ジェイテック Research Memo(2):16/3期は増収減益で着地
[16/06/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■2016年3月期決算
(1)売上高及び利益の概要
ジェイテック<2479>の2016年3月期の連結決算は、 売上高が前期比0.2%増の3,356百万円、営業利益が同8.2%減の73百万円、経常利益が同2.4%減の76百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同18.9%減の47百万円で、2期連続の減益となった。
同社のセグメントは、「技術職知財リース事業」と、「一般派遣及びエンジニア派遣事業」の2つに分かれている。技術職知財リース事業は、同社本体(機械、電気・電子、ソフトウェア技術者派遣)と、ジェイテックアーキテクト(建設技術者派遣、旧:(株)エル・ジェイ・エンジニアリング、2015年10月1日付で社名変更)が展開し、一般派遣及びエンジニア派遣事業は、全額出資子会社の(株)ジェイテックアドバンストテクノロジ(旧:(株)ジオトレーディング、2015年10月1日付で社名変更)と2015年6月12日に事業買収の形でスタートしたジェイテックビジネスサポートが行っている。技術職知財リース事業は、新製品の開発や設計といった専門的で高度な技術を保有する人材であるテクノロジストを数年間のスパンで派遣する。一般派遣及びエンジニア派遣事業は、短期の開発案件に対応するための人材派遣や、中高年の技術者派遣、工場の製造部門への人材派遣などが中心である。また、ジェイテックビジネスサポートは、イベント支援スタッフの請負、携帯ショップ支援作業、住宅販売・運送業などの販売支援のための人材派遣、ポスティング事業を展開している。グループ全体の売上高に占める技術職知財リース事業の割合は、2016年3月期は95.3%となっており、一般派遣及びエンジニア派遣事業は4.7%を占めている。
これをもとに業績を分析すると、まず、売上高の面では、連結売上高が前期並みの水準だったのは、技術職知財リース事業が減収となったものの、一般派遣及びエンジニア派遣事業が増収となり、減収分を補ったためである。具体的には、技術職知財リース事業が連結でのテクノロジスト数と新規受注の減少で、前期比1.4%減の3,197百万円となったが、一般派遣及びエンジニア派遣事業がジェイテックビジネスサポートの加入によって同50.8%増の159百万円となった。なお、技術職知財リース事業の減収要因はセグメント別の業績でさらに説明する。
一方、利益面では、売上原価は新卒採用が想定を大きく下回ったことから研修費用が減少し、前期比2.5%減の2,538百万円となり、その結果、売上総利益は同9.7%増の818百万円を確保した。しかし、販管費が同11.9%増の745百万円となったため、営業利益は減少した。販管費の増加の最大の要因は人材募集のための広告費など採用費用が増加したことと、新規事業である「グルくる®」及び派遣・請負のすそ野を拡大する事業の育成のための投資及び人件費が拡大したためである。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、法人税等調整額の計上により法人税の支払い金額が増加したために減益幅が拡大した。以下にセグメント別の業績を分析する。
(2)セグメント別の業績
a)技術職知財リース事業
技術職知財リース事業は、売上高を構成する4要素(テクノロジスト数、テクノロジストの稼働率、テクノロジストの稼働時間、受注単価)を掛け算することによっておおまかに算出でき、営業損益はこれから売上原価と販管費を引けば算出できる。
これをもとに説明すると、売上高は、既に触れたとおり前期比1.4%減の3,197百万円となった。テクノロジスト数の減少と、電子・電気機器関連及び情報処理関連を除いた新規受注件数の減少が減収要因となった。稼働率、稼働時間、受注単価の上昇が増収要因として働いたが、減収分を補えなかった。
具体的には、2016年3月期末の連結のテクノロジスト数は470人と前期末比17人減少した。最大の要因は、顧客である大手の自動車メーカーや電機メーカーの業績向上に伴い、ライバルである派遣会社だけでなく、顧客であるメーカーとの間でも優秀な技術者人材の獲得競争が激しくなったためである。さらに新規受注件数の減少に関しては、新規受注件数が前期比17.6%減の727件となった。最大の要因は、営業要員を新規事業及び派遣・請負のすそ野を拡大する事業の開拓に振り向けたことと、価格競争を避ける目的で利益率の高い仕事への選別受注を進めたためである。
