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サンワテクノス Research Memo(2):新中期経営計画「Challenge 1500」の詳細

注目トピックス 日本株
■業績の推移

(1)新中期経営計画の概要

サンワテクノス<8137>は2016年3月期を最終年度とする中期経営計画「JUMP 1200」に取り組んでいたが、その終了に伴い、2017年3月期から2019年3月期までの3年間の新中期経営計画「Challenge 1500」を新たに策定した。

新中期経営計画「Challenge 1500」では基本方針として、“電機・電子・機械のコアビジネスでお客様のものづくりに貢献する”。など4項目を掲げ、経営目標達成のための事業戦略として、「システム、装置、部品・コンポーネント販売事業」、「エンジニアリング事業」、及び「グローバルSCMソリューション事業」の3つを掲げている。事業戦略の各項目については後に詳述する。

同社は、これらの事業戦略の着実な実行を通じて、以下のような業績面での経営目標の達成を目指している。経営目標の水準としては、2016年3月期の実績や足元の事業環境を踏まえて、一旦仕切り直しをし、前中期経営計画で掲げた利益水準に再度チャレンジするようなイメージだ。同社は創立70周年である2020年3月期において150,000百万円の売上高を目指しており、新中期経営計画の最終年売上高目標137,000百万円は、そこにつながる最後の1段という重要な役割を担っている。

(2)「システム、装置、部品・コンポーネント販売事業」の詳細

「システム、装置、部品・コンポーネント販売事業」は同社の特徴でもある電機・電子・機械の3部門を有している点を生かし、それぞれ部門での販売を強化しようというものだ。ある意味では、これまでやってきていることを述べているに過ぎず、新鮮味がないと見えなくもない。しかし内容をよく見ると、“主要メーカーの代理店”としての枠から一歩踏み出して“新たな協業関係の構築・強化”や、“顧客ニーズの先取り”から一歩踏み出して“新製品の発掘”を目指すなど、“もう一歩先”を求める内容となっている点が注目される。

現状ではそれらの具体的な内容は明らかにされていないが、訪問取材を通じて得た感触では、いくつかの事例が着実に積み上がりつつあるようだ。弊社ではまた、この事業戦略ポイントを進めていくと、もう1つの事業戦略ポイントである「エンジニアリング事業」に収斂していくのではないかという印象を持っている。そうなるのはまだ先の話ではあるが、足元の収益基盤をさらに強化するという意味で、この事業戦略ポイントに注目していきたいと考えている。

(3)「エンジニアリング事業」の詳細

エンジニアリング事業の強化は、前中期経営計画から引き続いての同社の経営上の最重点課題だと弊社では考えている。同社においてエンジニアリング事業というのは、「電機・電子・機械の3部門の商品をそれぞれ単品販売するのではなく、システムとしてソリューションを提案する」ということで、言わば営業手法である。エンジニアリング事業としての売上高が立つのではなく、そこでの収益は電機・電子・機械の3部門に振り分けられることになる(将来的に事業部門が見直される可能性もあるが、現状の部門分けを前提とした場合)。

エンジニアリング事業について理解するためには、同社を食品スーパーに例えるのがわかりやすいかもしれない。これまでの同社は肉、魚、野菜を取りそろえて素材のまま顧客に販売してきた。エンジニアリング事業を行うということは、それぞれの食材を加工して販売するということだ。加工の度合いとしては、惣菜を作って販売するレベルから、お弁当の販売、複数の定食メニューの提供、さらには独立してレストラン経営を行う、と様々なレベルがある。弊社の有するイメージでは、前中期経営計画において既に惣菜の提供を始めているという状況だ。

弊社は、新中期経営計画においてエンジニアリング事業が本格的に離陸する可能性は十分に高いと考えている。その理由はいくつかある。まず、サンワテクノスタイランドでここ3〜4年の間、実績を積み上げて来ており、同社は海外市場から先にエンジニアリング事業を展開していく方針とみられる。まだ市場が固まっておらず、技術的な要求度も日本ほど高くないためと推察される。タイはその先兵であり、そこで実績を蓄積して、中国や北米などへと展開する計画だ。

もう1つの理由は、同社のエンジニアリング事業は、同社の仕入先と販売先の双方において、「手離れよくするために、切り出したい」と考えている部分であることだ。すなわち、「アウトソース・ニーズの取り込み」であるということだ。この点は非常に重要だと弊社では考えている。エンジニアリング事業は、追求しすぎると特に仕入先との間で競合関係となる可能性をはらんでいる。同社はしかし、その点は明確に否定しており、仕入先と販売先の双方がメリットを享受できるようなフレームワークを強く意識している。したがって、仕入先の大手メーカーからのサポートを受けながら、同社が中心に汗をかくことでエンジニアリング事業を成長させていくことができると弊社では期待している。

(4)「グローバルSCMソリューション事業」の詳細

グローバルSCMソリューション事業は、同社の13の海外現地法人がそれぞれ保有する物流倉庫やロジスティクスのノウハウを生かして、顧客に有料でサービスして収益を上げるとともに、商機拡大につなげようというアイデアから出てきたものだ。

グローバルSCMソリューション事業の具体的なあり方としては様々なものが考えられるが、一例を挙げれば以下のようなものだ。ある顧客からの注文に応じて商品を配送する際、注文を受けた商品に加えて、顧客が同時に必要としているものを、同社のカタログ品/非カタログ品を問わず、一緒に配送するというケースだ。言うまでもなく同社は、各商品についてマージンを得て、無料サービスではなく収益事業として、この事業を運営していく方針だ。

グローバルSCMソリューション事業は、今回初めて、唐突に出てきた印象があるが、そうではない。詳しくは後述するが、前中期経営計画時から、この事業を見据えて準備を行ってきた。その体制が整ったこともあり、今回事業戦略の1つとして明確にしたということだ。

この事業規模がどの程度のものになるかは明らかにされていない。今中期経営計画は事業がスタートして最初の3年間であり、過度に期待するのは避けるべきであろう。ただし、同社は事業単独の成長と同様に、他の事業戦略との相乗効果、間接効果にも期待している。また、エンジニアリング事業同様、収益は既存3分野に振り分けられるため、そもそも見えにくい構造となっている点にも注意が必要だ。四半期ごとの決算発表などを通じて丁寧に追跡していくことが重要だと弊社では考えている。

(5)新中期経営計画に対する考え方

新中期経営計画はまだ始まったばかりで、いわゆる評価をするにはまったくの材料不足で、時期尚早だ。そうしたなかで、「Challenge 1500」をどのように考えたらよいか、弊社では以下のように考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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