あいHD Research Memo(3):7つの事業から構成される
[16/03/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)事業内容
上記のようにあい ホールディングス<3076>は純粋持株会社であり、2015年6月期末現在でグループには連結子会社20社、非連結子会社3社、持分法適用会社2社の計25の事業会社を擁し、主に以下の7つの事業を行っている。2015年6月期の各事業セグメント別の売上高は、a)セキュリティ機器9,847百万円(売上高比率23.8%)、b)カード機器及びその他事務用機器4,212百万円(同10.2%)、c)保守サービス1,621百万円(同3.9%)、d)情報機器13,374百万円(同32.4%)、e)計測機器及び環境試験装置2,188百万円(同5.3%)、f)設計事業4,995百万円(同12.1%)、g)その他5,091百万円(同12.3%)となっている。
連結子会社は2015年6月期期末現在では20社であるが、主たる事業会社はドッドウエル ビー・エム・エス、グラフテック、あい設計の3社。また今期(2016年6月期)から本格的に展開するラベルプリンタ事業は、グラフテックが担当し、セグメントとしては「情報機器」に含まれる。
a)セキュリティ機器
主要製品は監視カメラやレコーダー等のセキュリティシステム。製品は主に韓国メーカーから仕入れているが、購入製品の仕様決定には同社も深く関わっている。韓国製の強みは、基本技術が軍事技術から転用されたものもあることからコストに比べて性能が高いこと。したがって同社製品は、国内の競合大手に比べてコストパフォーマンスが高い。
また、保守を含めた一貫サービスを提供できるのも同社の特色。主なユーザーは、マンション、銀行・証券会社等の金融機関、官公庁、商店街、小売チェーンなど幅広いが、特にここ数年は自社営業を中心とした既設の分譲マンション向けが大きく伸びている。加えて昨年からは大手ハウスメーカー系の賃貸マンション管理会社を代理店とした賃貸マンション向けを強化しているが、こちらも順調に拡大しつつある。さらに、代理店経由の一般法人向け販売も増加傾向にある。
b)カード機器及びその他事務用機器
今までの主要製品は病院向けの診察券発行機、再来受付機や金融・流通機関向けのICカード即時発行機等であった。病院向けは急成長する分野ではないが安定した需要が見込める。金融・流通機関向けでは、即時発行機は既に多くの地銀で採用され始めており、加えて一部のメガバンクでも導入されるなど、その動向は今後も大いに注目する必要がある。さらに2015年3月には、金融機関向けの大型カード発行機メーカーであるカナダのNBS Technologies Inc.を子会社化、これにより大型カード発行機市場への進出も可能になった。
その他機器の主なものは鉄骨系のCAD。ニッチであるため市場そのものが伸びることは期待薄だが、安定して更新需要が見込める分野である。ただし昨今では大手ゼネコンからの引き合いも増えており、成長の可能性も出てきた。
c)保守サービス
セキュリティ機器、カード機器などの保守サービスを行う部門。以前は保守要員の効率化のために他社製品の保守も請負っていたが、近年は自社製品の保守サービスに力を入れていることから、他社製品の保守比率は低下している。
売上高こそ小さい部門であるが、実は重要な部門である。同社の扱うセキュリティ機器やカード機器は、一括購入よりリース契約を行うことが多く定期的なメンテナンスを必要としている。こうした機器に関しては通常、機器の購入代に当たるリース契約とは別に、保守のためのメンテナンス契約を結ぶ。しかし、同社では「安心パック」という形でリース契約の中にメンテナンス契約が含まれており、製品販売の売上げが同部門の収益となる構造だ。また、保守事業は積み重ねのストックビジネスであることから、中長期的には収益の安定化につながる。さらには、保守部門を有していることが顧客への安心感や営業での強みとなることで、セキュリティ機器やカード機器等の売上増に寄与している面もあり、隠れた収益貢献部門と言える。
d)情報機器
グラフテックが扱っているカッティングマシンやスキャナなどのコンピューター周辺機器。カッティングマシンは、元々はグラフテック創業の技術であるプロッタ技術を転用して開発されたもので、カット幅が小型のA4サイズから1,600mm幅を超える大型まである。主な用途は屋外広告・看板制作など企業向けが中心である。
