アキュセラ Research Memo(7):上場による資金調達で当面の事業活動資金は十分な備蓄がある
[16/04/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 2015年12月期業績概要
3月9日付で発表されたアキュセラ・インク<4589>の2015年12月期の業績は、提携からの収益が前期比32.0%減の24,067千ドル(2,902百万円)となった。「エミクススタト」の臨床試験が最終段階に入り、臨床試験にかかる費用の減少に伴い、大塚製薬から得られる収益が減少したのが要因だ。研究開発費は前期比11.5%減の22,636千ドル(2,730百万円)となった。「エミクススタト」の費用が減少した一方で、VCM化合物に関連した社内研究開発費が増加した。
また、一般管理費は前期比179.8%増の27,987千ドル(3,375百万円)と大きく増加した。このうち13,900千ドル(1,676百万円)は臨時株主総会及び経営陣の変更に関連する一時的費用で、内訳は旧経営陣・従業員に対する株式報酬費用約10,500千ドル(1,264百万円)、弁護士・コンサルティング費用約2,300千ドル(271百万円)、新経営陣採用及び従業員残留手当等に関する費用約1,100千ドル(129百万円)となっている。通常の一般管理費は、前期比40.8%増の14,087千ドル(1,699百万円)となった。主な増加要因は、社内の経営管理システムの新規導入費用や本社移転に関連する費用などとなっている。
この結果、営業損失は26,556千ドル(3,202百万円)(前期は188千ドル(22百万円)の損失)、当期純損失は25,509千ドル(3,076百万円)(同2,006千ドル(241百万円)の損失)となった。
(2) 2016年12月期の業績見通し
2016年12月期の業績は、提携からの収益が25,000〜27,500千ドル(3,015〜3,316百万円)、営業損失が37,440〜36,940千ドル(4,515〜4,455百万円)、当期純損失が36,940〜35,740千ドル(4,455〜4,310百万円)となる見通し。提携からの収益は、「エミクススタト」の臨床試験に関わる、大塚製薬から払い戻しされる費用に直接連動して変動するためレンジでの開示となっている。ただ、マイルストーン収益やパートナー契約締結による契約一時金が入る可能性はある。
費用面では、「エミクススタト」の臨床第3相試験の開始に伴い、払い戻しされる可能性のある研究開発費用として22,500〜24,500千ドルを見込んでいる。一方、払い戻しされない費用として、インライセンス費用を含めた事業開発費および社内研究費の22,200千ドルを見込んでいる。このうち、白内障や網膜変性疾患を対象とした新たな治療法など事業ポートフォリオ拡大のためのインライセンスを含む事業開発費で約15,000千ドル、糖尿病網膜症、スターガート病及びその他非臨床研究を含む研究開発費用で約3,500百万円となっている。また、一般管理費は17,800千ドルとなり、前期の一時費用を除いたベースと比較すると約3,800千ドルの増加を見込んでいるが、主に日本での子会社設立や、東証マザーズ内国株式市場への再上場に関連した費用増、管理部門体制の強化に伴う費用増などを見込んでいる。
同社では「エミクススタト」の上市が成されるまでは、研究開発費用が先行するため、当面の業績は損失が続くものと予想している。
(3)財務状況
同社の財務状況は、2014年2月の株式上場により調達した資金が潤沢にあり、当面の事業活動資金には十分な備蓄があると言える。2015年12月末の総資産は前期末比21,016千ドル減少の175,950千ドル(21,221百万円)となったが、主に期間損失の計上に伴う長期投資の減少によるもの。それでも現金及び現金同等物と短期及び長期投資を合わせると166,525千ドル、日本円で約200億円の事業資金を抱えている。2016年度の損失は43〜44億円を見込んでいるが、今後4年程度は同水準の損失が続いたとしても手元資金で賄う余力がある計算となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YF>
(1) 2015年12月期業績概要
3月9日付で発表されたアキュセラ・インク<4589>の2015年12月期の業績は、提携からの収益が前期比32.0%減の24,067千ドル(2,902百万円)となった。「エミクススタト」の臨床試験が最終段階に入り、臨床試験にかかる費用の減少に伴い、大塚製薬から得られる収益が減少したのが要因だ。研究開発費は前期比11.5%減の22,636千ドル(2,730百万円)となった。「エミクススタト」の費用が減少した一方で、VCM化合物に関連した社内研究開発費が増加した。
また、一般管理費は前期比179.8%増の27,987千ドル(3,375百万円)と大きく増加した。このうち13,900千ドル(1,676百万円)は臨時株主総会及び経営陣の変更に関連する一時的費用で、内訳は旧経営陣・従業員に対する株式報酬費用約10,500千ドル(1,264百万円)、弁護士・コンサルティング費用約2,300千ドル(271百万円)、新経営陣採用及び従業員残留手当等に関する費用約1,100千ドル(129百万円)となっている。通常の一般管理費は、前期比40.8%増の14,087千ドル(1,699百万円)となった。主な増加要因は、社内の経営管理システムの新規導入費用や本社移転に関連する費用などとなっている。
この結果、営業損失は26,556千ドル(3,202百万円)(前期は188千ドル(22百万円)の損失)、当期純損失は25,509千ドル(3,076百万円)(同2,006千ドル(241百万円)の損失)となった。
(2) 2016年12月期の業績見通し
2016年12月期の業績は、提携からの収益が25,000〜27,500千ドル(3,015〜3,316百万円)、営業損失が37,440〜36,940千ドル(4,515〜4,455百万円)、当期純損失が36,940〜35,740千ドル(4,455〜4,310百万円)となる見通し。提携からの収益は、「エミクススタト」の臨床試験に関わる、大塚製薬から払い戻しされる費用に直接連動して変動するためレンジでの開示となっている。ただ、マイルストーン収益やパートナー契約締結による契約一時金が入る可能性はある。
費用面では、「エミクススタト」の臨床第3相試験の開始に伴い、払い戻しされる可能性のある研究開発費用として22,500〜24,500千ドルを見込んでいる。一方、払い戻しされない費用として、インライセンス費用を含めた事業開発費および社内研究費の22,200千ドルを見込んでいる。このうち、白内障や網膜変性疾患を対象とした新たな治療法など事業ポートフォリオ拡大のためのインライセンスを含む事業開発費で約15,000千ドル、糖尿病網膜症、スターガート病及びその他非臨床研究を含む研究開発費用で約3,500百万円となっている。また、一般管理費は17,800千ドルとなり、前期の一時費用を除いたベースと比較すると約3,800千ドルの増加を見込んでいるが、主に日本での子会社設立や、東証マザーズ内国株式市場への再上場に関連した費用増、管理部門体制の強化に伴う費用増などを見込んでいる。
同社では「エミクススタト」の上市が成されるまでは、研究開発費用が先行するため、当面の業績は損失が続くものと予想している。
(3)財務状況
同社の財務状況は、2014年2月の株式上場により調達した資金が潤沢にあり、当面の事業活動資金には十分な備蓄があると言える。2015年12月末の総資産は前期末比21,016千ドル減少の175,950千ドル(21,221百万円)となったが、主に期間損失の計上に伴う長期投資の減少によるもの。それでも現金及び現金同等物と短期及び長期投資を合わせると166,525千ドル、日本円で約200億円の事業資金を抱えている。2016年度の損失は43〜44億円を見込んでいるが、今後4年程度は同水準の損失が続いたとしても手元資金で賄う余力がある計算となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YF>