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ジャストプラ Research Memo(2):主力のまかせてネット契約店舗数は過去最高水準に達している

注目トピックス 日本株
■事業概要

ジャストプランニング<4287>の事業は、ASP事業※、システムソリューション事業、物流ソリューション事業、その他事業という4つの事業セグメントに区分されている。2016年1月期の事業セグメント別の構成比を見ると、売上高ではASP事業と物流ソリューション事業が各43%台と2本柱となっているが、売上総利益ではASP事業が74.7%を占め収益柱となっている。各事業の内容については以下のとおり。

※ASP(Application Service Provider):情報端末で利用するアプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客にサービスとして提供する事業者、またはそのサービスのこと。

○ASP事業
ASP事業は、インターネットを介して売上、仕入、勤怠管理など店舗運営をしていくうえで必要な業務用ソフトを利用できるサービス、「まかせてネット」が主力となっている。主な顧客は、20〜50店舗規模のチェーン展開をしている中小規模の外食企業であり、「まかせてネット」を導入することで、顧客企業は店舗の経営状況を迅速、かつ低コストで収集・管理・分析することが可能となる。契約店舗からの月額利用料が売上高の大半を占めるストック型のビジネスモデルで、売上総利益率も78%程度と高く同社の主力事業となっている。

「まかせてネット」の月額利用料金は、利用するサービスによって変わるが、フルサービスの契約で定価が4.4万円である。これに対して現状の1店舗当たり月額利用料は平均で1.6万円台となっているが、これは売上管理や勤怠管理などサービス機能の一部を契約する企業が多いことが要因とみられる。それでも、競合企業の多くが1万円前後の料金水準で提供していることからすれば、同社の料金設定は比較的高額だが、これは、他社であれば別途追加料金が発生するようなカスタマイズにも、同社は無償で対応していることが要因となっている(ただし、大幅な仕様変更については別途料金が必要)。

2016年1月末時点の「まかせてネット」契約店舗数は、5,052店舗(契約企業数227社)と過去最高水準に達している。国内の外食チェーン店舗数も訪日外国人の増加や国内景気の回復により、2012年度以降緩やかながら増加傾向を示しており、2014年度末で5.89万店舗(日本フランチャイズチェーン協会調べ)となっている。同社の業界シェアは1割弱の水準だが、ターゲットとする50店舗以下の中小規模の外食チェーン向けに限ると、1割強のシェアと推定される。

競合企業としては、アルファクス・フード・システム<3814>、(株)日立システムズ、(株)アスピットなど同規模クラスの企業が10社以上ある。このうち、アルファクス・フード・システムの契約数は、2015年9月末時点で7,067店舗(283社)と同社を上回って業界トップの水準となっているが、ここ数年は差が縮まってきており、売上高もほぼ同水準となっている。また、外食企業向けのASPサービスとしては、インフォマート<2492>も受発注サービスを行っており、一部サービスが重複している。ただ、インフォマートは主に売り手側(食品卸会社向け)のサービスをメインとしている。このため、顧客が重複する場合は互いにシステム連携を行うなど良好な関係を構築している。

同社ではARPU(1店舗当たり売上高)の向上を図るため、「まかせてネット」以外の付加価値サービスの拡充もここ数年で進めている。2012年秋に発表したクラウド型POSオーダリングサービス「まかせてタッチ」を始め、2014年には公共料金価格適正化診断サービス、2015年には「まかせて通訳」(音声通訳サービス)、「Pre Order POS」(リアルタイム売上送信電卓アプリ)などの提供を開始している。