また近年は従来の業務用カッティングマシンをコンシューマー向けに小型化した製品がホビー(主にペーパークラフト)用として欧米で大きく伸びている。本体は中国やベトナムで生産され、販売価格は1〜2万円程度。これに加えて本体を購入した顧客を会員として取り込み、各種コンテンツ(図柄等)や消耗品も販売している。事業主体は米国子会社のシルエット(Silhouette)。一方、スキャナはA0サイズまでの大型画面を取り込める業務用製品、一部は大手精密機器メーカー向けにOEM供給されている。
また同社は新規事業としてラベルプリンタ事業に参入することを発表しているが、この事業はグラフテックが担当し、当セグメントに含まれる。(ラベルプリンタ事業の詳細は後述)
e)計測機器及び環境試験装置
計測機器は電圧、温度、湿度、パルスなど幅広いデータ収録に対応できる製品ラインアップをそろえている。環境試験装置は、高温・低温などの特殊な環境下での電子部品やプリント基板等の動作確認を行う装置で、ユーザーの要望によってはカスタム対応も行っている。
いずれの製品も主な使用目的が「検査装置」であることから、需要が急増することはないが、利益は計上しており安定した部門と言える。
f)設計事業
同社が買収した旧「(株)塩見設計」が「(株)あい設計」に社名変更し、連結子会社である「(株)田辺設計」「中央設計(株)」と合わせた3社が設計事業に携わっている。関連技術者200名以上を有しており、建築設計業界の中でも専門性の高い「耐震診断・耐震構造設計」を事業の中心に据えている。そのほかにも、意匠設計、構造設計、設備設計など高い技術力を軸とした建築総合コンサルタント業を行っており、安定した利益を生んでいる部門である。
g)その他
この部門の主たる事業は「リース・割賦」で、上記のセキュリティ機器やカード機器等の販売に関連して割賦やリースを行う部門。また必要に応じて他社製品に対する割賦やリースも行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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(2)事業内容
上記のようにあい ホールディングス<3076>は純粋持株会社であり、2015年6月期末現在でグループには連結子会社20社、非連結子会社3社、持分法適用会社2社の計25の事業会社を擁し、主に以下の7つの事業を行っている。2015年6月期の各事業セグメント別の売上高は、a)セキュリティ機器9,847百万円(売上高比率23.8%)、b)カード機器及びその他事務用機器4,212百万円(同10.2%)、c)保守サービス1,621百万円(同3.9%)、d)情報機器13,374百万円(同32.4%)、e)計測機器及び環境試験装置2,188百万円(同5.3%)、f)設計事業4,995百万円(同12.1%)、g)その他5,091百万円(同12.3%)となっている。
連結子会社は2015年6月期期末現在では20社であるが、主たる事業会社はドッドウエル ビー・エム・エス、グラフテック、あい設計の3社。また今期(2016年6月期)から本格的に展開するラベルプリンタ事業は、グラフテックが担当し、セグメントとしては「情報機器」に含まれる。
a)セキュリティ機器
主要製品は監視カメラやレコーダー等のセキュリティシステム。製品は主に韓国メーカーから仕入れているが、購入製品の仕様決定には同社も深く関わっている。韓国製の強みは、基本技術が軍事技術から転用されたものもあることからコストに比べて性能が高いこと。したがって同社製品は、国内の競合大手に比べてコストパフォーマンスが高い。
また、保守を含めた一貫サービスを提供できるのも同社の特色。主なユーザーは、マンション、銀行・証券会社等の金融機関、官公庁、商店街、小売チェーンなど幅広いが、特にここ数年は自社営業を中心とした既設の分譲マンション向けが大きく伸びている。加えて昨年からは大手ハウスメーカー系の賃貸マンション管理会社を代理店とした賃貸マンション向けを強化しているが、こちらも順調に拡大しつつある。さらに、代理店経由の一般法人向け販売も増加傾向にある。
b)カード機器及びその他事務用機器
