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あいHD Research Memo(8):カッター&エンボス機能の「curio」、スタンプ専用の「mint」を順次投入

注目トピックス 日本株
■中長期展望

(2)シルエット(米国での情報機器事業)

●シルエットの概要とビジネスモデル
現在のシルエットの主な販売製品は、ホビーであるクラフト用に使用される小型カッティングマシン(価格1〜2万円程度)、同製品用の消耗品(ブレード、マット、ペン等)及びクラフト用デジタルコンテンツであり、シルエットは現在クラフト業界最大規模のデジタルコンテンツビジネスを展開している。主な向け先はクラフト市場(下記参照)、小売店などとなっている。

カッティングマシン本体は主に中国とベトナムで生産することで販売価格を低く抑えている。その上で、同社製品を購入した顧客を「会員」として取り込み、これらの会員に対して各種消耗品に加え、専用サイトを通じて70,000件を超えるカット素材のデザインを提供し、ユーザーがこれらのデザインを専用サイトから購入するたびに、そのデザイン単価とダウンロード数に応じて課金するビジネスモデルを構築している。

あい ホールディングス<3076>によれば、本体販売に比べ、消耗品、コンテンツ(ダウンロード)販売の方が粗利率が高く、一番の収益源はコンテンツサービスとなっているようだ。なお、ダウンロードデータはメーカー間でのフォーマットに互換性がなく、同社の製品(カッティングマシン)を購入したユーザーは、同社からコンテンツを継続的に購入するというプラスの循環が働いている。

●市場規模と今後の見込み
全米クラフト&ホビー協会(CHA)によれば、2011年のクラフトホビー市場は303億ドル(約3兆6360億円)であるが、シルエットが対象とするペーパークラフトや芸術的クラフト市場の規模は合計でおよそ65億ドル(約7,800億円)と推計されている。ペーパークラフトがこれだけ巨大な趣味の市場として存在することは日本では想像しにくいが、米国では「旅行」「スポーツ」「クラフト」が3大ホビーと呼ばれるほどクラフトは大変人気の高い趣味として一般主婦層に定着している。

今でも、多くの人はハサミやカッターを使って紙を切り抜いてペーパークラフトを行っているが、パソコンの普及に伴いデザインコンテンツやカッティングマシンを使ってより高いレベルのペーパークラフトを行う人も年々増加しており、これを提案しているのがシルエットである。また、販売チャネルも今までは大手の通信販売(主にAmazon)が主流であったが、全米に1,000店舗以上を有するホビー専門店チェーンなども2013年12月から販売を本格化しており、現在ではこのような小売店経由の売上も増加傾向にある。販売チャネルの多様化により更なる成長が期待できる。

上記のように65億ドルの巨大市場の中で、これまでの手作業からシルエットの方式に切り替える人がどの程度増えるかは不明であるが、既に競合先が年間200億円以上の販売実績を挙げていたことや、実際にシルエット商品をamazonで購入した人たちの日々の評価を読む限り、この事業が拡大する余地はまだまだ大きいと言える。

●新製品投入で更なるシェアアップを目指す
更なるシェアアップの具体的な施策として、前期には新製品「New CAMEO」を投入した。この新型機は、LCDタッチパネルの採用、メモリーとしてUSB(以前はSDカード)を搭載、クロスカッターの搭載などによってユーザーインタフェイスを大幅に改善した製品となっている。さらに今期以降は、既存のカッター専用の「New CAMEO」や「portrait」に加えて、カッター&エンボス機能の「curio」、スタンプ専用の「mint」などの製品を順次投入している。

これらの新型機種投入によって新規顧客獲得だけでなく、既存顧客からの更新需要も取り込む戦略だ。この結果、会社は2016年6月期のシルエットの売上高を100百万ドルと計画している。会社では、「将来的には年間200億円以上は可能であろう」と述べている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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