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トライSTG Research Memo(3):16/2期は売上高と売上総利益は2ケタの増収増益

注目トピックス 日本株
■業績動向

(1) 2016年2月期業績概要

トライステージ<2178>の2016年2月期の連結業績は、売上高が前期比15.4%増の37,131百万円、売上総利益が同12.0%増の3,576百万円と2ケタ増収増益となったが、中長期成長に向けた人員増強などを中心に販管費が増加したことで、営業利益は同2.3%減の898百万円となった。また、経常利益は同4.4%減の890百万円、当期純利益は同11.0%減の474百万円となった。ただ、会社計画に対してはいずれも上回って着地した。事業セグメント別の動向は以下のとおり。

○ダイレクトマーケティング支援事業
ダイレクトマーケティング支援事業の売上高は前期比14.7%増の28,301百万円、営業利益は同7.7%減の902百万円となった。ここ数年、インターネット市場の拡大に伴い通販企業のマーケティング費用に占めるWeb広告の比率が上昇するなかで、テレビによるマーケティング支援を主力とする同社の売上高は減少トレンドが続いてきたが、テレビ通販枠のデータベース化・分析により仕入が適正化し販売価格が安定化してきたこと、また新規顧客の開拓を強化してきた効果などにより、売上高は5期ぶりの増収に転じた。

とりわけ、取引開始2年以内の新規顧客の売上高が前期比78%増の3,668百万円と大幅に増加し、増収要因の4割強を占めたことが注目される。スポーツジム等の会員獲得型企業や通信教育サービス企業などの売上高が伸びたほか、当期よりWeb専業の広告代理店に放送枠を卸販売し始めたことも寄与した。Web広告代理店の顧客の中にはテレビ広告を利用したいというニーズがあり、こうしたニーズの取り込みを開始した格好となる。

売上総利益は前期比11.3%増の3,230百万円となった。増収効果に加えて、前期から実施している営業プロセス管理(データベースに基づいた適正価格による仕入販売)の徹底や、仕入枠割振りの最適化による収益性改善を進めてきたことが寄与した。売上総利益率は前期比0.4ポイント低下の11.4%となり、特に第3四半期以降の低下が目立ったが、これは主要顧客1社の出稿について上期に多く出し過ぎた反動が下期に出たことによるもので、この要因を除けば利益率は前期並みの水準を維持したとみられる。営業利益は3期ぶりの減益に転じたが、これは中期計画に基づく各施策を実行するための人員増強を図ったことで、人件費や業務委託費などが増加したことが要因となっている。

なお、同事業の売上高を領域別にTV、WEB広告、海外の3つに分けて見ると、テレビ事業は前期比15.6%増の282億円と好調に推移した一方で、今後の強化分野であるWEB広告事業は前期1.2億円から0.4億円に、海外事業は前期並みの0.3億円にとどまった。各領域ごとの取り組み状況は以下のとおり。

テレビ事業では関西・中国エリアでの顧客開拓を強化するため、関西支店を2015年9月に開設、順調に売上高を伸ばした。ただ、放送枠の仕入については当初、放送局との直接取引を主軸に進めていたが、直接取引比率は5割程度にとどまったもようだ。東京キー局ではまだ広告代理店経由での仕入が大半を占めており、半分の放送局が東京キー局に倣った格好となる。ただ、東京キー局でも直接取引は少しずつ増加しており、今後も直接取引の比率を引き上げていく方針に変わりない。

また、2015年4月から施行された機能性表示食品制度に対応して、効果的な広告表現をアドバイスするサービス「KINO-ad」(キノアド)を2015年8月より開始した。収益化までには至っていないものの問い合わせは多く、新規顧客開拓のフック役につながるサービスとして期待される。

