オンコリスバイ Research Memo(2):「Virologyに立脚した創薬」を事業コンセプトとする
[16/03/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(1)会社沿革
オンコリスバイオファーマ<4588>は2004年に設立されたバイオベンチャーで、「Virology(ヴィロロジー/ウイルス学)に立脚した創薬」を事業コンセプトとして、医薬品事業及び検査事業を両輪とした研究開発を進めている。現代表取締役社長で創業者の1人でもある浦田泰生(うらたやすお)氏は起業前に大手製薬企業で20年超、新薬の開発・上市に携わり、創業前には3つのがんプロジェクトを推進していた経験を持つ。
創業のきっかけは、浦田氏と岡山大学の消化器腫瘍外科の教授であった田中医師、藤原医師との出会いによるものであった。当時、両医師は腫瘍溶解ウイルス・テロメライシンの抗がん剤としての開発と事業化のための企業設立を検討しており、そのための経営者を探していたこと、浦田氏が同様のアイデアを持って抗がん剤の開発を考えていたことなどから、共同で創業することとなった。このため、創業段階ではテロメライシン及びテロメライシンにクラゲが持つ発光遺伝子(以下、GFP)を組み入れたがん検査薬テロメスキャンの事業化を行うことを目的に設立された。
その後、2つのパイプラインだけでは開発を進めるに当たって資金面で不足する可能性があるとの経営判断から、パイプラインを拡充するため2006年に米Yale大学から新規HIV感染症治療薬(OBP-601)、2009年にはアステラス製薬<4503>から新規分子標的抗がん剤(OBP-801)のライセンス導入を行い、研究・開発に着手した。OBP-601に関しては、2010年に米国のBristol-Myers Squibb Co.にライセンスアウトし、2013年に第2相臨床試験を完了し良好な結果を得たものの、Bristol-Myers Squibb Co.の事業戦略の変更に伴い、2014年4月にライセンス契約が解除されている。
テロメライシンに関しては、2006年に米国で第1相臨床試験を開始し、安全性について良好な結果を得られたほか、国内では2013年より岡山大学にて末期の食道がんを対象にした医師主導の臨床研究が行われている。また、2008年には台湾のMedigen Biotechnology Corp.と戦略的提携契約を締結し、2014年より韓国・台湾にて肝臓がんを対象とした第1/2相臨床試験が開始されている。
一方、検査薬となるテロメスキャンに関しては2005年にNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「分子イメージング機器研究開発プロジェクト/悪性腫瘍等治療支援分子イメージング機器研究開発プロジェクト」の助成金に採択されるなど、その先進性が公的機関からも評価され、助成金を得ながら開発を進めている。2012年には研究目的の受託検査サービスを開始し、同年に順天堂大学、(独)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンターとそれぞれ共同研究契約を締結している。2015年には米ペンシルバニア大学発のバイオベンチャーであるLiquid Biotech社と、ライセンス契約締結及び北米での事業展開に関する業務提携を発表した。また、テロメスキャンの改良型であるテロメスキャンF35について、2014年に韓国のWONIK CUBE Corp.と韓国内における独占的使用権を付与するライセンス契約を締結するなど、海外市場での展開も進んでいる。
(2)事業内容
同社の事業セグメントは、医薬品事業と検査事業の2つで構成されている。医薬品事業では、がんや重症感染症などの難病、希少疾病などを対象に安全で有効な新薬を創出すること、また、検査事業ではウイルスの遺伝子改変技術を生かした新しい検査法による特殊検査プラットフォームビジネスの提供を基本的な事業方針としている。なお、医薬品事業、検査事業ともにアウトソーシングを活用することで、開発期間の短縮化・開発経費の最適化を図っている。
医薬品事業の収益モデルは、大学等の研究機関や企業から新たな医薬品候補を導入し、同社で前臨床試験及び初期臨床試験を実施し、その製品的価値の初期評価であるPOC(Proof of Cocept)※を確認した上で、大手製薬企業・バイオ企業にライセンスアウトし、契約一時金収入、開発進捗に応じたマイルストーン収入、上市後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルとなっている。医薬品候補についての製造は外部に委託している。
※POC:基礎的な研究で予想された薬の効果が、実際に動物またはヒトへの投与試験により証明されること。
検査事業の収益モデルは、現在は検査用ウイルスの販売や受託検査サービスを行う収益モデルとなっているが、将来的には受託検査で蓄積したノウハウにより検体大量処理を実現することで、同社が開発した検査キットや検査ユニットを検査会社や医療機関に販売する収益モデルを目指している。検査用ウイルスの製造は外部に委託しており、受託検査は同社の神戸検査センターにて行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1)会社沿革
