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ボルテージ Research Memo(5):「ダウト」のシーズン2を投入、ユーザー数のさらなる拡大を目指す

注目トピックス 日本株
■市場セグメント別動向

(1)日本語版恋愛ドラマアプリ

日本語版恋愛ドラマアプリは多くのヒット作に支えられ、順調な拡大が続いている。前述のように、2016年6月期第3四半期は『恋乱』と『ダウト』が計画を上回る売上高となり、利益面でも中核的存在となっている。『ダウト』はこれまでの恋愛ドラマアプリとは一線を画したコンセプトが好評で、2016年2月に投下したCMについても早々に回収を達成した。ボルテージ<3639>はこの勢いを逃さず、さらに収益拡大に結び付けるべく『ダウト』の“シーズン2”を2016年5月に投入した。新シリーズでは舞台をオフィスに移し、男性キャラに加えて女性キャラもダウトの対象となったため、男性ユーザーにも受け入れられる可能性があるのではと弊社では期待している。

『2LDK』のF2P版はクオリティ向上のために計画よりも遅れての投入となったため、当初の期待ほどには伸びなかったが、この作品はP2P版など他のPF向け配信でヒットした実績がある。F2P版はアバターやイベント要素の追加によってよりゲーム性の高いアプリに仕上がっており、今後の施策によって着実に収益を確保できるだろうと予想する。

そして、2016年6月期第4四半期以降の注目作としては、2016年4月にローンチされた『LOVE☆スクランブル』(以下、『ラブスク』)がある。本作は従来の日本語版恋愛ドラマアプリとは異なる要素を多分に持つが、特に同社の過去のヒット作のキャラクターがアプリの垣根を越えて集合するという大胆な構成と、同社初となるパズルアクションをメインに据えたゲームであるという点に注目が集まる。このアプリでは、同社の強みであるドラマ性を楽しみつつ、随所でパズルゲームをクリアしながらストーリーを進めていくことになる。ローンチ直後から1週間の時点では好調な滑り出しといえる結果が出せており、App Storeのランキングでも80位前後まで食い込んできている。5月中旬にはGoogle Playでの配信も追加され、さらに収益を伸ばしてくると期待される。また、『ラブスク』のユーザーが、そこに登場するキャラに惹かれてそのオリジナルアプリにも流入するという導線もできつつあるようで、こうした相乗効果が今後どの程度拡大するのかにも注目したい。

2017年6月期には引き続き名作IPタイトルも投入の検討が進められている。実現すれば2015年7月にローンチした『花より男子〜F4とファーストキス〜』(以下、『花男』)に続く作品となる。『花男』は当初の期待値が高過ぎたせいか、収益だけでみるとその水準には届いていないが、普段恋愛ゲームに馴染みのない層を取り込めたことはユーザー層自体の拡大に少なからず寄与した。次作のIPタイトルの詳細情報は現時点ではまったく漏れてこないが、今後何らかの動きがあることに期待したい。

(2)英語版恋愛ドラマアプリ

英語版恋愛ドラマアプリにおいては、前述のように、L10N、DRAGON、US REALの3シリーズを柱に拡大を図っている。現状は日本語タイトルの翻訳版であるL10NがP2P及びF2Pの両タイプのアプリをそろえて収益のほとんどを生み出している状況だが、L10Nがヒットするかどうかは翻訳元となるタイトルの強さにも大きく左右される。2016年6月期第4四半期から2017年6月期にかけては、L10Nの更なる拡大に加えて、北米市場向けオリジナルタイトルであるUS REALとDRAGONといった他の支柱を軌道に乗せることが大きなテーマだ。

US REALでは『Kisses & Curses』(以下、『Curses』)を本格的な収益改善フェーズに移行できるかがポイントだ。同アプリは2015年8月にテストリリースされて以来、ベース改善を積み重ねてきた。2016年3月にiOSの全米展開が完了し、改善サイクルも整備されたことに伴い、広告出稿も開始した。その後は急速に売上を伸ばしてきているが、絶対水準としては、当初の計画に対してまだ追いついていない状況だ。F2Pアプリということで開発・改善の負担も重くなりがちであるが、同社は、4月中旬以降はベトナムの開発会社にオフショア化し、運営コストの軽減を図っている。

DRAGON(対顧客向けには“AmeMix”と呼称)は2015年7月に『Astoria: Fate’s Kiss』(以下、『Astoria』)を、2016年3月に『Gangsters in Love』(以下、『Gangsters』)を、それぞれリリースして、“AmeMix”ファンの獲得に自信を深めたというのが現在の状況だ。今後は『Astoria』のシーズン3の投入や『Gangsters』の本格的広告展開に加え、シリーズ第3弾となるアプリの投入を予定している。

主力のL10Nでは『略称:Code』(邦題:『新選組が愛した女』)などのローンチが現時点でスケジュールされている。L10Nについては2017年6月期以降も定期的に投入していく予定だ。

(3)サスペンスアプリ

サスペンスアプリについては2016年6月期第4四半期以降も『六本木』のテコ入れが基本となる見通しだ。

同社がサスペンスアプリに進出した背景には、男性ユーザーの取り込みと「恋愛と戦いのドラマ」という企業理念に根差した商品ラインナップの拡充という2つがある。『六本木』はその第3弾であり、謎解き型だった前2作から、収集・育成型へと大きく仕様を変更している。弊社では、F2Pというアプリの本質(基本プレイ無料・アイテム課金制)には、特にマネタイズの面において、収集・育成型がより良くマッチすると考えており、これは正しい判断だったと評価している。

2015年11月のローンチ直後に比べ、一時はOS系アプリストアランキング等でも順位が低迷しがちであったが、これに対して同社は根気強くベース改善を継続して行ってきており、それらがKPI向上などで明白な効果を見せている。これを受けて2016年3月からは広告出稿も一部開始した。今後もいくつかの改善を控えているが、2017年6月期のさらなる飛躍に期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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