今までの主要製品は病院向けの診察券発行機、再来受付機や金融・流通機関向けのICカード即時発行機等であった。病院向けは急成長する分野ではないが安定した需要が見込める。金融・流通機関向けでは、即時発行機は既に多くの地銀で採用され始めており、加えて一部のメガバンクでも導入されるなど、その動向は今後も大いに注目する必要がある。さらに2015年3月には、金融機関向けの大型カード発行機メーカーであるカナダのNBS Technologies Inc.を子会社化、これにより大型カード発行機市場への進出も可能になった。
その他機器の主なものは鉄骨系のCAD。ニッチであるため市場そのものが伸びることは期待薄だが、安定して更新需要が見込める分野である。ただし昨今では大手ゼネコンからの引き合いも増えており、成長の可能性も出てきた。
c)保守サービス
セキュリティ機器、カード機器などの保守サービスを行う部門。以前は保守要員の効率化のために他社製品の保守も請負っていたが、近年は自社製品の保守サービスに力を入れていることから、他社製品の保守比率は低下している。
売上高こそ小さい部門であるが、実は重要な部門である。同社の扱うセキュリティ機器やカード機器は、一括購入よりリース契約を行うことが多く定期的なメンテナンスを必要としている。こうした機器に関しては通常、機器の購入代に当たるリース契約とは別に、保守のためのメンテナンス契約を結ぶ。しかし、同社では「安心パック」という形でリース契約の中にメンテナンス契約が含まれており、製品販売の売上げが同部門の収益となる構造だ。また、保守事業は積み重ねのストックビジネスであることから、中長期的には収益の安定化につながる。さらには、保守部門を有していることが顧客への安心感や営業での強みとなることで、セキュリティ機器やカード機器等の売上増に寄与している面もあり、隠れた収益貢献部門と言える。
d)情報機器
グラフテックが扱っているカッティングマシンやスキャナなどのコンピューター周辺機器。カッティングマシンは、元々はグラフテック創業の技術であるプロッタ技術を転用して開発されたもので、カット幅が小型のA4サイズから1,600mm幅を超える大型まである。主な用途は屋外広告・看板制作など企業向けが中心である。
また近年は従来の業務用カッティングマシンをコンシューマー向けに小型化した製品がホビー(主にペーパークラフト)用として欧米で大きく伸びている。本体は中国やベトナムで生産され、販売価格は1〜2万円程度。これに加えて本体を購入した顧客を会員として取り込み、各種コンテンツ(図柄等)や消耗品も販売している。事業主体は米国子会社のシルエット(Silhouette)。一方、スキャナはA0サイズまでの大型画面を取り込める業務用製品、一部は大手精密機器メーカー向けにOEM供給されている。
また同社は新規事業としてラベルプリンタ事業に参入することを発表しているが、この事業はグラフテックが担当し、当セグメントに含まれる。(ラベルプリンタ事業の詳細は後述)
e)計測機器及び環境試験装置
計測機器は電圧、温度、湿度、パルスなど幅広いデータ収録に対応できる製品ラインアップをそろえている。環境試験装置は、高温・低温などの特殊な環境下での電子部品やプリント基板等の動作確認を行う装置で、ユーザーの要望によってはカスタム対応も行っている。
いずれの製品も主な使用目的が「検査装置」であることから、需要が急増することはないが、利益は計上しており安定した部門と言える。
f)設計事業
同社が買収した旧「(株)塩見設計」が「(株)あい設計」に社名変更し、連結子会社である「(株)田辺設計」「中央設計(株)」と合わせた3社が設計事業に携わっている。関連技術者200名以上を有しており、建築設計業界の中でも専門性の高い「耐震診断・耐震構造設計」を事業の中心に据えている。そのほかにも、意匠設計、構造設計、設備設計など高い技術力を軸とした建築総合コンサルタント業を行っており、安定した利益を生んでいる部門である。
g)その他
この部門の主たる事業は「リース・割賦」で、上記のセキュリティ機器やカード機器等の販売に関連して割賦やリースを行う部門。また必要に応じて他社製品に対する割賦やリースも行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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