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エクストリーム Research Memo(7):M&A効果により高い成長が続く

注目トピックス 日本株
■業績動向

(3) 2017期3月期連結決算

a)会社計画の概要と経営方針
エクストリーム<6033>の2017年3月期連結業績※は、売上高が単独前期比43.2%増の3,441百万円、営業利益は同73.2%増の326百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同74.8%増の210百万円と大幅な増収・増益を予想しており、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに過去最高を更新する会社計画となっている。

※2016年4月15日付でウィットネストの株式を100%取得したことに伴い、連結決算へ移行する。

2017年3月期の経営方針として、クリエイター&エンジニアカンパニーとして更なるブランドの構築・浸透を図り、ソリューション事業の良好な事業環境を背景とした順調な成長をベースに、M&Aした子会社の売上高と利益を取り込むことで過去最高を更新することを目指している。また、前期にセグメント損失となったコンテンツプロパティ事業については、自社開発コンテンツと協業開発コンテンツのバランスを保ちながら黒字転換を目指す方針。両事業の売上構成比は、ソリューション事業90%、コンテンツプロパティ事業10%を見込んでいる。前提として、ソリューション事業におけるプロジェクト数は期首332件→期末424件、エンジニアの単価は期首554千円→期末589千円。また、ウィットネストののれん償却費は50百万円強/年。

b)ウィットネストの概要
子会社化したウィットネストはインフラ設計からサイト運用までワンストップソリューションを提供するSI事業及びAPIエコノミー※構築支援事業を主たる業務として展開している。ウィットネストの強み・特長として、1)大規模システムも安定して開発できるシステム開発力、2)クラウドを活用し目的にあったシステムを提案するシステム設計力、3)他システムや既存システムと連携しコスト/納期に応じた提案を行うシステム提案力、を有している。従業員は26人と少ないものの、2015年12月期の事業規模(非監査)は売上高612百万円、営業利益は229百万円と高収益を誇る。大手通信キャリア、資格取得支援事業会社や大手エステサロンなどのサービス企業、書籍リユースチェーン運営会社、小売企業など、同社と異なる顧客基盤を保有する。

※API(Application Programming Interface)とは、あるソウトウェアから別のソフトウェアの機能を呼び出す仕組みを指す。従来はシステム開発の現場で使われてきたが、近年Webサービスの急速な拡大を背景に、Web上で様々なサービスをつなげるための仕組みとして普及してきた。Webサービス上でのAPIは特に「Web API」と呼ばれることもある。Webサービス事業者に限らず企業などが保有するシステムやデータベースのAPIを公開する動きが活発化しており、これらのAPIで様々なサービスをつないだプラットフォームを「APIエコノミー」や「APIエコシステム」と呼んでいる。

c)事業別の戦略
ソリューション事業の具体的な戦略として、1)エンターテインメント系顧客の深耕、2)Webサービス関連顧客への深耕、3)「クリエイター&エンジニアカンパニー」のブランド確立、4)子会社と連携した新規顧客開拓、5)本社移転による採用率及び定着率の向上、の5点を掲げている。具体的な内容は以下のとおり。

1)エンターテインメント系顧客の深耕
主力ユーザーとして常時10人以上が常駐する大口顧客の開拓を推進し、同社のサービスが顧客にとって必要不可欠な環境を構築し、取引の継続性を高める。

2) Webサービス関連顧客への深耕
エンタメ業界の需要変動に対応できるように、クリエイティブな開発スキルを有する社員を成長著しいWeb業界へシームレスに活用する。

3)「クリエイター&エンジニアカンパニー」のブランド確立
顧客向け感謝祭などの定期開催により、プロダクション機能の効率性を常に訴求する。

4)子会社と連携した新規顧客開拓
ウィットネストが保有する顧客に同社の社員が常駐できる仕組みと体制を構築する。

5)本社移転による採用率及び定着率の向上
第2四半期に池袋駅直結のメトロポリタンプラザビル最上階へ移転することにより採用・定着率の向上と研修制度の充実を図り、社員力のアップを目指す。

一方、コンテンツプロパティ事業の戦略として、1)ゲームサービスは運営効率化を図り、広告費を抑制するなどの安定運営を行う、2)ライセンスサービスについては、同社の看板IPである「桃色大戦ぱいろん」、「ラングリッサー」などをアジア圏に向けて積極的に売り込むほか、「超兄貴」などのコミカルコンテンツは他社とのコラボレーションを積極的に展開することにより、IPホルダーとしてのブランドを確立する、3)ゲーム開発にとどまらず、ゲーミフィケーションコンテンツなどゲームと生活をつなげる新しい分野へチャレンジするほか、成長が見込まれるVR※分野へ参入するための技術研究を行う、を挙げている。

※VR:Virtual Realityの略。「人工現実感」あるいは「仮想現実」。人間の感覚器官に働きかけ、 現実ではないが実質的に現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術の総称。

弊社では、主力のソリューション事業はエンタメ系、非エンタメ系とも引合いが好調となっていると見られること、コンテンツプロパティ事業は家庭用ゲームの投入の計画がないことから前期に比べると業績が変動するリスクが少ないこと、加えて本社移転の効果が下期以降期待できること、などから、会社計画は保守的であると見ている。このため、ソリューション事業での受注動向、買収したウィットネストと連携した顧客開拓動向を注目する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)



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