一方、稼働率(単体)は、平均稼働率が95.7%と前期比で2.9ポイント上昇した。稼働時間(単体)も1人当たりの平均工数は前期比3.5ポイント増の189.8時間となった。顧客の業績向上に伴い、作業時間も増加したことによる。さらに、受注単価は1時間当たり3,715円と前期比0.4ポイント上昇した。価格改定が浸透したほか、2013年から2015年までに新卒で入社した若手のテクノロジストが早期に戦力化し、平均単価の押し上げに寄与した。
セグメント利益は前期比1.9%増の375百万円となった。連結の利益でも説明したが、売上高の減少が減益要因となったものの、新卒採用が想定を大きく下回ったことから研修費用が減少した他、一般派遣及びエンジニアリング事業に営業要員を振り分けた分の人件費の減少などが増益要因となってセグメント利益を押し上げた。
b)一般派遣及びエンジニア派遣事業
一般派遣及びエンジニア派遣事業に関しては、既に触れたとおり、売上高が前期比50.8%増の159百万円となった。ジェイテックビジネスサポートが新たに収益源として加わったのが最大の要因である。ジェイテックビジネスサポートは、人材派遣、アウトソーシングやWebマーケティングなど、総合的な企業支援サービスを行っている(株)ベンチャー総研(本社:東京都千代田区、代表取締役 林誠一郎(はやしせいいちろう)氏)とグループのベンチャービジネスサポート(本社:東京都中央区、代表取締役 田村岩四朗(たむらいわしろう)氏)から一般派遣事業であるヒューマンリソース事業とポスティング事業の一部を買収する形で発足した。
しかし、ジェイテックビジネスサポートの設立費用や、事業のすそ野を拡大するための投資等により、セグメント損失は3百万円(前期は14百万円の利益)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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(1)売上高及び利益の概要
ジェイテック<2479>の2016年3月期の連結決算は、 売上高が前期比0.2%増の3,356百万円、営業利益が同8.2%減の73百万円、経常利益が同2.4%減の76百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同18.9%減の47百万円で、2期連続の減益となった。
同社のセグメントは、「技術職知財リース事業」と、「一般派遣及びエンジニア派遣事業」の2つに分かれている。技術職知財リース事業は、同社本体(機械、電気・電子、ソフトウェア技術者派遣)と、ジェイテックアーキテクト(建設技術者派遣、旧:(株)エル・ジェイ・エンジニアリング、2015年10月1日付で社名変更)が展開し、一般派遣及びエンジニア派遣事業は、全額出資子会社の(株)ジェイテックアドバンストテクノロジ(旧:(株)ジオトレーディング、2015年10月1日付で社名変更)と2015年6月12日に事業買収の形でスタートしたジェイテックビジネスサポートが行っている。技術職知財リース事業は、新製品の開発や設計といった専門的で高度な技術を保有する人材であるテクノロジストを数年間のスパンで派遣する。一般派遣及びエンジニア派遣事業は、短期の開発案件に対応するための人材派遣や、中高年の技術者派遣、工場の製造部門への人材派遣などが中心である。また、ジェイテックビジネスサポートは、イベント支援スタッフの請負、携帯ショップ支援作業、住宅販売・運送業などの販売支援のための人材派遣、ポスティング事業を展開している。グループ全体の売上高に占める技術職知財リース事業の割合は、2016年3月期は95.3%となっており、一般派遣及びエンジニア派遣事業は4.7%を占めている。
これをもとに業績を分析すると、まず、売上高の面では、連結売上高が前期並みの水準だったのは、技術職知財リース事業が減収となったものの、一般派遣及びエンジニア派遣事業が増収となり、減収分を補ったためである。具体的には、技術職知財リース事業が連結でのテクノロジスト数と新規受注の減少で、前期比1.4%減の3,197百万円となったが、一般派遣及びエンジニア派遣事業がジェイテックビジネスサポートの加入によって同50.8%増の159百万円となった。なお、技術職知財リース事業の減収要因はセグメント別の業績でさらに説明する。
