ADワークス Research Memo(4):17/3期は収益不動産残高の積み上げに注力し、増収増益を見込む
[16/06/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(3) 2017年3月期業績見通し
エー・ディー・ワークス<3250>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.9%増の16,500百万円、EBITDAが同29.5%増の1,200百万円、経常利益が同23.0%増の800百万円、当期純利益が同23.7%増の528百万円と増収増益を見込んでいる。
今期は収益不動産残高の積み上げに注力し、収益不動産販売については微増収にとどめる方針となっている。期末の収益不動産残高は前期末比37.4%増の20,000百万円まで積み上げていく考えだ。一方、ストック型フィービジネスについては、賃料収入が保有残高の積み上げによって前期比19%増の1,000百万円、その他収入で同2%増の1,000百万円を見込む。
a)第1四半期の業績見通しについて
なお、5月31日付で第1四半期の業績見通しを発表している。売上高は前年同期比31.9%減の3,125百万円、EBITDAは同27.5%減の222百万円、経常利益は同67.5%減の81百万円、四半期純利益は同32.7%減の109百万円となる見通しだ。前年同期比で減収減益となるが、これは前年同期の収益不動産販売事業の売上高が大きく伸びた反動のほか、前第3四半期の仕入れ物件が少なかったことで、当第1四半期に販売できる棟数が限定されたことが要因となっている。
国内不動産市場において前第3四半期は需給がタイトで売り手市場だったため、同社が希望する価格での仕入れが難しかったが、第4四半期以降は需給バランスもやや軟化しており、仕入れも順調に進んでいる。このため、第2四半期以降は販売棟数も前年並みに戻ると見ている。第1四半期業績の通期計画に対する進捗率は売上高で18.9%とやや低めだが、当初計画どおりであり、第2四半期以降に売上高、利益ともに増えていくことが予想される。
b)米国の収益不動産事業について
米国の収益不動産事業に関しては、売上高で2,000百万円、仕入高で3,000百万円とそれぞれ前期比2倍強に拡大していく計画となっている。米国では2014年3月期より事業活動を開始し、仕入情報のルートを確立するとともに、米国不動産取引の商慣習などノウハウの蓄積を行ってきた。物件取得のための資金調達に関しても、現地邦銀からの融資体制が整備されたことで、事業拡大のための環境が整ったと判断、今期より積極展開を進めていく。営業エリアに関しては、米国の中でも人口増加率が高く、不動産市況も安定しているカリフォルニア州西海岸に限定しているため、事業リスクも低いと言える。
中期目標としては、2019年3月期で売上高5,000百万円、収益不動産期中平均残高で5,000百万円、経常利益率で5%程度の水準を目指していく考えだ。今後の課題としては、販売力の強化が挙げられる。同社は国内の顧客向けに販売対象を限定しており、現在は、自社の顧客で構成されるオーナーズクラブ「Royaltorch」の会員や、提携先金融機関、税理士法人からの紹介で販売活動を行っているが、年間10棟以上を販売していくためには、その他の販売ルールの開拓もしていく必要があると考えている。同社では個人富裕層向けを対象とした米国不動産投資セミナーを開催するなど、直接販売のルートづくりにも取り組んでいる。なお、人員体制については現在、現地子会社で4名+本社3名の7名体制から、3年後には14名体制まで増員していく計画となっている。
足元の販売状況について見れば、関心度は高いようだ。直近の販売物件に関しては案内から3週間程度で売買契約が決まっており、また、リピート顧客からのニーズも出ていると言う。不動産投資を行う個人富裕家層にとっては、国内だけでなく海外に不動産を持つことによるリスク分散ができること、また、米国では賃料が年率3%ペースで上昇傾向を続けており空室率も低く、不動産オーナーの法的権限も日本と比べて強いこと※など、不動産投資に適した市場であることが徐々に認知されてきたのが要因とみられる。
※具体例を挙げると、借地借家法の不在、契約期間(1年)満了後の家賃改定は一方的告知により実施、家賃不払いテナントの強制退去等。
国内、とりわけ首都圏の不動産市況については、東京オリンピックが開催される2020年頃までは堅調に推移すると予想されるが、オリンピック後については不透明感が強い。このため、米国での収益不動産事業を拡大することは、収益の成長ポテンシャルを高めるだけでなく、事業基盤をより強固なものにする戦略として評価されるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(3) 2017年3月期業績見通し
