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スターティア Research Memo(3):「IT商材の販売会社」から「ITサービス会社」への変革

注目トピックス 日本株

■持続的成長に向けた取り組み

(1)新しい取り組みの背景と全体像

2017年3月期の開始に当たり、スターティア<3393>は事業構造の大幅見直しを行った。その大枠は、従来の「IT商材の販売会社」から「ITサービス会社」へと変革することで、持続的成長を目指すというものだ。

同社はこれまで、“持続的成長の実現”という目標を目指して事業を行ってきた。2016年3月期においてウェブソリューション事業が業績不振になったことは、同社に、組織の在り方も含めた事業構造全体の見直しを決断させるきっかけとなった。同社はかねてより、次のステージに事業モデルを進めることを検討していたが、比較的順調な拡大が続いていたため、あえてリスクを冒す必然性がなかった。2016年3月期決算で同社のこれまでの営業戦略がワークしなくなりつつことがより明確となったことで、背中を押された形だ。

“ITサービス会社への変革”という表現は、実は正確ではない。同社自身は、創業以来一貫して、ITサービス会社という意識で事業を行ってきている。同社としてはそもそも目指していた方向に一歩足を進めたに過ぎないという認識であろう。にもかかわらず、弊社があえて上記のように表現したのは、従来は、個々のITの商材(ソフトウェアやクラウドサービス、ネットワーク機器など)を販売することがビジネスであったのに対し、これからはそれらの商材を組み合わせた“仕組み”やアイデア、あるいはサービスを提供するという形に変えていく計画であるためだ。

目に見える具体的変化は、組織体制を変革して、事業部門を「デジタルマーケティング関連事業」と「ITインフラ関連事業」の2部門体制としたことだ。これら2つの事業部門の事業領域が、そのまま同社が注力する2つの事業を体現している。この詳細は後述する。

(2)組織体制の変更

新体制での同社の事業ドメインは2つだ。1つはマーケティング支援の事業だ。同社グループが開発した様々なアプリケーションソフト、ツールを活用することで、顧客企業のマーケティング活動の効率性を上げて売り上げ増をサポートしようというものだ。同社が提供するツールはWebマーケティングやeコマース(EC)にとどまらず、もっと広い領域(Eメールマーケティング、オムニチャネル施策、顧客データベースなど)をカバーしており、同社はこの事業を『デジタルマーケティング関連事業』と称している。この事業ドメインは、同社が従来からウェブソリューション事業として行ってきたことと重なる。それゆえ、今回の組織再編においては、事業部門の名称を変更するという形になった。

もう1つの事業領域は、システムインテグレーション(SI)事業だ。詳細は後述するが、従来の3事業部門体制のなかのネットワークソリューション事業とビジネスソリューション事業がカバーしていた領域のサービスや商材はまさに、SI事業の領域と重なっていた。そこで同社は、2つの事業部門を統合してインフラ事業本部を設置し、報告セグメント名は「ITインフラ関連事業」とした。

なお、2016年3月期中にコーポレートベンチャーキャピタル事業推進室(CVC室)が設置されてスタートしたコーポレートベンチャーキャピタル事業は、「その他事業」セグメントとして今期以降も継続する。したがって、IR開示上のセグメントは3事業部となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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