オンコリスバイ Research Memo(4):周囲のがん細胞まで破壊する治療効果の高いウイルス製剤
[16/03/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■開発パイプライン
(1)テロメライシン
○概要
テロメライシンは、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖して、がん細胞を破壊する遺伝子改変型アデノウイルスのことで、腫瘍溶解性ウイルス製剤の一種である。テロメライシンの特徴は、テロメラーゼ酵素に感染することで、テロメラーゼがテロメライシンに変異し、自己増殖的に増加してがん細胞を破壊していくことにある。このため、テロメライシンは局所的ながん細胞だけでなく、周辺のがん細胞まで破壊することが可能で治療効果の高いウイルス製剤とされている。アデノウイルス自体は自然界の空気中に存在し、風邪の症状を引き起こすウイルスのため、ヒトに投与すると発熱等の症状が出るが、軽度なものであり人体の安全性に問題はないとされている。また、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いため、副作用も少ない。食道がんやメラノーマなど固形がんを対象疾患として、開発を進めている。
○開発状況
岡山大学で2013年より実施された医師主導の臨床研究では、手術不能な末期の食道がん患者を対象に、テロメライシンと放射線治療を併用し、これまでに最低用量群7例の投与において中間成績が報告されている。これらのうち5例で腫瘍の縮小が認められている。
また、米国でも末期の各種固形がんを対象に、2006年より第1相臨床試験を22症例実施し、メラノーマ患者を含む7例で腫瘍縮小効果が確認されている。特に、メラノーマ患者に対しては局所投与にも関わらず、転移したがん細胞の縮小効果も認められている。2015年9月にはカナダのMcMaster大学の研究グループと共同研究を開始し、免疫チェックポイント阻害剤と併用して全身作用を増強させる可能性に関する研究を進めている。
その他、台湾の提携先であるMedigen Biotechnology Corp.と共同で2014年より、肝細胞がんを対象とした第1/2相臨床試験を韓国・台湾で開始している。
○ウイルス製剤の競合
腫瘍溶解性ウイルス製剤では2016年3月時点で2つの製剤が上市されている。1つは中国のShanghai Sunway Biotech Co.,Ltd.が米バイオベンチャーからライセンス導入した遺伝子改変型アデノウイルス製剤で、頭頸部がんを対象に中国で上市された。ただ、同製剤が実際に実用化されているかどうかは不明となっている。もう1つは、米国で2015年10月に承認取得された米Amgen社のヘルペスウイルス製剤「T-VEC」で、対象疾患はメラノーマとなる。また、その他にもタカラバイオ<4974>がヘルペスウイルス製剤で、カナダのOncolytics Biotech Inc.がレオウイルス製剤で開発を進めるなど、複数のウイルス製剤での開発が進められている。
こうしたなかで、オンコリスバイオファーマ<4588>のアデノウイルス製剤については他のウイルス製剤と比較していくつかの長所がある。第1に、安全性で優れており、品質管理など規制上のハードルが低いこと、第2に、がんの転移原因ともなるがん幹細胞に対しても効果があること、第3に、放射線療法との親和性が高いことが挙げられる。
放射線療法はがん細胞の遺伝子を破壊することで、がん細胞を破壊する治療法となるが、放射線照射後のがん細胞の表面が、アデノウイルスを付着しやすくなるよう改質されること、また、がん細胞の遺伝子修復機能を抑制する働きを持つ「E1B遺伝子」をアデノウイルスのみが持っていることなどが、放射性療法との親和性が高い理由となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1)テロメライシン
○概要
テロメライシンは、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖して、がん細胞を破壊する遺伝子改変型アデノウイルスのことで、腫瘍溶解性ウイルス製剤の一種である。テロメライシンの特徴は、テロメラーゼ酵素に感染することで、テロメラーゼがテロメライシンに変異し、自己増殖的に増加してがん細胞を破壊していくことにある。このため、テロメライシンは局所的ながん細胞だけでなく、周辺のがん細胞まで破壊することが可能で治療効果の高いウイルス製剤とされている。アデノウイルス自体は自然界の空気中に存在し、風邪の症状を引き起こすウイルスのため、ヒトに投与すると発熱等の症状が出るが、軽度なものであり人体の安全性に問題はないとされている。また、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いため、副作用も少ない。食道がんやメラノーマなど固形がんを対象疾患として、開発を進めている。
○開発状況
岡山大学で2013年より実施された医師主導の臨床研究では、手術不能な末期の食道がん患者を対象に、テロメライシンと放射線治療を併用し、これまでに最低用量群7例の投与において中間成績が報告されている。これらのうち5例で腫瘍の縮小が認められている。
また、米国でも末期の各種固形がんを対象に、2006年より第1相臨床試験を22症例実施し、メラノーマ患者を含む7例で腫瘍縮小効果が確認されている。特に、メラノーマ患者に対しては局所投与にも関わらず、転移したがん細胞の縮小効果も認められている。2015年9月にはカナダのMcMaster大学の研究グループと共同研究を開始し、免疫チェックポイント阻害剤と併用して全身作用を増強させる可能性に関する研究を進めている。
その他、台湾の提携先であるMedigen Biotechnology Corp.と共同で2014年より、肝細胞がんを対象とした第1/2相臨床試験を韓国・台湾で開始している。
○ウイルス製剤の競合
腫瘍溶解性ウイルス製剤では2016年3月時点で2つの製剤が上市されている。1つは中国のShanghai Sunway Biotech Co.,Ltd.が米バイオベンチャーからライセンス導入した遺伝子改変型アデノウイルス製剤で、頭頸部がんを対象に中国で上市された。ただ、同製剤が実際に実用化されているかどうかは不明となっている。もう1つは、米国で2015年10月に承認取得された米Amgen社のヘルペスウイルス製剤「T-VEC」で、対象疾患はメラノーマとなる。また、その他にもタカラバイオ<4974>がヘルペスウイルス製剤で、カナダのOncolytics Biotech Inc.がレオウイルス製剤で開発を進めるなど、複数のウイルス製剤での開発が進められている。
こうしたなかで、オンコリスバイオファーマ<4588>のアデノウイルス製剤については他のウイルス製剤と比較していくつかの長所がある。第1に、安全性で優れており、品質管理など規制上のハードルが低いこと、第2に、がんの転移原因ともなるがん幹細胞に対しても効果があること、第3に、放射線療法との親和性が高いことが挙げられる。
放射線療法はがん細胞の遺伝子を破壊することで、がん細胞を破壊する治療法となるが、放射線照射後のがん細胞の表面が、アデノウイルスを付着しやすくなるよう改質されること、また、がん細胞の遺伝子修復機能を抑制する働きを持つ「E1B遺伝子」をアデノウイルスのみが持っていることなどが、放射性療法との親和性が高い理由となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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