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能美防災 Research Memo(1):国内最大手の総合防災設備メーカー、中期的に事業環境良好

注目トピックス 日本株
能美防災<6744>は創立から100年の歴史を持つ国内最大手の総合防災設備メーカーである。自動火災報知設備や消火設備を始めとする各種防災設備・システムを、基礎研究・火災実験から、システム開発・製品開発、設備設計、機器設計・生産、施工、メンテナンスまで一貫体制で展開している。

1933年三十三間堂に国宝として初めて火災報知設備設置、1962年名神高速道路の梶原・天王山トンネルに高速道路トンネル第1号として防災設備設置、1968年超高層ビル第1号として霞ヶ関ビルに防災設備設置するなど、国内初となる実績を数多く持つ。さらに、1987年青函トンネルに防災設備設置、1988年東京ドームに防災設備設置、2005年には愛知万博(愛・地球博)会場の暑さ対策として「ドライミスト」(能美防災の登録商標)を設置した。

連結決算における報告セグメントは、火災報知設備(自動火災報知設備、環境監視システム、防火戸・防排煙設備、住宅用火災警報器など)、消火設備(各種スプリンクラー設備、泡消火設備、プラント防災設備、トンネル防災設備など)、保守点検等(各種防災設備にかかる保守点検・補修工事など)、その他(駐車場車路管制システムなど)としている。

自動火災報知設備や消火設備など各種防災設備・システムの対象は、高層ビル・商業施設・ホテル・美術館・博物館・学校・病院、屋内駐車場、地下街、文化財、工場・倉庫、火力・原子力発電所、石油・ガス・化学プラント、危険物貯蔵(取扱)所、清掃工場、船舶・車両・航空機、道路トンネル・橋梁、空港・ドーム球場、ヘリポート、情報通信設備、福祉施設・老人ホーム、そして集合住宅・戸建住宅といった一般住宅まで、様々な分野に及んでいる。

防災設備・システムは、消防法など関係法令で防火対象物や設備設置基準などが厳格に定められていることもあり、参入障壁が高く、市場は大手数社でほぼ寡占状態にあることも特徴だ。そして収益は消防法など関係法令、建設投資・公共投資の影響を受けやすい。保守点検等は安定収益源だ。また年度末に工事完成が集中する季節要因が強いため、収益は第4四半期(1月−3月)の構成比が高い。

2016年3月期(2015年4月−2016年3月)の連結業績予想は、売上高が2015年3月期比6.6%増の100,000百万円、営業利益が同1.6%増の9,450百万円、経常利益が同0.1%増の9,550百万円、当期純利益が同3.8%増の5,850百万円としている。5期連続の増収増益と初の連結売上高100,000百万円を目指している。増額余地もありそうだ。配当予想は2015年3月期と同額の1株当たり年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

2020年東京夏季五輪に向けた再開発事業の本格化や、老朽化した社会インフラを補修・更新する国土強靭化計画などを背景として、中期的に事業環境は良好である。防災設備・システムの更新需要も活発化して収益拡大基調が期待される。

■Check Point
・国内最大手の総合防災設備メーカー
・100年の歴史で培った開発・技術力、豊富な実績、高い信頼性と品質力が強み
・2016年3月期は5期連続増収増益予想で増額余地
・中期的に事業環境良好で収益拡大基調を期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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