マーケットE Research Memo(8):売上高100億円・営業利益10億円を目指す
[16/03/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
(2)マーケットエンタープライズ<3135>の成長戦略
今後も持続的拡大が期待されるリユース市場において、同社が掲げる成長戦略の施策は以下の3点だ。それぞれの詳細は後述するが、弊社では、これらの施策を通じて同社が目指す売上高100億円・営業利益10億円という中期的収益目標を達成することは、十分可能だと考えている。その理由は、前述のように、同社のビジネスモデルには随所に競争優位性を認めることができ、現在掲げられている成長戦略はそれらの強みを素直に生かす内容となっていると判断しているからである。優れたビジネスモデルときちんとしたオペレーション能力を有する同社が、成長性において市場平均をアウトパフォームする可能性は高いと言えよう。
a)水平展開
水平展開とは仕入力アップのための方策であり、具体的には、買取拠点であるリユースセンターの地理的な拡大を意味している。リユース事業の肝は商品の安定供給力、すなわち仕入力にあるということは前述したとおりだ。同社は2016年3月現在全国に7つのリユースセンターを保有しているが、これを今後3年間でさらに5拠点を開設する計画だ。
リユースセンター開設にかかる設備投資額は1拠点当たり約2,500万円〜3,000万円と、現在の同社にとっては過重な投資金額ではない。他のリユース事業者では買取と販売を兼ねた店舗としていることが多いのに対し、同社は買取拠点に特化しているため、立地の選定や建物の設備等において、より低コストでの開設が可能となっているとみられる。また、開設後の運営においても、オペレーションの標準化を図ることで運営費用を低く抑えるオペレーションが確立されている。
水平展開の目的・効果は明確だ。顧客の身近な地域に展開することで、買取依頼から買取成約に至るコンバージョン率の向上が期待される。また、リユース品の買取現場においては、送料の占める割合が相対的に大きい。送料も含めた運搬コストの削減は同社と売り手の双方にメリットをもたらすことになり、この点もコンバージョン率アップに貢献すると期待される。
b)垂直展開
垂直展開は仕入れと販売の双方をカバーすることを狙った施策だ。仕入面では、現在の26カテゴリーを拡大して取扱商材を拡大することと、それぞれのカテゴリーについてさらに専門性を高めることの2つの施策を行う計画だ。“総合性”と“専門性”を両立させることで買取力アップにつなげるのが狙いだ。
販売面では自社ECシステムの構築によるサービスレベル向上や、越境EC対応がその内容となる。特に注目されるのは越境EC対応だ。現在でも“最終的に海外に行くだろう”と推測される注文は、売上の10%以上を占めている模様だ。これらは日本国内居住者が海外での転売のために注文しているケースが中心だ。背景には“Made in Japan”だけでなく“Used in Japan”製品への高い人気がある。同社ではこうした傾向は今後も拡大基調をたどり、近い将来に海外からの直接注文という真の越境ECが拡大するとみている。国内の各リユースセンターから発送する体制は国内向けと同じであるため、運送方法や費用、通関手続きなどについての知識とノウハウの習得を急ぐ方針だ。
また、垂直展開には顧客囲い込みのための施策も含まれている。具体的には会員に対するポイント付与などが検討されているもようだ。会員サービス強化は顧客のリピーター化に貢献すると期待される。しかしその前提には安定した商品供給が不可欠であり、強い仕入力と相まって初めてポジティブスパイラルが実現できる。商品仕入力は同社の強みの1つであると弊社では評価しており、会員サービスの収益貢献にも注目している。
c)新サービスの創造
新サービスの詳細については同社もまだその全貌を明らかにはしていない。情報が限定された中にあっても弊社がイメージする新サービスには、リペア(修理・補修)やレンタルがある。リペアを強化すると、例えば現在では買取りを断っているような商品も買い取って商材化できるようになるほか、リペアを加えることでバリューアップし、より高価格での販売が可能になる。レンタルは、現在の買取保証の延長サービスとも考えられるし、新品のレンタル事業を運営し、そこからの商品をリユース事業へと流す商流を新設することができる。
新サービスの具体的な内容については同社からの発表を待たねばならないが、リアルとITを融合して仕入れと販売の双方で強みを有する同社には、リユース事業を中核に据えて関連する様々な新サービスが可能と考えられ、今後の推移を見守りたいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(2)マーケットエンタープライズ<3135>の成長戦略