WEB広告事業では2015年8月にWeb広告の効果測定サービスを行うロックオン<3690>と業務提携を発表し、新たな広告効果測定サービスの共同開発を進めている。テレビ広告がWeb経由での商品注文動向にどのような影響を与えるかを、オンラインで効果測定するサービスとなる。従来は、過去データの分析(オフラインアトリビューションサービス)しかできなかったが、オンラインでの測定を可能することでテレビ広告の重要性に対する訴求力が一段と高まる効果が期待される。サービスのリリース時期は2017年2月期の上期中となる見通しだ。

海外事業については将来の成長に向けた種まきが順調に進んでいる。2015年3月にタイの最大手テレビ通販事業者であるTV Direct Public Company Ltd.(以下、TVD社)との業務提携を発表し、日本企業のタイ進出、タイ企業のタイ国内及び日本進出における通販支援を行っていく。また、同年5月にはTVD社のマレーシア法人とも同様の業務提携を発表し、協業エリアを拡大している。TVD社はタイ国内に約300万人の顧客数を持ち、2015年の連結売上高は円換算で約90億円の規模となっている。

また、2015年12月にはインドネシアのテレビショッピングチャンネル向けディストリビュータ大手であるPT MERDIS INTERNATINAL(以下、MERDIS社)の株式の26%を取得し(約4億円)、日本の顧客企業に対してインドネシア向けのテレビ通販支援サービスを開始した。MERDIS社を通じて顧客企業の商品を販売していく。また、同時にインドネシアのテレビショッピングチャンネル「OShop」を運営するPT ELANG PRIMA RETAILINDO(エランプリマ社)とも業務提携を発表しており、インドネシアにおけるテレビ通販市場の販売チャネルを構築した。なお、MERDIS社は当第4四半期より持分法適用関連会社となっている。インドネシアにおけるテレビ通販市場は2014年で28.3億円とまだ日本と比較すると小さいものの、経済発展に伴ってここ数年は高い成長が続いており、今後の売上増が期待される。

海外事業に関しては、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、インドネシア、台湾と6ヶ国で事業展開する体制を整えた。同社は日本の顧客企業の商品を現地の業務提携先等に販売していくことになる。販売機能に関しては、2016年3月に事業承継した日本百貨店(株)を通じて行っていく予定だ。日本百貨店は日本各地の特産品・名産品や雑貨等を取り扱う小売事業を展開しており(実店舗は首都圏に7店舗)、年間売上高は2015年3月期で780百万円となっている。

なお、同社は海外事業の成長を加速していくため、4月19日付で双日<2768>との資本業務提携を発表している。提携の具体的な内容は、第1に双日が有する総合商社としてのネットワークや海外事業展開のノウハウと同社の海外既存及び新規投資事業を相互活用し、両社の海外事業を発展させること、第2に双日が有する商業施設運営ノウハウと同社が有するリアル店舗展開ノウハウを相互活用することで、同社及び子会社が展開するリアル店舗の新規出店を加速し、持続的成長につなげていくこと、第3に同社が有するテレビショッピング事業、Eコマース事業、リアル店舗等の販売網と、双日が有する国内外の情報ネットワークを連携させたオムニチャネル事業を推進していくことの3点となっている。また、資本提携としては5月12日付で同社が保有する自己株式144.56万株を双日が3,035百万円で取得(1株につき2,100円)する。総発行株数に対する双日の出資比率は、18.96%と第2位株主となる予定だ。なお、調達した資金については主に海外でのM&A及び資本業務提携に充当する予定となっている。

○ダイレクトメール発送代行事業
ダイレクトメール発送代行事業の売上高は前期比17.0%増の8,832百万円、営業損失は4百万円(前期は58百万円の損失)となった。営業損失はのれん償却額110百万円の影響によるもので、EBITDAベースでは前期比112.1%増の111百万円と黒字基調となっている。新規顧客の増加や大口顧客との取引増加が増収要因となり、売上総利益率も前期比0.1ポイント上昇の3.9%となった。直接取引が増加したことやコスト削減を進めたことが収益性向上に寄与した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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