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GMOメディア Research Memo(4):スマホ強化で他社に先行、顧客基盤とアプリ対応の技術力、開発力を有する

注目トピックス 日本株
■事業環境、GMOメディア<6180>の強み・事業リスク

(1)事業環境

2015年の広告費(電通調べ)は6兆1,710億円と4年連続で前年実績を上回ったものの、景気が足踏み状態のなか、伸び率は前年比で0.3%にとどまった。こうした状況下で、同社の主要事業であるインターネット広告市場(媒体費+広告制作費)は、スマートフォン・動画・新しいアドテクノロジーを利用した広告が堅調に伸長し同10.2%増の1兆1,594億円と2ケタ成長となり、全体をけん引した。

中期的な事業環境も明るい。インターネット広告市場は今後も順調に拡大すると見込まれている。大手シンクタンクである野村総合研究所<4307>の予測によると、スマートフォンの普及によりアプリからのネット接続が増加することから、インターネット広告ではアプリ内のリワード広告(成功報酬型広告の一種で、訪問者に報酬の一部を還元する仕組みを持つ広告)や、SNSを活用した新たな広告手法が登場。それらが一定の成功を収めることで、国内インターネット広告媒体費は2014年の8,245億円から2021年度には約1.3兆円に拡大し、同市場でのスマートフォン向け広告の比率は2014年度の34%から2021年度には52%へ増加すると予想している。また、(株)CyberZ※と(株)シード・プランニングデジタルインファクトの共同調べ(2016年4月)でもスマートフォン広告市場規模は、2015年の4,542億円から2020年には7,527億円へ順調に拡大すると予想されている。

※サイバーエージェント<4751>の子会社。スマートフォンに特化した広告マーケティング事業等を展開

同社がポイントタウン経由で関与しているEC市場についても拡大が見込まれている。野村総合研究所によると、2014年度の12.6兆円から2021年度には倍増し、25.6兆円に達する見通し。この要因として、携帯端末の普及に伴い、時間や場所を問わずにECを利用できるようになったことが市場の成長を後押ししていることを挙げている。

(2)同社の強み・事業リスク

a)強み・優位性
同社の強みは、1)購買力があり、消費したい、得をしたいという欲求を持つ30代から50代までのポイントにセンシティブなユーザー層と、10代の中高生を中心とする流行に敏感で、情報発信力が強いと言われる若い女性ユーザー層という異なった属性のコア・ユーザー層の顧客基盤を有する、2)社員の過半数※1が技術者でスマートフォン強化によりアプリのエンジニアの育成が進んでいる、3)マーケティング・開発・運用のすべてを内製化、加えてシステムインフラを各サービス間で共用しているため、無駄な重複コストを発生させずに迅速で柔軟なサービス展開を行う体制を確立している、4) PC、スマートフォンにおけるSEO※2、ASO※3、コンテンツマーケティング※4ノウハウを社内に蓄積し、プロモーションコストをかけずに低コストで新規登録会員を獲得する仕組みを構築している、などを挙げることができる。

※1社員127人(2016年4月1日時点、役員と臨時従業員を除く)のうちエンジニアが50%、デザイナーが10%と制作関係の社員が半分以上を占めている。
※2 SEO (Search Engine Optimization):検索エンジン最適化の事で、サーチエンジンの検索結果ページの表示順位の上位に自らのwebサイトが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。
※3 ASO (App Store Optimization):スマートフォン向けアプリストアにおいて、検索結果ページやランキング表示において、上位に自らのスマートフォンアプリが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。
※4コンテンツマーケティング:顧客が必要とする情報を理解し、それを適切にコンテンツとして提供することで、集客・購買につながる行動を引き起こす手法。

ポイントサイトを運営する類似会社は、セレス<3696>(運営サイト名:moppy)、リアルワールド<3691>(同:げん玉)、VOYAGE GROUP<3688>(同:ECナビ)などを挙げることができるが、ポイント交換の手数料がないことが同業他社との大きな差別化要因として働いている。加えて、エンジニアによるアプリ対応が進んでいることも差別化要因であると考えられる。

b)事業リスク
集客(新規登録)がApp Store、Google Play等のアプリケーションを流通させるオンラインサービスに依存しているため、Apple Inc.やGoogle Inc.などアプリマーケット運営会社のアルゴリズムの変更等の事業戦略の変更、手数料率の変更、契約の終了や中止などが生じる場合、同社の業績は多大な影響を受ける可能性があることが最大の事業リスクである。

また、同社の代表取締役社長である森輝幸(もりてるゆき)氏は創業以来(2002年2月に社長就任)長期にわたり経営方針や事業戦略の決定及び社内風土の醸成に関して重要な役割を果たしてきた。このため、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難になった場合には事業や業績に影響が出る可能性があり、同社の強みの源泉であると同時にリスクでもあると考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)



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