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ADワークス Research Memo(5):ビルの自社開発販売や不動産の小口販売などの新サービスを検討

注目トピックス 日本株
■第5次中期経営計画

(1)中期経営計画の位置付けと基本方針

エー・ディー・ワークス<3250>は2017年3月期から始まる第5次中期経営計画を発表した。2019年3月期までの3年間を「次の飛躍に向けた準備期間」と位置付け、3つの基本方針を掲げている。

第1に、「収益不動産残高の戦略的な拡充を通じた、強固な事業基盤の確立と安定的な収益基盤の追求」に取り組んでいく。従来戦略の踏襲となるが、国内における超低金利下が続く現状において、財務レバレッジを効かせながら収益不動産残高を積み上げていく。これにより、賃料収益という安定収益を増加させながら、収益不動産販売によるキャピタルゲインを得ることで、国内事業を着実に拡大させていく。

第2に、「新たな収益の柱となる事業の開発と育成」に取り組んでいく。新規事業の育成については、前述した米国事業を拡大し、収益柱の1つに育てていく。また、新規事業の開発に関しては、今期に事業企画室を新設し、新たなサービスを検討、開発していく。具体的には、ビルの自社開発販売や、不動産特定共同事業法を活用した不動産の小口販売、あるいは不動産に関連する保険サービスなどが考えられる。

第3に、「規模拡大に耐え得るケイパビリティの再構築」に取り組んでいく。具体的には、収益不動産残高の拡大に伴うアセットマネジメント機能の強化、収益不動産管理戸数の増加に伴うPM事業の質と量を強化するためのシステム再構築、オーナーズクラブ「Ryaltorch」を始めとするクライアントリレーション機能の強化などが挙げられる。このうち、アセットマネジメント機能については、今期より担当部署を新設した。また、PM事業部においては、ERPシステムの刷新を今秋に完了する予定で、業務効率の向上が見込まれる。オーナーズクラブについては、プライベートコンサルタントが現在、専任で2名(ほか兼務で2名)だけとなっており、現状165名の会員とのリレーションを更に強化していくため、専任コンサルタントの育成・増員を進めていく予定としている。

こうした3つの取組みを進めることにより、2020年3月期以降の成長基盤を構築していくことになる。

(2)経営目標値

最終年度となる2019年3月期の経営目標値としては、連結売上高で18,000百万円、EBITDAで1,600百万円、経常利益で1,000百万円、当期純利益で660百万円、ROEで7.4%を設定した。また、収益不動産残高は前期末の14,551百万円から2019年3月末は30,000百万円と2倍以上に拡大していく計画となっている。

今回の中期経営計画では売上高で年平均成長率4.6%と安定成長を見込み、利益ベースでは収益不動産残高の積み上げに伴う賃料収益の増加で達成する計画となっている。国内の収益不動産販売事業についてはほぼ横ばいで保守的な計画となっており、米国事業の増加分とその他新規事業等の立上げ費用分でほぼ相殺する格好となる。

このため、今後市場環境に大きな変化がない限りは、中期計画を達成する可能性が高いと弊社では見ている。課題は収益不動産残高を30,000百万円まで引き上げていくための資金調達となる。前期末の収益不動産残高が14,551百万円なので、30,000百万円まで積み上げるには15,500百万円ほどの資金が新たに必要となる。今後3年間のフリーキャッシュフローは2,000百万円弱程度(当期純利益+償却費の3年間累計)と予想され、前期末の現預金も2,607百万円と多くはないため、借入金やエクイティ・ファイナンスの実施で不足分を補うことになると見られる。

実際、同社は2016年5月に第3者割当による新株予約権を発行している。割当先はマイルストーン・キャピタル・マネジメント(株)で投資運用会社となる。発行した新株予約権が100%行使されれば、2,029百万円の資金を調達できることになる。株式数の増加により1株当たり株主価値は最大で20.2%希薄化することになるが、行使価額は45円(固定)と現在の株価(5月31日42円)よりもプレミアムを付けているため、株価への影響は抑制できる格好となっている。同社は2012年と2013年にエクイティ・ファイナンスを実施しているが、その際は株価の下落要因となる可能性があるライツ・オファリングでのファイナンスであった。

なお、同社は2015年12月17日付で発表した「コーポレートガバナンスコードに対する当社ガイドラインの制定に関するお知らせ」の中で、同社が目指す今後の規模感をガイダンスとして示している。具体的には、連結純資産で250億円、連結社員数で200名、時価総額350〜400億円としている。現状の連結純資産は58億円、社員数は115名、時価総額は90億円規模となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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