ブイキューブ Research Memo(3):クラウド型の法人向けWeb会議などのサービスが収益の柱
[16/04/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)事業概要
ブイキューブ<3681>グループの事業を端的に言えば、「インターネットを経由したビジュアルコミュニケーションサービスの提供」である。この代表例として、Web会議サービス、Webセミナーサービスなどがある。このビジュアルコミュニケーションサービスを、クラウドを使って提供する「SaaS(Software as a Service)」(主に月額課金方式)が同社グループの主力サービスとなっている。以下が同社グループのビジネスモデルの概要である。
●Web会議の特色
以前から電話会議やテレビ会議は大手企業を中心に利用されてきたが、これらのサービスを利用するためには特定の機器が必要であり、その機器を設置してある場所でしか利用できず、利用コストが比較的高価である。これに対して同社グループが提供するWeb会議サービスはインターネットを介して提供されるため、ネットへの接続が可能な場所であれば基本的にどこでも利用が可能である。さらに専用の機器や端末は不要で、一般的なPC、スマートフォン、タブレット端末などで利用可能である。すなわち、比較的安価に、「いつでも、どこでも、誰でも」利用できるのがWeb会議サービスの特色であり、テレビ会議に比べて優位な点である。
●クラウド型ビジネスの特徴
同社グループはクラウド型サービスを中心に事業展開を行っている。基本的には、よほど大きな中途解約がない限り、翌年度の売上高は前年最終月(12月)の月間売上高×12ヶ月に新規獲得分を加えた額となる。一般的に変動費が少ないので、売上高が増加すれば、そのかなりの部分が利益に上乗せされる公算が大きい。損益分岐点を超えてからは、利益率が高くなるのがクラウド型サービスの特色と言える。
●収入の源泉
同社グループがサービスを提供するのはほぼ法人であり、個人向けには2015年12月から連結子会社となったアイスタディ(株)(以下、アイスタディ(旧(株)システム・テクノロジー・アイ))がeラーニング製品を販売している。Web会議サービスを例にすると、取引先は中小企業から上場大手企業、官公庁、教育機関、各種団体まで幅広く、特定の業種に偏っていることはない。クラウド型サービスに関しては、利用規模によって月額利用料が異なっている(例えば、5千円から数百万円までとかなり幅広い)。したがって、契約先を増やすことと、1社当たりの契約利用料(契約ポート数×契約ポート単価)を増加させることが同社の売上高の増加(業績向上)につながる。料金は、定価で1ポート当たり月額11,000円からとなっている。
月額利用料の幅が広く、少額利用企業の増加から受ける影響が軽微であるため、利用顧客数こそ公表されていないが、一度契約すると途中解約する企業は少なく、大部分が契約を継続する状況にあるようだ。
2015年12月期の実績では売上高の64.9%がクラウド型(主に月額課金)となっているが、金融機関などセキュリティポリシーの関係からクラウド型を敬遠する顧客もあり、これに対しては顧客の設備内に専用サーバーを置いて使用する「オンプレミス型」(一括販売)のサービスも提供している。オンプレミス型の価格はクラウド型の約3年分の利用料相当額のようだが、オンプレミス型でも保守契約は継続されるため、こちらも顧客数を積み上げることが重要である。
また、上記に加え、ハードウェアとソフトウェアを一体として取り扱う、電子黒板システムなどを含むアプライアンスの売上がある。
商品構成としては、教育機関向けに電子黒板システム、官公庁や企業向けにディスカッションテーブル、企業向けにテレビ会議システム(V-CUBE Box)がある。電子黒板システムとディスカッションテーブルは主に連結子会社のパイオニアVC(株)(以下、PVC社)で、テレビ会議システムは同社グループ全体で販売している。
●主なコスト
同社グループの主なコストは、サーバー、通信回線(専用線)、ソフト開発費、営業費用などである。サーバーは外部のデータセンターを活用しているが、一部は同社グループ専用サーバーとして利用している。顧客(利用量)の増加に伴ってある程度サーバーを増強していく必要があり、サーバー費用は多少増加するが、規模が大きくなればなるほど売上高に対する比率は下がっていく。通信回線費用も同様で、売上規模の拡大ほどにはコストは増加しない。言い換えれば、売上高が損益分岐点を超えると、その後の売上高の増加は利益率向上につながる構造になっている。
一方、ソフト開発や営業費用などは「先行投資」的な要素があり、必ずしも規模(売上高)に比例しない場合もある。そのため計画によっては一時的に利益率向上の抑制要因になる。
また、アプライアンスは、例えば、電子黒板システムでは大型液晶ディスプレイを仕入れて販売するため、売上高の増加に比例して、売上原価が増える。
なお、同社グループは事業拡大のために、M&Aを積極的に実施する方針であり、実際、2015年12月期まで企業買収・資本業務提携等を積極的に実施してきた。今後も、その状況によっては、同社グループは事業規模の拡大とともに、買収先企業分のコストは増加することになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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(2)事業概要