一方、利益面では、売上原価は新卒採用が想定を大きく下回ったことから研修費用が減少し、前期比2.5%減の2,538百万円となり、その結果、売上総利益は同9.7%増の818百万円を確保した。しかし、販管費が同11.9%増の745百万円となったため、営業利益は減少した。販管費の増加の最大の要因は人材募集のための広告費など採用費用が増加したことと、新規事業である「グルくる®」及び派遣・請負のすそ野を拡大する事業の育成のための投資及び人件費が拡大したためである。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、法人税等調整額の計上により法人税の支払い金額が増加したために減益幅が拡大した。以下にセグメント別の業績を分析する。
(2)セグメント別の業績
a)技術職知財リース事業
技術職知財リース事業は、売上高を構成する4要素(テクノロジスト数、テクノロジストの稼働率、テクノロジストの稼働時間、受注単価)を掛け算することによっておおまかに算出でき、営業損益はこれから売上原価と販管費を引けば算出できる。
これをもとに説明すると、売上高は、既に触れたとおり前期比1.4%減の3,197百万円となった。テクノロジスト数の減少と、電子・電気機器関連及び情報処理関連を除いた新規受注件数の減少が減収要因となった。稼働率、稼働時間、受注単価の上昇が増収要因として働いたが、減収分を補えなかった。
具体的には、2016年3月期末の連結のテクノロジスト数は470人と前期末比17人減少した。最大の要因は、顧客である大手の自動車メーカーや電機メーカーの業績向上に伴い、ライバルである派遣会社だけでなく、顧客であるメーカーとの間でも優秀な技術者人材の獲得競争が激しくなったためである。さらに新規受注件数の減少に関しては、新規受注件数が前期比17.6%減の727件となった。最大の要因は、営業要員を新規事業及び派遣・請負のすそ野を拡大する事業の開拓に振り向けたことと、価格競争を避ける目的で利益率の高い仕事への選別受注を進めたためである。
一方、稼働率(単体)は、平均稼働率が95.7%と前期比で2.9ポイント上昇した。稼働時間(単体)も1人当たりの平均工数は前期比3.5ポイント増の189.8時間となった。顧客の業績向上に伴い、作業時間も増加したことによる。さらに、受注単価は1時間当たり3,715円と前期比0.4ポイント上昇した。価格改定が浸透したほか、2013年から2015年までに新卒で入社した若手のテクノロジストが早期に戦力化し、平均単価の押し上げに寄与した。
セグメント利益は前期比1.9%増の375百万円となった。連結の利益でも説明したが、売上高の減少が減益要因となったものの、新卒採用が想定を大きく下回ったことから研修費用が減少した他、一般派遣及びエンジニアリング事業に営業要員を振り分けた分の人件費の減少などが増益要因となってセグメント利益を押し上げた。
b)一般派遣及びエンジニア派遣事業
一般派遣及びエンジニア派遣事業に関しては、既に触れたとおり、売上高が前期比50.8%増の159百万円となった。ジェイテックビジネスサポートが新たに収益源として加わったのが最大の要因である。ジェイテックビジネスサポートは、人材派遣、アウトソーシングやWebマーケティングなど、総合的な企業支援サービスを行っている(株)ベンチャー総研(本社:東京都千代田区、代表取締役 林誠一郎(はやしせいいちろう)氏)とグループのベンチャービジネスサポート(本社:東京都中央区、代表取締役 田村岩四朗(たむらいわしろう)氏)から一般派遣事業であるヒューマンリソース事業とポスティング事業の一部を買収する形で発足した。
しかし、ジェイテックビジネスサポートの設立費用や、事業のすそ野を拡大するための投資等により、セグメント損失は3百万円(前期は14百万円の利益)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
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