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ジェイテック Research Memo(1):独自開発の多言語対応注文支援システム「グルくる®」を開始

注目トピックス 日本株
製造業向けの技術開発や製品設計などを行う高度技術者(テクノロジスト)の派遣及び業務請負業のジェイテック<2479>(代表取締役社長 藤本彰(ふじもとあきら)氏)は、2016年5月9日、2016年3月期の連結決算を発表した。売上高の約95%を占める主力の技術職知財リース事業は、人材確保が極めて困難な状況にあるため、対前期比で連結のテクノロジスト数が減少、加えて、利益率の高い仕事への選別を進めた結果、新規受注件数が減少し、減収となった。一方、一般派遣及びエンジニア派遣事業は、2015年6月に他社からの事業の一部買収によって設立した(株)ジェイテックビジネスサポート(旧:ベンチャービジネスサポート(株)2016年4月1日付で社名変更)が貢献し、増収となった。その結果、連結の売上高は前期並みを確保できた。ただ、人員確保のための採用コストや、新しい事業への投資及び人件費などの諸費用がかさみ、利益は営業利益段階から減少となった。

決算結果から明らかなように顧客の大手メーカーの業績回復に伴い、ライバルの技術者派遣企業間だけでなく、顧客との間でも技術系人材の争奪が激しくなり、テクノロジストの確保は極めて難しい状況になっている。このため、2016年3月期は、同社では技術職知財リース事業のほか、独自開発の多言語対応注文支援システム「グルくる®」を展開する新規事業と、派遣・請負事業のすそ野拡大へと事業・収益構造の改革を開始した。

「グルくる®」に関しては、2016年1月に特許を取得し、事業拡大に弾みがついた。また、事業展開に関しては、販売代理店の全国ネットワーク化を進めているほか、神奈川県鎌倉市の鎌倉商店街や都内の観光地、繁華街を対象に試験導入を行うといったキャンペーン活動を進めた。その結果、2016年1月に鎌倉市の老舗の日本料理店と正式契約するなど、2016年3月期中に11店舗と正式契約できた。さらに、これら販促活動によって得られた情報をもとにシステムの改良を進めた。

事業のすそ野拡大に関しては、2012年にLIXILグループ<5938>から買収した現(株)ジェイテックアーキテクトを軸に建設関連の技術者派遣・請負に関し、LIXILグループ以外へも拡大を図り始めた。さらに、ジェイテックビジネスサポートによるイベント支援スタッフや携帯ショップ支援作業員などの一般派遣事業や、ポスティング請負事業などもスタート。事業をテクノロジスト、エンジニア、一般派遣の「3層構造」とし、より幅広い人材ニーズに柔軟に対応できる事業体制を整えた。また、一般派遣は、中高年の社員の受け皿として終身雇用にも活用する。

これら構造改革は2017年3月期以降もさらに加速させる。同社は2016年5月に大阪市商店会総連盟との間で協賛企業となる協定を締結、「グルくる®」を総連盟に参加する310の商店会及び11,000の会員に紹介していく。「グルくる®」をプラットフォームに位置付けてPOSとの連動やWEB決済機能を付加することで、店舗での商品注文のインフラとして普及させる戦略にも着手、提携先企業を探し始めた。

事業のすそ野拡大は、2016年7月までに建設業及び宅地建物取引業の許可を取得し、建設業務に進出する。さらに、2017年3月期に介護関連、2018年3月期に保育関連の人材ビジネスに進出する。

構造改革への着手に伴い、2019年3月期を最終年度とする新たな中期経営目標を提示した。ここで示された業績目標は既存のメーカー向け技術者派遣・業務請負及び2016年3月期までに進出した一般派遣事業での収益のみの予想数値である。新たな事業が早期に軌道に乗れば収益の拡大が期待できる一方で、新たな事業への投資が増加し、業績目標が若干、下振れする可能性も秘めている。

■Check Point
・新規事業の「グルくる®」と派遣・請負事業のすそ野拡大へ経営資源を投入
・「グルくる®」でインバウンド需要を取り込む
・17/3期からは新たに介護・医療業界への人材ビジネスとスタート

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)



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