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RSテクノ Research Memo(1):市場拡大の恩恵を着実に享受して成長を実現できる体制が整った

注目トピックス 日本株
RS Technologies<3445>は半導体チップの主要部材であるシリコンウェーハの再生加工を手掛けている。国内と台湾に工場を持ち、両工場がフル稼働時の世界シェアは約30%(メインサイズの12インチウェーハ、生産能力ベース)に達し、世界トップの地位にある。

同社の強みとして弊社では、高いコスト競争力、地域的に分散が効いた顧客構成、及び再生加工技術の3点に特に注目している。再生加工コストの低さを生かして同社は、他のウェーハ関連企業を大きく上回る営業利益率を実現している。顧客構成は、特定の国や企業の業績変動に左右されにくい、安定性の高い収益構造につながっている。再生加工技術は顧客獲得に貢献していることに加え、潜在的な再生市場創出の可能性を秘めている。

中長期の成長戦略として同社は5つのポイントを挙げている。1)生産能力拡大、2)シェア拡大、3)伸長する需要の確実な取り込み、4)潜在的な再生市場の開拓、5)中国半導体市場への参入で、現状は台湾子会社で新設した台南工場の早期立ち上げを完了し、生産能力拡大とシェア拡大を達成しつつある状況だ。今後の成長戦略で弊社が特に注目しているのは、中国市場への参入で、現時点では収益予想には織り込めないがポテンシャルは大きいとみている。

台湾子会社の新工場は顧客認定の遅れなどが理由で、商業生産の立ち上がりが当初計画から約6ヶ月間遅れた状況だ。この影響により2015年12月期(2015年1月−12月)は増収減益と計画を下回り、2016年12月期も新業績予想は前回公表値から下方修正されている。しかしながら、台湾子会社の商業生産開始にめどがつき、国内の同社本体の工場は効率化アップによる生産能力増強を果たすなど、成長戦略実現に向けて体制は整った。

同社への投資に際して真に注目すべきは2018年12月期以降の業績飛躍シナリオだと弊社では考えている。M&Aや業務提携によるシェア拡大、18インチウェーハへの世代交代、対中国ビジネスの進展など、現在の中期業績計画にまったく織り込まれていない事柄が、形を成してくるタイミングと重なるためだ。2016年と2017年はそのための準備期間であるというのが弊社の理解だ。

また、同社は、日本ベンチャーキャピタルが組成を予定しているファンドへ出資を行い、組成予定ファンドのリードLP(筆頭有限責任組合員)となり投資事業を開始する。投資先となるファンドは、製造業を中心とする日本の下町を活性化するような中小中堅企業に投資を行うもの。新たに設立する100%子会社を通じて組成予定ファンドに2億円の出資を行う予定。子会社の設立と事業開始は2016年7月を予定している。

■Check Point
・加工能力ベースの世界シェア29%を有し、グローバルトップのポジション
・コスト競争力や生産技術に強み
・業務提携やM&Aによって生産能力シェアを現在の約30%から40%レベルへ引き上げる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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