファイルマネジメントなどのサービス群を拡充する他、データセンターの稼働率も高水準を維持できているもようだ。

c)クラウドサービス
同社はストック型ビジネスの構成比を中長期的には80%超まで高める方針を掲げている。情報サービス事業におけるクラウドサービスはストック型ビジネスの側面もある。同社は2013年11月に東濃データセンターを完成させてクラウドサービスの提供の力を高める一方、Google関連サービスの拡充や、セールスフォース・ドットコム関連サービスなど、クラウドサービスのサービスラインアップを充実させて、営業強化に取り組んでいる。

こうした取り組みの結果、クラウドサービス売上高は、2014年12月期の1,278百万円から2015年12月期には1,656百万円へと約30%の増収となった。クラウドサービスはサービス分野としてはSI・ソフト開発に含まれるが、その中に占めるクラウドサービスの構成比は、2015年12月期には18.3%に上昇した。

同社のクラウドサービスの内訳としては、現状はGoogle関連サービスがそのほとんどを占めている状況だ。25015年12月期実績では、導入企業が前期比13.8%増の882社に増加し、売上高は同28.6%増の1,458百万円に達した。これは同期間のクラウドサービス売上高の88%に相当する。

2015年12月期に見られた大きな進展として、NTTドコモ<9437>との協業で大型案件の受注に成功したことがある。これはNTTドコモが同社同様にGoogle関連製品の販売代理店として顧客開拓を進める上で、同社がサービスの導入や運用における技術・ノウハウといった側面からNTTドコモをサポートするというものだ。大型案件の契約の当事者はあくまでNTTドコモであるが、同社はNTTドコモからサポートフィーを受け取る。さらには、NTTドコモを介してこうした大口顧客への糸口をつかみ、同社の製品・サービスをクロスセルしていく道筋をつくることができる。今後の発展に期待が高まるところだ。

d) BPO事業
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)業務は、顧客データの管理や顧客データに基づいて商品の発送業務などを行うもので、データの入力・集積・分析・加工という情報処理能力を活用した典型的な業務の1つで、同社の強みをもっともよく生かせる事業領域の1つだ。典型的なサービスは、百貨店のお中元やお歳暮などのシーズンにギフト商品の注文データといった申込伝票の入力・データクリーニング、配送ラベルデータ作成から、申込み内容についてのコールセンター業務など、顧客のバックヤードの業務を一手に引き受けるというものだ。

同社のBPO事業はその業容を着実に拡大してきており、2015年12月期は処理件数、売上高ともに、過去最高を記録した。2015年12月期の年間処理件数は前期の30百万円件から39百万件に30.0%の増加となった。売上高は同様に2,289百万円から2,384百万円に4.1%増加した。処理件数に比べて売上高の伸びが低くなった理由は一部で業務単価の引き下げがあったためである。

BPO業務については2016年12月期も順調な拡大が続くと弊社ではみている。同社は2015年12月期第4四半期に新規大口顧客を獲得したが、2016年12月期はこれがフル寄与してくると期待される。既存顧客においても業務量は着実に増加基調を歩んでいる点もポジティブ要因だ。注意すべきは単価の動向で、2015年12月期に見られた一部業務単価引き下げのような動きが今期も起こるかどうか見守る必要がある。

BPO業務関連で中期的に注目しているのが「DSK人事給与サービス」だ。大手企業向けの高機能人事・給与システムパッケージをクラウドで提供するサービスとなっている。このパッケージの販売だけならSI・ソフト開発業務だが、定型業務のアウトソーシング需要を取り込むことができる。このように、SI・ソフト開発とBPOという2つの業務をまたぐようなサービスが増加しつつある点にも注目だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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