シノケンG Research Memo(3):投資用の土地付きアパート販売のフロントランナー(2)
[16/03/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(3)ビジネスモデルの特徴と強み
a)「土地がなくても、自己資金が少なくても、アパート経営ができる」という業界の常識を覆すビジネスモデルの先駆者
アパート経営というと地主が相続税対策や遊休資産の活用のために行うものというイメージが強く、実際、大手ハウスメーカーや大東建託<1878>などでは地主に対し、そのような提案をし、アパート建築を請負っている。こうしたなか、シノケングループ<8909>では土地を持たず自己資金も少ない普通のサラリーマン、公務員層を主要ターゲットに、老後に向けた資産形成の一手段として土地付きアパートを提案するという業界の常識を覆す独自のビジネスモデルで事業を展開してきた。
地主向けのアパート建築請負も地主から特に要望があった場合などに限り行っているが、年に数棟程度に過ぎない。経営資源の効率活用の観点から、同社から地主に積極的に営業をかけることはしていない。
b)約25年のトラックレコードを背景に競争優位性を維持している
土地から購入して果たしてアパート経営が成立するのかという疑念が持たれるところだが、創業来約25年にわたり、同社グループが供給してきた3,000棟以上のアパートで経営破綻を起こしたことは一例もない。その要因として、1)大都市圏の市街地で駅から10分以内で賃貸需要が確実に見込めるエリアに限って物件供給をしてきたこと(売上高拡大のために立地条件を緩めることをしなかった)、2)若年層に訴求するデザイン性に優れた物件を供給してきたこと(引渡し後の適切な管理などにより創業来通算で97.1%という高い入居率を維持してきた)、3)狭小地や変形地などを生かすプラニング力に優れ、比較的用地を安く取得してきた、4)大手ハウスメーカーに比べ建築費がかなり安い、5)創業来、総じて低金利が続いてきた、ことなどが挙げられよう。
居住用の住宅ローンと異なり、アパートローンについては、借り手の信用力だけでなく販売会社の実績を金融機関は重視する傾向がある。こうした約25年のトラックレコードを背景に、2014年から年収が500万円程度あれば、頭金ゼロ(全額ローン)、融資期間35年、金利2%程度という破格の好条件でのアパートローンの利用が可能になっている。金利などの融資条件はアパート経営の上で非常に重要である。
土地付きアパート販売の競合会社としては、2015年12月に東証マザーズに上場したインベスターズクラウド<1435>や、比較的大きな未上場企業、シノケングループからスピンアウトした社員が起業した小規模な会社などかなり増えてきているが、フロントランナーとしての実績を背景にしたアパートローンの融資条件の優位性、狭小地や変形地におけるプラニング力などで競争優位性は高いと言えよう。
また、同社では一旦、用地を自ら取得するのに対し、インベスターズクラウドは自らのB/Sを通さず仲介の形で投資家に土地を紹介している。B/Sを通すビジネスモデルの方が、当然資金負担は重くなるが、1)迅速な用地仕入れができる、2)用地を分筆して複数棟開発するなど柔軟な企画が可能、3)顧客投資家がアパートローンの審査を否認されたような場合、その後の対応が容易、などの利点がある。
c)コンプライアンス重視のプル型の営業スタイル
投資用マンションの営業スタイルは、業界では電話営業が一般的。2011年2月に投資用マンション開発を行う上場他社が執拗な電話勧誘を繰り返していたとして国土交通省から業務停止処分を受けたことからもわかるように、電話営業は消費者とのトラブルを惹起しやすい。
また、地主向けのアパート建築の営業スタイルは、訪問営業(飛び込み営業)が多く、これも過去、度々メディア等で批判にさらされてきた。
同社は営業スタイルの面でも業界では特異で、創業時からアパート販売において電話営業は行わず、セミナーやCMなどによるプル型営業を貫いてきた。投資用マンション開発の旧日商ハーモニー(現シノケンハーモニー)は2003年7月に同社が買収するまでは電話営業が主流だったが、同社が完全子会社化してからは完全にプル型営業に転換している。
同社からアパート、マンションを購入した顧客の満足度は高く、販売物件数の約4割が既存顧客のリピート、紹介となっている。営業に関してコンプライアンス面の不安は乏しいと言える。
d)フロービジネスでの販売に連れて自動的にストックビジネスが積み上がる
介護関連事業以外のストックビジネスの収益は、フロービジネスでの販売に連動して自動的に積み上がる仕組みになっている。
足元は金融機関の積極的な不動産融資姿勢、超低金利を受け、フロービジネスが高い伸びとなっている結果、ストックビジネスの収益のウエイトは低下しているが、着実に積み上がっている。リーマンショックのような金融市場の激変などが起きた場合にはストックビジネスが業績の下支えとなろう。
また、ストックビジネスの柱である不動産賃貸管理事業では、高い入居率を維持しており、これがフロービジネスの営業においてプラスに働く(リピートや紹介につながるなど)といった好循環を生んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
