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KYB Research Memo(3):主力のAC事業の増収効果や販管費の抑制などにより営業増益で着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

(1) 2016年3月期決算

●損益状況
KYB<7242>の2016年3月期は売上高で355,384百万円(前期比4.1%減)、営業利益で15,610百万円(同14.9%増)、経常利益で14,267百万円(同10.0%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,237百万円(前期比9,289百万円の減益)となった。

売上高は減収ながら、主力のAC事業の増収効果や販売管理費を抑制したことから全体では営業増益となった。一方で経常利益は円高に伴う為替差損益の影響(前期は1,214百万円の差益、当期は2,218百万円の差損)及び持分法による投資損失(ブラジル関連会社のレアル安に伴う業績悪化1,297百万円)によって前期比で大幅減益となった。また特別利益として有価証券売却益1,935百万円を計上したものの、特別損失として米国での独占禁止法関連の損失8,152百万円、減損損失4,044百万円(うち中国HC事業子会社の収益性低下に伴う減損損失が約3,500百万円)などを計上したことから親会社株主に帰属する当期純損益は2,237百万円の損失となった。

a)AC事業
主力の四輪車用緩衝器事業は北米向けOEM(新車用)及び中東向け市販が好調であったことから売上高は162,633百万円(前期比2.2%増)となった。一方で二輪車用緩衝器は26,330百万円(同1.2%減)、四輪用油圧機器は46,282百万円(同0.9%増)、その他緩衝器は5,703百万円(同4.8%増)とほぼ前年並みとなった。この結果、セグメント売上高は240,949百万円(同1.6%増)となった。

営業利益では、人件費増(約1,300百万円)及び減価償却費増(約1,100百万円)などの減益要因があったが、増収による効果(約3,700百万円)、品質関連引当金の減少(約3,000円)、各種経費の抑制(約2,000百万円)、新拠点(インド、メキシコ)の寄与(約1,300百万円)などによって吸収し、セグメント営業利益は14,330百万円(前期比106.4%増)と前期比では大幅増益となった。

b)HC事業
航空機用油圧機器やその他油機の売上高は前期比でほぼ横ばいであったが、中国の建機市場の低迷により中型ショベル向け油圧機器が大幅ダウンとなり主力の産業用油圧機器の売上高は79,854百万円(前期比18.1%減)と大きく減少した。この結果、セグメント売上高は95,142百万円(同16.0%減)となった。

営業利益については、人件費やその他経費削減による効果(約3,500百万円)があったものの、減収により約9,000百万円の減益となり、セグメント損益は41百万円の損失(前期は4,992百万円の利益)となった。

c)特装システム等
特装車両は9,004百万円(前期比7.1%増)と比較的堅調に推移したが、装置・その他が10,288百万円(同12.3%減)となり、セグメントの売上高は19,293百万円(同4.1%減)となった。減収の影響によりセグメント利益は1,321百万円(同20.2%減)となった。この部門は売上高、利益とも相対的に少ないので全体の収益に与える影響は小さい。

●財政状況
2016年3月期末の財政状況を見ると、流動資産は170,363百万円(前期末比14,496百万円減)となった。主要科目では現金及び預金5,621百万円減、受取手形及び売掛金10,321百万円減、棚卸資産1,191百万円増であった。固定資産は183,123百万円(同16,946百万円減)となったが、内訳は有形固定資産が155,598百万円(同8,312百万円減)、無形固定資産1,744百万円(同232百万円減)、投資その他の資産25,781百万円(同8,402百万円減)となった。この結果、資産合計は353,487百万円(同31,442百万円減)となった。

流動負債は141,536百万円(同7,939百万円減)となったが、主な変動は買掛債務の減少4,758百万円、短期借入金の増加3,441百万円などであった。固定負債は60,663百万円(同532百万円減)となったが、主な変動は長期借入金の減少4,444百万円、繰延税金負債の減少4,185百万円、退職給付に係る負債の増加7,882百万円などである。純資産は151,288百万円(同22,970百万円減)となったが、主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少5,268百万円、為替換算調整勘定の減少5,810百万円、退職給付に係る調整累計額の減少7,158百万円による。

●キャッシュフローの状況
2016年3月期のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは19,197百万円の収入(前期は21,123百万円の収入)となった。主な収入は税金等調整前純利益の計上3,697百万円、減価償却費18,203百万円、売掛債権の減少5,716百万円であった一方で、主な支出は棚卸資産の増加3,385百万円、仕入債務の減少2,335百万円などであった。投資活動によるキャッシュフローは19,456百万円の支出(同29,425百万円の支出)となったが、主に有形固定資産の取得(ネット)21,436百万円など。財務活動によるキャッシュフローは3,498百万円の支出(同580百万円の支出)となったが、主に短期借入金の純増による収入2,736百万円、長期借入金の純減による支出1,617百万円、配当金支払いによる支出3,065百万円による。この結果、期末の現金及び現金同等物の期末残高は25,295百万円(前期末比5,215百万円減)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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