ワコム Research Memo(4):クリエイティブ・ペンタブレット市場において90%近い世界シェアを有する
[16/06/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■主力事業の詳細
(1)ブランド製品事業
ブランド製品事業の内容は自社ブランドのペンタブレット製品の開発・製造・販売だ。ワコム<6727>は1984年の製品発売以来、少しずつ市場を開拓して業容を拡大してきた。その間、同社のメインターゲットは、クリエイターと呼ばれる工業デザイナーやイラストレーターなどであった。クリエイターにはコストよりも高性能を追求する傾向がある。同社は自社製品の高性能を武器に、クリエイターや愛好家が中心となるクリエイティブ市場で急速にシェアを伸ばし、業容を拡大させてきた。現在ではクリエイティブ・ペンタブレット市場において90%近い世界シェアを有するまでになっている。
同社がクリエイティブ市場でシェアを伸ばし、デファクト化に成功した要因は、技術もさることながら、商品展開とマーケティングにある。ペンタブレットの草創期は、CAD(コンピュータを活用したデザイン)用入力デバイスという位置付けでデジタイザーと呼ばれ、主に工業用途/産業用途で利用されていた。それに対して同社は、筆圧を感知できる自社技術が描画に活用できる点に注目し、ペンタブレット(電子の筆と石板に由来)と名付けてデザイナーやイラストレーターなどのクリエイター向けに、描画用ツールとして製品開発・マーケティングを行った。これが成功しクリエイターや愛好家から高い評価を得て、クリエイティブ市場においてデファクトの地位を獲得した。
コンシューマ向けには電子ペンのBambooシリーズや、電子ペンとノートを一体化した「Bamboo Spark」などの製品がある。現在ではiPhoneやiPadを始め様々なスマートフォンやタブレットが電子ペンを用いての入力に対応している。同社ではそうしたサードパーティ(ワコムとは契約・提携上の関係はない第三者)の完成品メーカーによるモバイル端末でも利用可能な電子ペンを販売している。また、コンシューマ市場に関しては、将来的にデジタル文房具市場の立ち上がりが予想されており、同社もその市場には大きな期待を寄せて、積極的に活動している(詳細は後述)。
ビジネスソリューションは業務用途のペンタブレットの市場だ。典型的には、クレジットカードのサイン(電子サイン)の端末や金融機関での口座開設、宿泊施設の宿帳、教育、医療分野での利用がある。ビジネスソリューションの実際の営業活動は国ごとに実情が異なるが、SI(システムインテグレータ)企業への売込みが基本だ。SI企業が商業施設や国家プロジェクトのIT投資の部分を受注し、その一環で電子ペンによるサインシステムや、教育用ペンタブレットの採用が決まるという流れだ。ビジネスソリューションについては、潜在市場は大きいと期待されており、同社自身、中期経営計画においても高い年率成長率を見込んでいる。
ペンタブレット製品の売上高の推移を見ると、リーマンショック後の一時期を除いて順調な拡大が続いている。主力市場であるクリエイティブ市場において90%近いシェアを得ていることから明白なように、クリエイターや愛好家の間ではデファクト化しているため、ユーザーベースの拡大と更新需要の両方を取り込んで、順調に拡大していくものと弊社ではみている。
利益面では、2014年3月期と2015年3月期に営業利益率が13%台に低迷した。これは先行費用の増加や為替の影響などが原因と考えられる。その後利益率は反転し、2017年3月期は20%台の回復が見込まれている。ペンタブレット製品は自社ブランドで販売しているため粗利益率が高く、販管費の負担を考慮しても、本質的に営業利益率20%を稼ぐ力はあると、弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(1)ブランド製品事業
ブランド製品事業の内容は自社ブランドのペンタブレット製品の開発・製造・販売だ。ワコム<6727>は1984年の製品発売以来、少しずつ市場を開拓して業容を拡大してきた。その間、同社のメインターゲットは、クリエイターと呼ばれる工業デザイナーやイラストレーターなどであった。クリエイターにはコストよりも高性能を追求する傾向がある。同社は自社製品の高性能を武器に、クリエイターや愛好家が中心となるクリエイティブ市場で急速にシェアを伸ばし、業容を拡大させてきた。現在ではクリエイティブ・ペンタブレット市場において90%近い世界シェアを有するまでになっている。
同社がクリエイティブ市場でシェアを伸ばし、デファクト化に成功した要因は、技術もさることながら、商品展開とマーケティングにある。ペンタブレットの草創期は、CAD(コンピュータを活用したデザイン)用入力デバイスという位置付けでデジタイザーと呼ばれ、主に工業用途/産業用途で利用されていた。それに対して同社は、筆圧を感知できる自社技術が描画に活用できる点に注目し、ペンタブレット(電子の筆と石板に由来)と名付けてデザイナーやイラストレーターなどのクリエイター向けに、描画用ツールとして製品開発・マーケティングを行った。これが成功しクリエイターや愛好家から高い評価を得て、クリエイティブ市場においてデファクトの地位を獲得した。
コンシューマ向けには電子ペンのBambooシリーズや、電子ペンとノートを一体化した「Bamboo Spark」などの製品がある。現在ではiPhoneやiPadを始め様々なスマートフォンやタブレットが電子ペンを用いての入力に対応している。同社ではそうしたサードパーティ(ワコムとは契約・提携上の関係はない第三者)の完成品メーカーによるモバイル端末でも利用可能な電子ペンを販売している。また、コンシューマ市場に関しては、将来的にデジタル文房具市場の立ち上がりが予想されており、同社もその市場には大きな期待を寄せて、積極的に活動している(詳細は後述)。
ビジネスソリューションは業務用途のペンタブレットの市場だ。典型的には、クレジットカードのサイン(電子サイン)の端末や金融機関での口座開設、宿泊施設の宿帳、教育、医療分野での利用がある。ビジネスソリューションの実際の営業活動は国ごとに実情が異なるが、SI(システムインテグレータ)企業への売込みが基本だ。SI企業が商業施設や国家プロジェクトのIT投資の部分を受注し、その一環で電子ペンによるサインシステムや、教育用ペンタブレットの採用が決まるという流れだ。ビジネスソリューションについては、潜在市場は大きいと期待されており、同社自身、中期経営計画においても高い年率成長率を見込んでいる。
ペンタブレット製品の売上高の推移を見ると、リーマンショック後の一時期を除いて順調な拡大が続いている。主力市場であるクリエイティブ市場において90%近いシェアを得ていることから明白なように、クリエイターや愛好家の間ではデファクト化しているため、ユーザーベースの拡大と更新需要の両方を取り込んで、順調に拡大していくものと弊社ではみている。
利益面では、2014年3月期と2015年3月期に営業利益率が13%台に低迷した。これは先行費用の増加や為替の影響などが原因と考えられる。その後利益率は反転し、2017年3月期は20%台の回復が見込まれている。ペンタブレット製品は自社ブランドで販売しているため粗利益率が高く、販管費の負担を考慮しても、本質的に営業利益率20%を稼ぐ力はあると、弊社ではみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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