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ハウスコム Research Memo(3):地域密着を重視

注目トピックス 日本株
■直営店展開と一歩先を行くネット活用

(1)ビジネスモデルの特徴1:直営店舗

ハウスコム<3275>のビジネスモデルは直営店の展開が基本となる。店舗数が増えると仲介の成約件数も増え、周辺サービスも含めた事業規模が拡大する。ただし、出店時の費用や人材育成、成長途上の期間の負担があるため、年間の出店可能数は10店舗前後が適切なペースである。同社の出店のモデルケースでは、おおむね出店から2年目に営業収益が増加し、5年目には高位安定するという成長軌道を描く。店舗網を一定ペースで拡大しながら、並行して、将来的な成長率の低減に備えて新商品や新規事業の開発を進めることが同社の基本戦略だ。

同社は、“不動産取引は地域性が強く、マニュアル化したオペレーションや本部から店舗への上意下達による中央集権的店舗運営では、十分な集客や顧客満足は得られない”という考えから、直営店でありながら、画一的な統一オペレーションを取らない。地域密着を重視する方針を打ち出しており、販促・広告においても地域特性に合った方法を選択し、また、店舗での接客も地域の実情に応じたやり方で行う。具体策の1つとしては、グループ制のもと4〜5店舗を担当するグループマネージャーが各店舗・エリアがそれぞれ行う取り組みを全社方針の下に適切にコントロールする。

(2)ビジネスモデルの特徴2:一歩先を行くネット活用

消費者の物件選びにおいてインターネットの重要性は増している。より安心できる業者から、より効率的に、より自分に合った物件を賃貸したいという消費者心理から、店舗来店の前にじっくりネットで調べることは当たり前になっている。来店後もネットを介したコミュニケーションを好む消費者が多い。同社では過去1年に積極的に新技術を取り入れ、顧客接点のレベルアップを図ってきた。a) AI(人工知能)を使った物件検索サービス、b)店舗ホームページに全スタッフ写真掲載、c) Web来店予約システム、d)チャット形式でのやり取りができる「マイボックス」システム、e)オンラインのライブ中継内見システム、など賃貸仲介の業界では一歩先を行く5つのシステム・サービスだ。

a) AI(人工知能)を使った物件検索サービスは、ITベンチャーのイタンジ(株)と共同制作されたものでクラスター解析やディープラーニングなどの先端的技術を使い、3項目(住みたい場所、希望家賃、お部屋の広さ)を選ぶだけで人工知能がお勧め物件を自動で提案する。膨大な過去の成約事例がデータとして蓄積されており、使えば使うほど精度が高くなる学習するシステム。今後の進化が楽しみなシステムだ。

b)店舗ホームページに全スタッフ写真掲載の目的は、来店前の顧客の不安の払拭である。店内の様子や全スタッフの集合写真、各スタッフの個人写真を掲載し、安心して来店してもらえるインフラを整える。

c) Web来店予約システムは、今まで電話やメールで行っていたために営業時間内でないと予約が完了しなかったため手間となっていた来店予約を、24時間Web上でできるようにしたものだ。

d)「マイボックス」システムは、チャット形式でスピーディーにやりとりができる。チャットはLINEなどを日頃から使用する若年層にマッチしたコミュニケーションとして注目の接客ツールだ。問い合わせのあった顧客の約5割がログインし、その6割はチャット機能を使うなど、顧客からは好評を得ている。「マイボックス」は紹介物件の整理や提出書類のやりとりなども一括して管理できるので利便性の向上にも役立つ。

e)オンラインのライブ中継内見システムは、現地に行けない事情がある顧客のために、室内に店舗スタッフが入りオンラインで部屋の内部を中継する。転勤や進学前の遠隔地の顧客にとっての利便性を向上させる仕組みである(2016年6月時点39店舗で実施)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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