今後も持続的拡大が期待されるリユース市場において、同社が掲げる成長戦略の施策は以下の3点だ。それぞれの詳細は後述するが、弊社では、これらの施策を通じて同社が目指す売上高100億円・営業利益10億円という中期的収益目標を達成することは、十分可能だと考えている。その理由は、前述のように、同社のビジネスモデルには随所に競争優位性を認めることができ、現在掲げられている成長戦略はそれらの強みを素直に生かす内容となっていると判断しているからである。優れたビジネスモデルときちんとしたオペレーション能力を有する同社が、成長性において市場平均をアウトパフォームする可能性は高いと言えよう。
a)水平展開
水平展開とは仕入力アップのための方策であり、具体的には、買取拠点であるリユースセンターの地理的な拡大を意味している。リユース事業の肝は商品の安定供給力、すなわち仕入力にあるということは前述したとおりだ。同社は2016年3月現在全国に7つのリユースセンターを保有しているが、これを今後3年間でさらに5拠点を開設する計画だ。
リユースセンター開設にかかる設備投資額は1拠点当たり約2,500万円〜3,000万円と、現在の同社にとっては過重な投資金額ではない。他のリユース事業者では買取と販売を兼ねた店舗としていることが多いのに対し、同社は買取拠点に特化しているため、立地の選定や建物の設備等において、より低コストでの開設が可能となっているとみられる。また、開設後の運営においても、オペレーションの標準化を図ることで運営費用を低く抑えるオペレーションが確立されている。
水平展開の目的・効果は明確だ。顧客の身近な地域に展開することで、買取依頼から買取成約に至るコンバージョン率の向上が期待される。また、リユース品の買取現場においては、送料の占める割合が相対的に大きい。送料も含めた運搬コストの削減は同社と売り手の双方にメリットをもたらすことになり、この点もコンバージョン率アップに貢献すると期待される。
b)垂直展開
垂直展開は仕入れと販売の双方をカバーすることを狙った施策だ。仕入面では、現在の26カテゴリーを拡大して取扱商材を拡大することと、それぞれのカテゴリーについてさらに専門性を高めることの2つの施策を行う計画だ。“総合性”と“専門性”を両立させることで買取力アップにつなげるのが狙いだ。
販売面では自社ECシステムの構築によるサービスレベル向上や、越境EC対応がその内容となる。特に注目されるのは越境EC対応だ。現在でも“最終的に海外に行くだろう”と推測される注文は、売上の10%以上を占めている模様だ。これらは日本国内居住者が海外での転売のために注文しているケースが中心だ。背景には“Made in Japan”だけでなく“Used in Japan”製品への高い人気がある。同社ではこうした傾向は今後も拡大基調をたどり、近い将来に海外からの直接注文という真の越境ECが拡大するとみている。国内の各リユースセンターから発送する体制は国内向けと同じであるため、運送方法や費用、通関手続きなどについての知識とノウハウの習得を急ぐ方針だ。
また、垂直展開には顧客囲い込みのための施策も含まれている。具体的には会員に対するポイント付与などが検討されているもようだ。会員サービス強化は顧客のリピーター化に貢献すると期待される。しかしその前提には安定した商品供給が不可欠であり、強い仕入力と相まって初めてポジティブスパイラルが実現できる。商品仕入力は同社の強みの1つであると弊社では評価しており、会員サービスの収益貢献にも注目している。
c)新サービスの創造
新サービスの詳細については同社もまだその全貌を明らかにはしていない。情報が限定された中にあっても弊社がイメージする新サービスには、リペア(修理・補修)やレンタルがある。リペアを強化すると、例えば現在では買取りを断っているような商品も買い取って商材化できるようになるほか、リペアを加えることでバリューアップし、より高価格での販売が可能になる。レンタルは、現在の買取保証の延長サービスとも考えられるし、新品のレンタル事業を運営し、そこからの商品をリユース事業へと流す商流を新設することができる。
新サービスの具体的な内容については同社からの発表を待たねばならないが、リアルとITを融合して仕入れと販売の双方で強みを有する同社には、リユース事業を中核に据えて関連する様々な新サービスが可能と考えられ、今後の推移を見守りたいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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