DVx Research Memo(4):17/3期も売上高、営業利益、経常利益は過去最高業績を更新見込み
[16/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
●2017年3月期業績見通し
ディーブイエックス<3079>の2017年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の33,200百万円、営業利益が同3.0%増の1,536百万円、経常利益が同5.2%増の1,536百万円、当期純利益が同20.3%減の1,028百万円となる見通し。当期純利益については前期に投資有価証券売却益を計上した反動で減益となるが、売上高、営業利益、経常利益は連続で過去最高を更新する。
2017年3月期は保険償還価格の改定により、約2.5%の減収要因となるほか、医療費抑制の影響により医療施設でもコスト削減施策が進められており、販売価格の引き下げ圧力が強まるなどマイナス要因はあるものの、一方で高齢化社会の進展による循環器系領域の患者数の増加傾向は続き、販売数量の拡大が見込まれるほか、営業エリアの拡大や新商品の投入効果などにより、売上高は引き続き増収基調が続くものと予想される。また、為替前提レートについては114円/ドルと実勢価格よりも円安水準の想定となっている。1円/ドルの円高で総利益は約16百万円の増益要因となる計算だ。為替予約を部分的に実施しているため、ダイレクトに効いてくるわけではないが、現在の為替水準が続くようであれば、利益の上振れ要因となる可能性がある。
●事業セグメント別見通し
(1)不整脈事業
不整脈事業は前期比5.7%増の27,137百万円を見込んでいる。2017年3月期も引き続き大阪地区を中心に西日本エリアでの顧客開拓を進め、シェア拡大に注力していく。また、4月には既存顧客の医療施設移転に伴って土浦出張所を新規開設したほか、5月には名古屋営業所にも同事業では初めての営業マンを配置した。名古屋は従来空白エリアであったが、営業エリア拡大による新規顧客開拓を進めていく方針の下、新規進出することとなった。当初は少量取引からスタートし、大阪地区同様徐々に営業人員の増員を図りながら、顧客数の拡大を進めていく方針だ。
商品別では前期に好調だったペースメーカやCRT-Dに関しては伸び率が鈍化するものの、数量増効果によって増収は維持する見通し。また、心腔内エコーカテーテルや冷凍アブレーションカテーテルについては普及が進むことで2ケタ増収が見込まれる。また、今期は新たに高周波ホットバルーンカテーテルの販売も開始され、売上寄与が見込まれる。
高周波ホットバルーンは発作性心房細動治療に用いられるアブレーションカテーテルで、2015年11月に薬事承認を取得し、2016年4月に保険収載された新しい商品となる。通常のアブレーションカテーテルが、カテーテル先端の電極に電流を流すことによって、不整脈の原因となる心筋組織を焼灼するのに対して、高周波ホットバルーンは直径20ミリ程度のバルーン内に充填された生理食塩水を65〜70℃まで加熱し、熱伝導によってバルーンの面で心筋組織を焼灼する技術となる。特徴としては、広範囲での確実な焼灼ができること、温度と通電時間を制御することで標的組織の焼灼深度を制御できること(術後の再発率低下や血栓の発生によるその他障害のリスク軽減)、手術時間が通常のアブレーションの半分と短時間で完了すること、などが挙げられる。
バルーンを用いた治療法としては冷凍アブレーションカテーテルが2014年7月より保険適用が開始され販売が伸びているが、今後は高周波ホットバルーンも含めてアブレーションカテーテル全体で伸びていくことが予想される。心房細動の患者数は国内で80〜100万人と言われており、このうち手術治療を行う件数は4万件程度と全体の5%に満たない状況となっている。患者の多くが薬での治療を選択するためだが、手術可能な医療施設や医師が少ないことも一因であり、筑波大学附属病院では手術まで2ヶ月以上を待たないといけない状況となっている。このため、手術時間が半分程度と短縮できるだけでも、患者の治療機会が増えることになり、手術件数の増加につながっていくものと予想される。
(2)虚血事業
虚血事業の売上高は前期比7.4%増の5,233百万円を見込んでいる。不整脈事業との連携を強化しつつ、自動造影剤注入装置「ACIST」の買い替え需要を着実に獲得していくとともに、エキシマレーザ血管形成システムの更なる普及拡大を図ることで、売上高を伸ばしていく方針だ。