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(3)ビジネスモデルの特徴と強み
a)「土地がなくても、自己資金が少なくても、アパート経営ができる」という業界の常識を覆すビジネスモデルの先駆者
アパート経営というと地主が相続税対策や遊休資産の活用のために行うものというイメージが強く、実際、大手ハウスメーカーや大東建託<1878>などでは地主に対し、そのような提案をし、アパート建築を請負っている。こうしたなか、シノケングループ<8909>では土地を持たず自己資金も少ない普通のサラリーマン、公務員層を主要ターゲットに、老後に向けた資産形成の一手段として土地付きアパートを提案するという業界の常識を覆す独自のビジネスモデルで事業を展開してきた。
地主向けのアパート建築請負も地主から特に要望があった場合などに限り行っているが、年に数棟程度に過ぎない。経営資源の効率活用の観点から、同社から地主に積極的に営業をかけることはしていない。
b)約25年のトラックレコードを背景に競争優位性を維持している
土地から購入して果たしてアパート経営が成立するのかという疑念が持たれるところだが、創業来約25年にわたり、同社グループが供給してきた3,000棟以上のアパートで経営破綻を起こしたことは一例もない。その要因として、1)大都市圏の市街地で駅から10分以内で賃貸需要が確実に見込めるエリアに限って物件供給をしてきたこと(売上高拡大のために立地条件を緩めることをしなかった)、2)若年層に訴求するデザイン性に優れた物件を供給してきたこと(引渡し後の適切な管理などにより創業来通算で97.1%という高い入居率を維持してきた)、3)狭小地や変形地などを生かすプラニング力に優れ、比較的用地を安く取得してきた、4)大手ハウスメーカーに比べ建築費がかなり安い、5)創業来、総じて低金利が続いてきた、ことなどが挙げられよう。
居住用の住宅ローンと異なり、アパートローンについては、借り手の信用力だけでなく販売会社の実績を金融機関は重視する傾向がある。こうした約25年のトラックレコードを背景に、2014年から年収が500万円程度あれば、頭金ゼロ(全額ローン)、融資期間35年、金利2%程度という破格の好条件でのアパートローンの利用が可能になっている。金利などの融資条件はアパート経営の上で非常に重要である。
土地付きアパート販売の競合会社としては、2015年12月に東証マザーズに上場したインベスターズクラウド<1435>や、比較的大きな未上場企業、シノケングループからスピンアウトした社員が起業した小規模な会社などかなり増えてきているが、フロントランナーとしての実績を背景にしたアパートローンの融資条件の優位性、狭小地や変形地におけるプラニング力などで競争優位性は高いと言えよう。
また、同社では一旦、用地を自ら取得するのに対し、インベスターズクラウドは自らのB/Sを通さず仲介の形で投資家に土地を紹介している。B/Sを通すビジネスモデルの方が、当然資金負担は重くなるが、1)迅速な用地仕入れができる、2)用地を分筆して複数棟開発するなど柔軟な企画が可能、3)顧客投資家がアパートローンの審査を否認されたような場合、その後の対応が容易、などの利点がある。
c)コンプライアンス重視のプル型の営業スタイル
投資用マンションの営業スタイルは、業界では電話営業が一般的。2011年2月に投資用マンション開発を行う上場他社が執拗な電話勧誘を繰り返していたとして国土交通省から業務停止処分を受けたことからもわかるように、電話営業は消費者とのトラブルを惹起しやすい。
また、地主向けのアパート建築の営業スタイルは、訪問営業(飛び込み営業)が多く、これも過去、度々メディア等で批判にさらされてきた。
同社は営業スタイルの面でも業界では特異で、創業時からアパート販売において電話営業は行わず、セミナーやCMなどによるプル型営業を貫いてきた。投資用マンション開発の旧日商ハーモニー(現シノケンハーモニー)は2003年7月に同社が買収するまでは電話営業が主流だったが、同社が完全子会社化してからは完全にプル型営業に転換している。
同社からアパート、マンションを購入した顧客の満足度は高く、販売物件数の約4割が既存顧客のリピート、紹介となっている。営業に関してコンプライアンス面の不安は乏しいと言える。
d)フロービジネスでの販売に連れて自動的にストックビジネスが積み上がる
介護関連事業以外のストックビジネスの収益は、フロービジネスでの販売に連動して自動的に積み上がる仕組みになっている。
足元は金融機関の積極的な不動産融資姿勢、超低金利を受け、フロービジネスが高い伸びとなっている結果、ストックビジネスの収益のウエイトは低下しているが、着実に積み上がっている。リーマンショックのような金融市場の激変などが起きた場合にはストックビジネスが業績の下支えとなろう。
また、ストックビジネスの柱である不動産賃貸管理事業では、高い入居率を維持しており、これがフロービジネスの営業においてプラスに働く(リピートや紹介につながるなど)といった好循環を生んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
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