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BEENOS Research Memo(4):クロスボーダー部門の流通総額、売上高は過去最高を更新

注目トピックス 日本株
■業績動向

(2)事業セグメント別の動向

事業セグメント別の四半期ベースの動向は以下のとおり。

○クロスボーダー部門
当第2四半期のクロスボーダー部門の流通総額は、前年同期比14.5%増の5,844百万円、売上高は同25.9%増の972百万円とそれぞれ過去最高を更新した。流通総額よりも売上高の伸び率が上回ったのは、円高により商品単価が低下したが、取扱個数ベースでは伸びたことによる。一方、営業利益は同29.8%減の78百万円と2四半期連続で減益となった。プロモーション費用やシステム開発費、人件費等の増加が要因だが、BEENOS<3328>では第2四半期までを先行投資期間と位置付けていたことから、ほぼ計画通りの進捗となっている。

流通総額の内訳を見ると、海外転送・代理購入事業は前年同期比15.6%増と2ケタ増ペースが続いたが、前四半期比では2.5%減となった。円高の影響で高価格品の売上げが伸び悩んだことが影響したが、取扱い個数で見れば前四半期比でも増加基調が続いている。12月中旬から手数料改定を実施し、「Buyee」の利用料金が値下げとなったほか、決済通貨も日本円ベースの決済から主要15通貨に対応するなど、利用者の利便性が格段に向上したことが取扱い個数の増加につながったと見られる。地域別では中国の伸びがやや鈍化したものの、台湾、香港、米国では引き続き高い伸びが続いているほか、タイやマレーシアなど東南アジア圏での利用者も第2四半期に入って増加が目立ってきた。台湾については今期よりコンビニでの受取りサービスを開始したことが取扱件数の増加に寄与していると見られ、今後は他国においても同様のサービスを展開していく予定だ。

海外転送・代理購入事業における会員数は前期末の70万人から当第2四半期末は86万人へ、また、国内の連携ECサイトも前期末の約800サイトから第2四半期末は約1,200サイトと順調に拡大しており、業界圧倒的No.1ポジションの体制を強固なものにしつつあると言えよう。

利益面に関しては手数料改定やプロモーション費用の戦略的投下に伴う一時的な費用増、並びに事業拡大に伴う設備、人員体制の強化を進めたことで減益となった。なお、同社では3月に鳥取県大山町に開発拠点となるサテライトオフィスを開設。4月からの稼働開始を予定している。鳥取県内のIT分野の雇用創出だけでなく、ECノウハウを駆使した訪日旅行客向けの施策を大山町と共同で模索し、新たなPRの仕組みを構築していく予定となっている。

一方、グローバルショッピング事業の流通総額は前年同期比10.0%増と前四半期から増加に転じ、前四半期比でも26.2%増と2四半期連続で増加するなど回復が鮮明となった。年明け以降、円高に振れたことに加えて、「sekaimon」サイトのリニューアルを第2四半期に実施し、利便性が向上した効果が大きい。具体的には、商品購入時に国際配送料の目安など商品代金以外の費用も解かりやすく表示するようにした。従来、国際配送料については倉庫に商品が到着した段階で重量を図ったうえで購入者に通知していたが、過去実績データに基づいた目安の配送料を明示することで、安心・安全にショッピングできるようにした。また、利用者の2割にとどまっていた女性顧客の拡大を図るため、女性向け専用のサイトを新たに作ったほか、独自のレコメンデーションエンジンを導入するなど、買い物をしたくなるサイトに改善した。

利益面では若干の営業赤字が続いたが、第3四半期以降は黒字転化が見込まれる。収益性向上施策として今期に入って米国倉庫やカスタマーセンターの内製化、及びフォワーダー(運送業者)の変更を進め、コスト削減と同時にサービス品質の向上を進めたほか、2月からは最低落札手数料を従来の500円から800円に引き上げたことも収益改善に寄与すると見られる。

○バリューサイクル部門
当第2四半期のバリューサイクル部門の売上高は前年同期比16.1%増の2,501百万円、営業利益は同108.7%増の264百万円と四半期ベースで過去最高の業績を達成した。ネットを介した中古ブランド品の買い需要は旺盛で、幅広いジャンルのブランド商材を取り扱う強みにより、2ケタ成長が続いている。

利益面では増収効果に加えて社内業務改善やアウトソーシング活用によるコスト構造の改善を進めたことが増益要因となった。また、前四半期比では増収効果とプロモーション費用の減少が増益要因となっている。

○リテール・ライセンス部門
当第2四半期のリテール・ライセンス部門の流通総額は前年同期比25.3%増の2,001百万円、売上高は同0.2%増の1,070百万円、営業利益は同17.8%増の57百万円となった。流通総額に対して、売上高の増収率が低いがこれはアーティストの公式ECサイトの運営等、受託販売の売上が増加したことが要因である。

ネットショッピング事業については前年同期比で若干の減収減益となったが、黒字基調は維持している。新規顧客獲得や既存顧客の利用促進に向けたプロモーション費用やシステム開発費を投下する一方で、粗利益率の高い自社開発のオリジナル商品の売上比率を引き上げていくことで全体の収益性向上を図る戦略だ。自社開発商品の売上比率は現在約6%と着実に上昇しおり、粗利益率に関しても前四半期比で改善傾向が続いている。

一方、商品プロデュース・ライセンス事業に関しては、人気アイドルグループのグッズ販売増を主因に前年同期比で増収増益となった。また、マスターライセンスを保有する「ECONECO」に関して初の長期店舗を2016年2月に新宿ルミネエストに出店している。4月にはポケモンとタイアップしたキャラクター商品の販売をポケモンセンター(オンラインストア含む)で開始しており、売上拡大が期待される。

○インキュベーション事業
当第2四半期のインキュベーション事業の売上計上はなく、営業損失で25百万円(前年同期は18百万円の営業利益)となった。

なお、3月末の営業投資有価証券は1,745百万円と前期末比で81百万円増加した。現在の主な出資先と出資比率は表のとおりで、ここ最近ではインドでの投資を積極的に行っている。当第2四半期では、インドで初のオンラインC2C不動産マーケットプレイス「NoBroker(ノーブローカー)」を運営するNobroker Technologies Solutions社やファッションマーケットプレイス「voonik.com」を運営するVoonik社に出資した。インド国内におけるインターネットプラットフォーム企業のなかでも市場平均を大きく上回る上位企業へ出資を行っており、同社の含み益もこれら企業の成長と共にさらに拡大しているものと推察される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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