特に2017年3月期はコロナリーカテーテルで0.9mm径サイズの高出力品(X-80)が薬事承認を取得しており、5月末より販売を開始している。高出力品では、血管の内壁に付着した石灰化したごみを綺麗に除去することが可能となり、冠動脈形成術※をした後の再発率が低減する効果がある。このため、高出力品が販売されれば使用したいという医師も多く、販売数量も今後一段と伸びることが予想されている。
※冠動脈形成術…心臓に血液を運ぶ冠動脈が動脈硬化や血栓によって狭窄または塞栓した場合に、同部位にエキシマレーザを照射することで、血栓を分子レベルで分解し冠動脈の血流を改善する術式。
また、2018年3月期には下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルの薬事承認が取得できる見通しとなっており、同用途での販売が開始されればさらに導入台数が増える可能性が高い。国内で冠動脈血管形成術は年間25万症例行われている。下肢末梢動脈治療術は16万症例である。下肢末梢動脈治療用としても薬事承認が取得できれば、医療施設でも同装置を使用できる手術件数が増加することになるため購入がしやすくなり、普及が加速していくことにもなる。前期のコロナリーカテーテルの売上高は約4億円だが、適応疾患の拡大とエキシマレーザ装置の導入台数拡大により、今後数年間で数倍規模の売上げに成長する可能性があり、今後の動向が注目されよう。
なお、治験については既に終了しており、現在はデータの解析中となっている。順調に進めば、2016年夏頃に薬事承認申請を提出し、2017年内の承認取得及び販売開始を目指している。米国では冠動脈形成術用よりも下肢末梢動脈治療用をメインとして使われていることもあり、承認される可能性が高いと弊社では見ている。
(3)その他事業
その他事業は前期比0.3%減の829百万円とほぼ横ばい水準で見込んでいる。大半は脳外科装置関連の商品となる。同社では診療科をこだわらず、良い商品があれば積極的に仕入販売を行っていく方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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●2017年3月期業績見通し
ディーブイエックス<3079>の2017年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の33,200百万円、営業利益が同3.0%増の1,536百万円、経常利益が同5.2%増の1,536百万円、当期純利益が同20.3%減の1,028百万円となる見通し。当期純利益については前期に投資有価証券売却益を計上した反動で減益となるが、売上高、営業利益、経常利益は連続で過去最高を更新する。
2017年3月期は保険償還価格の改定により、約2.5%の減収要因となるほか、医療費抑制の影響により医療施設でもコスト削減施策が進められており、販売価格の引き下げ圧力が強まるなどマイナス要因はあるものの、一方で高齢化社会の進展による循環器系領域の患者数の増加傾向は続き、販売数量の拡大が見込まれるほか、営業エリアの拡大や新商品の投入効果などにより、売上高は引き続き増収基調が続くものと予想される。また、為替前提レートについては114円/ドルと実勢価格よりも円安水準の想定となっている。1円/ドルの円高で総利益は約16百万円の増益要因となる計算だ。為替予約を部分的に実施しているため、ダイレクトに効いてくるわけではないが、現在の為替水準が続くようであれば、利益の上振れ要因となる可能性がある。
●事業セグメント別見通し
(1)不整脈事業
不整脈事業は前期比5.7%増の27,137百万円を見込んでいる。2017年3月期も引き続き大阪地区を中心に西日本エリアでの顧客開拓を進め、シェア拡大に注力していく。また、4月には既存顧客の医療施設移転に伴って土浦出張所を新規開設したほか、5月には名古屋営業所にも同事業では初めての営業マンを配置した。名古屋は従来空白エリアであったが、営業エリア拡大による新規顧客開拓を進めていく方針の下、新規進出することとなった。当初は少量取引からスタートし、大阪地区同様徐々に営業人員の増員を図りながら、顧客数の拡大を進めていく方針だ。
