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日本調剤 Research Memo(2):16/3期は大幅増収増益での着地となった

注目トピックス 日本株
■2016年3月期決算の概要

(1)決算分析

日本調剤<3341>は2015年4月に2016年3月期〜2018年3月期の3ヶ年中期経営計画を発表した。その初年度に当たる2016年3月期決算は、売上高219,239百万円(前期比20.6%増)、営業利益10,489百万円(同57.8%増)、経常利益9,878百万円(同64.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,329百万円(同127.8%増)と大幅増収増益での着地となった。同社は期中に上方修正を行ったが、その線での着地となった。

売上高は3事業部門とも前期比伸び率が2ケタとなり、全社ベースでも前期比20.6%増収となった。利益面では、売上高総利益率が前期の17.6%から当期は17.8%に拡大した一方で、売上高販管費率が13.9%から13.0%に低下した。その結果、売上高営業利益率は前期の3.7%から当期は4.8%へと大きく拡大した。販管費は前期比3,296百万円増加したが、そのうち2,039百万円は増収に伴う消費税等だった。

2016年3月期の特徴として、3事業部門全体が伸びた中で、医薬品製造販売事業と医療従事者派遣・紹介事業の利益構成比が一段と上昇したことが挙げられる。2016年3月期は両セグメント合計の比率が29%に伸長した。これは2年前の2014年3月期における構成比(15%)の2倍の水準だ。

セグメント別に詳細を見ると、主力の調剤薬局事業は売上高190,874百万円(前期比20.8%増)、営業利益は10,707百万円(同39.1%増)となった。同社は第2四半期決算時に上方修正を行ったがその中心要因は調剤薬局事業の好調だった。売上高伸長の要因として、大型新規出店に加えて既存店の売上も好調に推移したこと、高薬価のC型肝炎治療新薬の処方が増加したことなどが挙げられる。利益については、改定のない年であったなかで、ジェネリック医薬品増加や在宅医療推進などを通じた調剤報酬増加や各種経費抑制などが奏功して、大幅増益につながった。

医薬品製造販売事業は売上高32,598百万円(前期比18.3%増)、営業利益2,668百万円(同41.3%増)となった。ジェネリック医薬品の需要は国が進める使用促進策の流れに乗って堅調に増加が続いた。そうしたなか、日本ジェネリック(株)においてはつくば工場S棟の増強、長生堂製薬(株)においても本社第二工場を完成するなど、生産体制の拡充・強化を図る一方で生産品目の拡大と整理を行い、増収増益を達成した。

医療従事者派遣・紹介事業は売上高8,934百万円(前期比36.3%増)、営業利益1,599百万円(同26.3%増)となった。派遣紹介先の新規開拓及び登録者数の確保といった営業努力の他、厚労省が2015年10月に示した「患者のための薬局ビジョン」において薬剤師の果たすべき役割が一段と拡充・強化されたことに伴い、薬剤師の派遣・紹介需要が一段と高まり、同事業の収益を押し上げた。

(2)自己株式処分と売出し

同社は2015年11月24日、配当予想の修正と合わせて200万株の自己株式の処分及び売出しを決議し、最終的に175万株の一般募集分と223,700株の第三者割当による自己株式の処分によって約92億円の資金を調達した。約92億円の調達額のうち、約72億円は子会社の日本ジェネリックによる生産能力増強投資に、残りの20億円は社債償還資金に、それぞれ充当される予定だ。

同社はジェネリック医薬品の製造販売をグループ内で手掛けている点に特徴があり、その中核子会社である日本ジェネリックは2018年3月完成を目指して年産100億錠の生産能力を有する新工場を建設中だ。今回の自己株式処分と売出しは同社の課題とされていた自己資本比率の改善、財務基盤の安定化に寄与し、中長期的にポジティブだと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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