エー・ディー・ワークス<3250>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.9%増の16,500百万円、EBITDAが同29.5%増の1,200百万円、経常利益が同23.0%増の800百万円、当期純利益が同23.7%増の528百万円と増収増益を見込んでいる。
今期は収益不動産残高の積み上げに注力し、収益不動産販売については微増収にとどめる方針となっている。期末の収益不動産残高は前期末比37.4%増の20,000百万円まで積み上げていく考えだ。一方、ストック型フィービジネスについては、賃料収入が保有残高の積み上げによって前期比19%増の1,000百万円、その他収入で同2%増の1,000百万円を見込む。
a)第1四半期の業績見通しについて
なお、5月31日付で第1四半期の業績見通しを発表している。売上高は前年同期比31.9%減の3,125百万円、EBITDAは同27.5%減の222百万円、経常利益は同67.5%減の81百万円、四半期純利益は同32.7%減の109百万円となる見通しだ。前年同期比で減収減益となるが、これは前年同期の収益不動産販売事業の売上高が大きく伸びた反動のほか、前第3四半期の仕入れ物件が少なかったことで、当第1四半期に販売できる棟数が限定されたことが要因となっている。
国内不動産市場において前第3四半期は需給がタイトで売り手市場だったため、同社が希望する価格での仕入れが難しかったが、第4四半期以降は需給バランスもやや軟化しており、仕入れも順調に進んでいる。このため、第2四半期以降は販売棟数も前年並みに戻ると見ている。第1四半期業績の通期計画に対する進捗率は売上高で18.9%とやや低めだが、当初計画どおりであり、第2四半期以降に売上高、利益ともに増えていくことが予想される。
b)米国の収益不動産事業について
米国の収益不動産事業に関しては、売上高で2,000百万円、仕入高で3,000百万円とそれぞれ前期比2倍強に拡大していく計画となっている。米国では2014年3月期より事業活動を開始し、仕入情報のルートを確立するとともに、米国不動産取引の商慣習などノウハウの蓄積を行ってきた。物件取得のための資金調達に関しても、現地邦銀からの融資体制が整備されたことで、事業拡大のための環境が整ったと判断、今期より積極展開を進めていく。営業エリアに関しては、米国の中でも人口増加率が高く、不動産市況も安定しているカリフォルニア州西海岸に限定しているため、事業リスクも低いと言える。
中期目標としては、2019年3月期で売上高5,000百万円、収益不動産期中平均残高で5,000百万円、経常利益率で5%程度の水準を目指していく考えだ。今後の課題としては、販売力の強化が挙げられる。同社は国内の顧客向けに販売対象を限定しており、現在は、自社の顧客で構成されるオーナーズクラブ「Royaltorch」の会員や、提携先金融機関、税理士法人からの紹介で販売活動を行っているが、年間10棟以上を販売していくためには、その他の販売ルールの開拓もしていく必要があると考えている。同社では個人富裕層向けを対象とした米国不動産投資セミナーを開催するなど、直接販売のルートづくりにも取り組んでいる。なお、人員体制については現在、現地子会社で4名+本社3名の7名体制から、3年後には14名体制まで増員していく計画となっている。
足元の販売状況について見れば、関心度は高いようだ。直近の販売物件に関しては案内から3週間程度で売買契約が決まっており、また、リピート顧客からのニーズも出ていると言う。不動産投資を行う個人富裕家層にとっては、国内だけでなく海外に不動産を持つことによるリスク分散ができること、また、米国では賃料が年率3%ペースで上昇傾向を続けており空室率も低く、不動産オーナーの法的権限も日本と比べて強いこと※など、不動産投資に適した市場であることが徐々に認知されてきたのが要因とみられる。
※具体例を挙げると、借地借家法の不在、契約期間(1年)満了後の家賃改定は一方的告知により実施、家賃不払いテナントの強制退去等。
国内、とりわけ首都圏の不動産市況については、東京オリンピックが開催される2020年頃までは堅調に推移すると予想されるが、オリンピック後については不透明感が強い。このため、米国での収益不動産事業を拡大することは、収益の成長ポテンシャルを高めるだけでなく、事業基盤をより強固なものにする戦略として評価されるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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