商品別では前期に好調だったペースメーカやCRT-Dに関しては伸び率が鈍化するものの、数量増効果によって増収は維持する見通し。また、心腔内エコーカテーテルや冷凍アブレーションカテーテルについては普及が進むことで2ケタ増収が見込まれる。また、今期は新たに高周波ホットバルーンカテーテルの販売も開始され、売上寄与が見込まれる。
高周波ホットバルーンは発作性心房細動治療に用いられるアブレーションカテーテルで、2015年11月に薬事承認を取得し、2016年4月に保険収載された新しい商品となる。通常のアブレーションカテーテルが、カテーテル先端の電極に電流を流すことによって、不整脈の原因となる心筋組織を焼灼するのに対して、高周波ホットバルーンは直径20ミリ程度のバルーン内に充填された生理食塩水を65〜70℃まで加熱し、熱伝導によってバルーンの面で心筋組織を焼灼する技術となる。特徴としては、広範囲での確実な焼灼ができること、温度と通電時間を制御することで標的組織の焼灼深度を制御できること(術後の再発率低下や血栓の発生によるその他障害のリスク軽減)、手術時間が通常のアブレーションの半分と短時間で完了すること、などが挙げられる。
バルーンを用いた治療法としては冷凍アブレーションカテーテルが2014年7月より保険適用が開始され販売が伸びているが、今後は高周波ホットバルーンも含めてアブレーションカテーテル全体で伸びていくことが予想される。心房細動の患者数は国内で80〜100万人と言われており、このうち手術治療を行う件数は4万件程度と全体の5%に満たない状況となっている。患者の多くが薬での治療を選択するためだが、手術可能な医療施設や医師が少ないことも一因であり、筑波大学附属病院では手術まで2ヶ月以上を待たないといけない状況となっている。このため、手術時間が半分程度と短縮できるだけでも、患者の治療機会が増えることになり、手術件数の増加につながっていくものと予想される。
(2)虚血事業
虚血事業の売上高は前期比7.4%増の5,233百万円を見込んでいる。不整脈事業との連携を強化しつつ、自動造影剤注入装置「ACIST」の買い替え需要を着実に獲得していくとともに、エキシマレーザ血管形成システムの更なる普及拡大を図ることで、売上高を伸ばしていく方針だ。
特に2017年3月期はコロナリーカテーテルで0.9mm径サイズの高出力品(X-80)が薬事承認を取得しており、5月末より販売を開始している。高出力品では、血管の内壁に付着した石灰化したごみを綺麗に除去することが可能となり、冠動脈形成術※をした後の再発率が低減する効果がある。このため、高出力品が販売されれば使用したいという医師も多く、販売数量も今後一段と伸びることが予想されている。
※冠動脈形成術…心臓に血液を運ぶ冠動脈が動脈硬化や血栓によって狭窄または塞栓した場合に、同部位にエキシマレーザを照射することで、血栓を分子レベルで分解し冠動脈の血流を改善する術式。
また、2018年3月期には下肢末梢動脈治療用レーザカテーテルの薬事承認が取得できる見通しとなっており、同用途での販売が開始されればさらに導入台数が増える可能性が高い。国内で冠動脈血管形成術は年間25万症例行われている。下肢末梢動脈治療術は16万症例である。下肢末梢動脈治療用としても薬事承認が取得できれば、医療施設でも同装置を使用できる手術件数が増加することになるため購入がしやすくなり、普及が加速していくことにもなる。前期のコロナリーカテーテルの売上高は約4億円だが、適応疾患の拡大とエキシマレーザ装置の導入台数拡大により、今後数年間で数倍規模の売上げに成長する可能性があり、今後の動向が注目されよう。
なお、治験については既に終了しており、現在はデータの解析中となっている。順調に進めば、2016年夏頃に薬事承認申請を提出し、2017年内の承認取得及び販売開始を目指している。米国では冠動脈形成術用よりも下肢末梢動脈治療用をメインとして使われていることもあり、承認される可能性が高いと弊社では見ている。
(3)その他事業
その他事業は前期比0.3%減の829百万円とほぼ横ばい水準で見込んでいる。大半は脳外科装置関連の商品となる。同社では診療科をこだわらず、良い商品があれば積極的に仕入販売を行っていく方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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