ブイキューブ<3681>グループの事業を端的に言えば、「インターネットを経由したビジュアルコミュニケーションサービスの提供」である。この代表例として、Web会議サービス、Webセミナーサービスなどがある。このビジュアルコミュニケーションサービスを、クラウドを使って提供する「SaaS(Software as a Service)」(主に月額課金方式)が同社グループの主力サービスとなっている。以下が同社グループのビジネスモデルの概要である。
●Web会議の特色
以前から電話会議やテレビ会議は大手企業を中心に利用されてきたが、これらのサービスを利用するためには特定の機器が必要であり、その機器を設置してある場所でしか利用できず、利用コストが比較的高価である。これに対して同社グループが提供するWeb会議サービスはインターネットを介して提供されるため、ネットへの接続が可能な場所であれば基本的にどこでも利用が可能である。さらに専用の機器や端末は不要で、一般的なPC、スマートフォン、タブレット端末などで利用可能である。すなわち、比較的安価に、「いつでも、どこでも、誰でも」利用できるのがWeb会議サービスの特色であり、テレビ会議に比べて優位な点である。
●クラウド型ビジネスの特徴
同社グループはクラウド型サービスを中心に事業展開を行っている。基本的には、よほど大きな中途解約がない限り、翌年度の売上高は前年最終月(12月)の月間売上高×12ヶ月に新規獲得分を加えた額となる。一般的に変動費が少ないので、売上高が増加すれば、そのかなりの部分が利益に上乗せされる公算が大きい。損益分岐点を超えてからは、利益率が高くなるのがクラウド型サービスの特色と言える。
●収入の源泉
同社グループがサービスを提供するのはほぼ法人であり、個人向けには2015年12月から連結子会社となったアイスタディ(株)(以下、アイスタディ(旧(株)システム・テクノロジー・アイ))がeラーニング製品を販売している。Web会議サービスを例にすると、取引先は中小企業から上場大手企業、官公庁、教育機関、各種団体まで幅広く、特定の業種に偏っていることはない。クラウド型サービスに関しては、利用規模によって月額利用料が異なっている(例えば、5千円から数百万円までとかなり幅広い)。したがって、契約先を増やすことと、1社当たりの契約利用料(契約ポート数×契約ポート単価)を増加させることが同社の売上高の増加(業績向上)につながる。料金は、定価で1ポート当たり月額11,000円からとなっている。
月額利用料の幅が広く、少額利用企業の増加から受ける影響が軽微であるため、利用顧客数こそ公表されていないが、一度契約すると途中解約する企業は少なく、大部分が契約を継続する状況にあるようだ。
2015年12月期の実績では売上高の64.9%がクラウド型(主に月額課金)となっているが、金融機関などセキュリティポリシーの関係からクラウド型を敬遠する顧客もあり、これに対しては顧客の設備内に専用サーバーを置いて使用する「オンプレミス型」(一括販売)のサービスも提供している。オンプレミス型の価格はクラウド型の約3年分の利用料相当額のようだが、オンプレミス型でも保守契約は継続されるため、こちらも顧客数を積み上げることが重要である。
また、上記に加え、ハードウェアとソフトウェアを一体として取り扱う、電子黒板システムなどを含むアプライアンスの売上がある。
商品構成としては、教育機関向けに電子黒板システム、官公庁や企業向けにディスカッションテーブル、企業向けにテレビ会議システム(V-CUBE Box)がある。電子黒板システムとディスカッションテーブルは主に連結子会社のパイオニアVC(株)(以下、PVC社)で、テレビ会議システムは同社グループ全体で販売している。
●主なコスト
同社グループの主なコストは、サーバー、通信回線(専用線)、ソフト開発費、営業費用などである。サーバーは外部のデータセンターを活用しているが、一部は同社グループ専用サーバーとして利用している。顧客(利用量)の増加に伴ってある程度サーバーを増強していく必要があり、サーバー費用は多少増加するが、規模が大きくなればなるほど売上高に対する比率は下がっていく。通信回線費用も同様で、売上規模の拡大ほどにはコストは増加しない。言い換えれば、売上高が損益分岐点を超えると、その後の売上高の増加は利益率向上につながる構造になっている。
一方、ソフト開発や営業費用などは「先行投資」的な要素があり、必ずしも規模(売上高)に比例しない場合もある。そのため計画によっては一時的に利益率向上の抑制要因になる。
また、アプライアンスは、例えば、電子黒板システムでは大型液晶ディスプレイを仕入れて販売するため、売上高の増加に比例して、売上原価が増える。
なお、同社グループは事業拡大のために、M&Aを積極的に実施する方針であり、実際、2015年12月期まで企業買収・資本業務提携等を積極的に実施してきた。今後も、その状況によっては、同社グループは事業規模の拡大とともに、買収先企業分のコストは増加することになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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