このうち、「まかせてタッチ」とは飲食店で来店客からのオーダーを受ける際に使用する専用端末を、iPadやiPod touchなどの汎用端末に置き換えたサービスとなる。同サービスの特徴は、専用端末と比較して初期導入費用が約3分の1と大幅に低減できることに加え、専用端末機並みの機能を実装していること、また、一般的に広く普及している端末を使うため、従業員の習熟度も早く、教育研修費用を圧縮できるほか、メンテナンス費用なども低減できるといったメリットがある。将来的には来店客のスマートフォンから直接オーダーが可能となるサービスや、オーダー情報を利用して接客向上につなげるサービスなど、追加機能の拡充も予定している。「まかせてタッチ」の導入費用は初期費用で10万円から、月額利用料は1店舗当たりオーダリングサービスで9,800円、POSサービスで5,000円、保守サービスで5,000円の合計19,800円となる。

スマートデバイスを使ったPOSオーダリングサービスは既に複数社が展開しているが、先行企業との違いは、他社が専用アプリでサービスを提供しているのに対して、同社はブラウザベースでサービスを提供していることにある。専用アプリでのサービス提供はAppleやGoogleによるOSの仕様変更によって、その都度改修が必要となる可能性があり、改修が間に合わなければサービスの提供を一時停止してしまうリスクがあると考えているためだ。ブラウザベースでのサービス提供であれば、そういったリスクはない。

また、「まかせて通訳」は多言語通訳サービスを提供するブレインプレス(株)と業務提携し、2015年9月より提供を開始したサービスで、飲食店内で外国人客とのコミュニケーションでトラブルが発生した場合に、ブレインプレスの多言語対応コールセンターに電話し、音声通訳を行うサービスとなる。対応言語は5ヶ国語(英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語)で、料金体系としては1店舗当たり月額3,000円(20分間)からのサービスとなり、サービス料の半分が同社の手数料収入となる。

販売ターゲットとしては既存契約店舗のほか、中規模〜大手飲食チェーン企業やカラオケ店、ホテル・旅館など他業態へも展開していく予定で、販売目標としては2018年1月までに30社への導入を目指している。2016年1月末時点で契約実績はないが、今後訪日外国人客数が増加してくれば、導入企業も増えてくるものと期待される。

「Pre Order POS」(リアルタイム売上送信電卓アプリ)の販売ターゲットとしては、百貨店などデベロッパー指定のPOSレジを使用せざるを得ないテナント店舗向けとなる。サービス内容としては、商品購入の会計前にスマートデバイス端末により注文入力し、注文データを同社サーバーに送信することで、商品別・時間帯別の売上データを収集・分析できるサービスとなる。また、都度の注文入力が困難な繁忙店舗では、POSレジからレシートを出力後に、まとめて売上商品情報を入力することも可能となっている。提供価格は初期費用として10万円(端末機器除く)、月額利用料は1店舗当たり9,800円となる。

○システムソリューション事業
システムソリューション事業は、主にASP契約企業の店舗に導入するPOSシステムやオーダリングシステムなど各種端末機器の販売や設定・メンテナンス収入などから構成されている。ただ、ASPサービスを新規契約した場合でも、既に店舗に端末機器が設置されている場合は買い替える必要がないため、ASP事業との売上の連動性は低い。また、端末機器に関しては仕入販売となるため、利益率も相対的に低くなっている。

○物流ソリューション事業
物流ソリューション事業は、子会社の(株)サクセスウェイで展開する事業である。主に外食企業向けの物流ソリューションやマーチャンダイズソリューション、本部業務代行サービスなどを展開している。現在は、労働集約型である物流業務代行サービスが売上の大半を占めていることもあり、売上高総利益率で15%前後とASP事業よりも低くなっている。収益性の向上を進めるため、同社で開発した物流管理のASPサービス「Logi Logi(ロジロジ)システム」(契約店舗数は約400店舗)の拡販に注力している。

○その他事業
その他事業では、店舗運営ノウハウを学ぶ社員研修の場として外食店舗2店舗(居酒屋)を運営しているほか、2014年10月に福岡県のゴルフバー1店舗を譲受している。また、2015年2月より栃木県那須エリアで太陽光発電事業(発電能力は2ヶ所で合計1.7MWh、売電価格は36円/kWh)を開始している。いずれの事業も子会社の(株)JPパワーで運営している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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