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カルナバイオ Research Memo(6):キナーゼタンパク質の販売は引き続き好調を維持する見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(1) 2016年12月期の見通し

カルナバイオサイエンス<4572>の2016年12月期の会社側の業績見通しは非開示となっている。計画値の公表が、創薬事業における導出交渉において不利になることと、契約動向に大きく左右されることから収益見通しが流動的であり、現時点では見込みにくいためだ。ただ、創薬支援事業の見通しについては開示しており、売上高で前期比10.0%減の858百万円、営業利益で同22.4%減の320百万円と減収減益で見込んでいる。スクリーニング・プロファイリング受託サービスの売上高が前期比91百万円減となることが要因だ。ただ、これは主要顧客である小野薬品工業からの受注内容が流動的なものもあるためで、保守的な数字と言える。なお、主に国内及び北米で注力している一定規模のスクリーニングサービス獲得分は含まれていない。また、RPPA事業について売上げを見込んでいない。同事業は細胞の中でキナーゼが活性化しているかどうかを調べるサービスだが、その際に用いるスライドグラスの供給元である韓国メーカーが経営破たんしたことで、スライドグラスの供給がストップしたためだ。現在、代替となるスライドグラスメーカーを探索している段階にある。一方、キナーゼタンパク質の販売については前期比41百万円増と引き続き好調に推移する見通し。米バイオベンチャーでキナーゼ阻害薬の開発が活発化するなかで、同社の高品質な製品に対する需要が拡大していることが要因だ。

研究開発費については創薬事業における研究開発体制の強化を中心に、前期比149百万円増加の566百万円を予定している。研究開発人員は2016年4月の新卒者を含めて3名増員するほか、2016年2月に米国に研究拠点「カルナバイオ C-Lab」を開設しており、その費用も含まれている。研究開発費に関しては今後も逓増していく見込みとなっている。

以上から、2016年12月期において、創薬事業で売上が計上されなかった場合の業績は、保守的に見て売上高で858百万円、営業損失で400百万円前後になることが予想される。ただ、創薬事業では2015年6月に契約締結したヤンセン・バイオテック社で、臨床試験の前期第1相試験が2016年中にスタートすればマイルストーン収入が計上されるほか、開発パイプラインの中でCDC7/ASK阻害薬について2016年中に導出できる可能性があるため、これらが進捗すれば売上、利益の上乗せ要因となる。

(2)「カルナバイオ C-Lab」開設の意義

米国の研究拠点として「カルナバイオ C-Lab」を開設できた意義は大きいと同社は考えている。同拠点は米J&JのインキュベーションラボであるJLABS内にあり、ラボ内には数多くのバイオベンチャーが入居しているほか、近隣にはアムジェンやジェネンテックなどメガファーマに成長した企業の研究拠点などもあり、バイオテック研究の集積地となっている。同拠点で研究活動を行うことによって研究員同士のネットワークが構築でき、バイオ業界における最新情報の共有が可能となる。また、新しい創薬技術研究を推進するだけでなく、将来的な導出活動を行うに当たっての重要なネットワークを構築できる場にもなると考えているためだ。同ラボへの入居倍率は20倍と高かったようだが、同社はJ&Jのグループ企業であるヤンセン・バイオテック社への導出実績や、同社のキナーゼ阻害薬に関する創薬基盤技術が評価され、入居が可能になったとみられる。現在は1名の研究員が常駐して研究活動を行っているが、収容人員は4名まで可能なことから、逐次増員していくものと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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