カイオム Research Memo(1):スイスのADCT社と「LIV‐2008b」オプションライセンス契約を締結
[16/06/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
カイオム・バイオサイエンス<4583>は、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)発の創薬基盤技術型バイオベンチャーで、独自の創薬基盤技術であるADLib®システムを核とした抗体医薬品の創薬事業および創薬支援事業等を行っている。ADLib®システムの特徴は、従来の抗体作製技術と比較して「多様性」「迅速性」「困難抗原への対応」に優れていることにあり、従来方式では作製が困難な抗体を中心に研究開発を進めている。
2016年12月期第1四半期(2016年1月〜3月)の業績は売上高で51百万円、営業損失で302百万円となった。中外製薬<4519>グループとの共同研究・委託研究が売上高の半分以上を占めている。また、富士レビオ(株)からのライセンス料及びロイヤルティ収入は前年同期並みの水準となった。引き続き研究開発費や人件費などの固定費負担により、営業損失が継続する格好となっている。
当第1四半期のトピックスとしては、3月にスイスのADC Therapeutics社(以下ADCT社)と、がん治療用ヒト化抗体「LIV-2008b」※1に関して、ADC※2開発用途でのオプションライセンス契約を締結したことが挙げられる。ADCT社とは2015年も「LIV-1205」※3についての開発オプションライセンス契約を締結しており、2本目のオプションライセンス契約となる。今後、ADCT社がオプション権を行使して開発が順調に進めば、契約一時金及びマイルストーン収益合わせて110億円が得られる契約となっているが、オプション権が行使されない可能性もある。なお、同社では「LIV-1205」や「LIV-2008b」のnaked抗体、及び抗セマフォリン3A抗体のライセンス契約に向けた活動も継続して行っており、現在、複数社と交渉を行っている段階にある。
※1 LIV-2008b:乳がん、肺がん、膵臓がん、大腸がんを中心とする固形がんの細胞表面に発現する抗原(標的分子)「TROP-2」に結合し、がんの増殖活性を阻害するヒト化モノクローナル抗体。
※2 ADC(抗体薬物複合体)は抗体と薬物を結合させ、抗体の抗原特異性を利用して薬物を疾患部位に効率的に行き届かせることを目的とした医薬品のこと。次世代のがん治療法としても注目されている技術である。
※3 LIV-1205:肝臓がんを中心とする固形がんの細胞表面に発現する抗原(標的分子)「DLK-1」に結合し、がんの増殖活性を阻害するヒト化モノクローナル抗体。
完全ヒトADLib®システムの開発状況については、開発ステージにある先行品により、治療薬につながることが期待されている抗原に対して抗体作製を進めており、試験管内レベルの条件下で機能を確認した後、動物実験での薬効評価へ進めていく考えだ。動物実験の結果を持って技術導出活動を進めていく格好となるため、今後の開発動向が注目される。
2016年12月期の業績見通しは、創薬事業での合理的な業績予想の算定が困難なことから非開示となっているが、創薬支援事業の売上高は227百万円と前期比で若干の減収を見込んでいる。今期は収益体質を筋肉質なものとするため、希望退職による社員数の適正化を実施したほか、研究開発費もプロジェクトの選択と集中を行い抑制していく計画となっている。このため、営業損失額も前期からは縮小することが予想される。今後の注目ポイントは、LIV-1205抗体など現在、保有している抗体のライセンス契約動向並びに、完全ヒトADLib®システムにより作製した抗体の動物実験の結果となる。
■Check Point
・創薬事業と創薬支援事業からなる
・研究開発プロジェクトの選択と集中、筋肉質の組織体制作りを進める
・中外製薬グループ向けの売上構成比が高い
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2016年12月期第1四半期(2016年1月〜3月)の業績は売上高で51百万円、営業損失で302百万円となった。中外製薬<4519>グループとの共同研究・委託研究が売上高の半分以上を占めている。また、富士レビオ(株)からのライセンス料及びロイヤルティ収入は前年同期並みの水準となった。引き続き研究開発費や人件費などの固定費負担により、営業損失が継続する格好となっている。
当第1四半期のトピックスとしては、3月にスイスのADC Therapeutics社(以下ADCT社)と、がん治療用ヒト化抗体「LIV-2008b」※1に関して、ADC※2開発用途でのオプションライセンス契約を締結したことが挙げられる。ADCT社とは2015年も「LIV-1205」※3についての開発オプションライセンス契約を締結しており、2本目のオプションライセンス契約となる。今後、ADCT社がオプション権を行使して開発が順調に進めば、契約一時金及びマイルストーン収益合わせて110億円が得られる契約となっているが、オプション権が行使されない可能性もある。なお、同社では「LIV-1205」や「LIV-2008b」のnaked抗体、及び抗セマフォリン3A抗体のライセンス契約に向けた活動も継続して行っており、現在、複数社と交渉を行っている段階にある。
※1 LIV-2008b:乳がん、肺がん、膵臓がん、大腸がんを中心とする固形がんの細胞表面に発現する抗原(標的分子)「TROP-2」に結合し、がんの増殖活性を阻害するヒト化モノクローナル抗体。
※2 ADC(抗体薬物複合体)は抗体と薬物を結合させ、抗体の抗原特異性を利用して薬物を疾患部位に効率的に行き届かせることを目的とした医薬品のこと。次世代のがん治療法としても注目されている技術である。
※3 LIV-1205:肝臓がんを中心とする固形がんの細胞表面に発現する抗原(標的分子)「DLK-1」に結合し、がんの増殖活性を阻害するヒト化モノクローナル抗体。
完全ヒトADLib®システムの開発状況については、開発ステージにある先行品により、治療薬につながることが期待されている抗原に対して抗体作製を進めており、試験管内レベルの条件下で機能を確認した後、動物実験での薬効評価へ進めていく考えだ。動物実験の結果を持って技術導出活動を進めていく格好となるため、今後の開発動向が注目される。
2016年12月期の業績見通しは、創薬事業での合理的な業績予想の算定が困難なことから非開示となっているが、創薬支援事業の売上高は227百万円と前期比で若干の減収を見込んでいる。今期は収益体質を筋肉質なものとするため、希望退職による社員数の適正化を実施したほか、研究開発費もプロジェクトの選択と集中を行い抑制していく計画となっている。このため、営業損失額も前期からは縮小することが予想される。今後の注目ポイントは、LIV-1205抗体など現在、保有している抗体のライセンス契約動向並びに、完全ヒトADLib®システムにより作製した抗体の動物実験の結果となる。
■Check Point
・創薬事業と創薬支援事業からなる
・研究開発プロジェクトの選択と集中、筋肉質の組織体制作りを進める
・中外製薬グループ向けの売上構成比が高い
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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