オンコリスバイオファーマ<4588>は2004年に設立されたバイオベンチャーで、「Virology(ヴィロロジー/ウイルス学)に立脚した創薬」を事業コンセプトとして、医薬品事業及び検査事業を両輪とした研究開発を進めている。現代表取締役社長で創業者の1人でもある浦田泰生(うらたやすお)氏は起業前に大手製薬企業で20年超、新薬の開発・上市に携わり、創業前には3つのがんプロジェクトを推進していた経験を持つ。
創業のきっかけは、浦田氏と岡山大学の消化器腫瘍外科の教授であった田中医師、藤原医師との出会いによるものであった。当時、両医師は腫瘍溶解ウイルス・テロメライシンの抗がん剤としての開発と事業化のための企業設立を検討しており、そのための経営者を探していたこと、浦田氏が同様のアイデアを持って抗がん剤の開発を考えていたことなどから、共同で創業することとなった。このため、創業段階ではテロメライシン及びテロメライシンにクラゲが持つ発光遺伝子(以下、GFP)を組み入れたがん検査薬テロメスキャンの事業化を行うことを目的に設立された。
その後、2つのパイプラインだけでは開発を進めるに当たって資金面で不足する可能性があるとの経営判断から、パイプラインを拡充するため2006年に米Yale大学から新規HIV感染症治療薬(OBP-601)、2009年にはアステラス製薬<4503>から新規分子標的抗がん剤(OBP-801)のライセンス導入を行い、研究・開発に着手した。OBP-601に関しては、2010年に米国のBristol-Myers Squibb Co.にライセンスアウトし、2013年に第2相臨床試験を完了し良好な結果を得たものの、Bristol-Myers Squibb Co.の事業戦略の変更に伴い、2014年4月にライセンス契約が解除されている。
テロメライシンに関しては、2006年に米国で第1相臨床試験を開始し、安全性について良好な結果を得られたほか、国内では2013年より岡山大学にて末期の食道がんを対象にした医師主導の臨床研究が行われている。また、2008年には台湾のMedigen Biotechnology Corp.と戦略的提携契約を締結し、2014年より韓国・台湾にて肝臓がんを対象とした第1/2相臨床試験が開始されている。
一方、検査薬となるテロメスキャンに関しては2005年にNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「分子イメージング機器研究開発プロジェクト/悪性腫瘍等治療支援分子イメージング機器研究開発プロジェクト」の助成金に採択されるなど、その先進性が公的機関からも評価され、助成金を得ながら開発を進めている。2012年には研究目的の受託検査サービスを開始し、同年に順天堂大学、(独)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンターとそれぞれ共同研究契約を締結している。2015年には米ペンシルバニア大学発のバイオベンチャーであるLiquid Biotech社と、ライセンス契約締結及び北米での事業展開に関する業務提携を発表した。また、テロメスキャンの改良型であるテロメスキャンF35について、2014年に韓国のWONIK CUBE Corp.と韓国内における独占的使用権を付与するライセンス契約を締結するなど、海外市場での展開も進んでいる。
(2)事業内容
同社の事業セグメントは、医薬品事業と検査事業の2つで構成されている。医薬品事業では、がんや重症感染症などの難病、希少疾病などを対象に安全で有効な新薬を創出すること、また、検査事業ではウイルスの遺伝子改変技術を生かした新しい検査法による特殊検査プラットフォームビジネスの提供を基本的な事業方針としている。なお、医薬品事業、検査事業ともにアウトソーシングを活用することで、開発期間の短縮化・開発経費の最適化を図っている。
医薬品事業の収益モデルは、大学等の研究機関や企業から新たな医薬品候補を導入し、同社で前臨床試験及び初期臨床試験を実施し、その製品的価値の初期評価であるPOC(Proof of Cocept)※を確認した上で、大手製薬企業・バイオ企業にライセンスアウトし、契約一時金収入、開発進捗に応じたマイルストーン収入、上市後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルとなっている。医薬品候補についての製造は外部に委託している。
※POC:基礎的な研究で予想された薬の効果が、実際に動物またはヒトへの投与試験により証明されること。
検査事業の収益モデルは、現在は検査用ウイルスの販売や受託検査サービスを行う収益モデルとなっているが、将来的には受託検査で蓄積したノウハウにより検体大量処理を実現することで、同社が開発した検査キットや検査ユニットを検査会社や医療機関に販売する収益モデルを目指している。検査用ウイルスの製造は外部に委託しており、受託検査は同社の神戸検査センターにて行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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