日本トリム Research Memo(4):先端的取組みが国の支援や補助金を受けることに
[16/07/01]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業方針と成長戦略
○「多角化戦略」-医療分野と農業分野に進出
現在、新規市場である医療分野と農業分野に電解水素水生成技術をベースに新規製品を開発する「多角化戦略」を採っている。
医療分野では、血液透析への応用に注力している。2007年に、東北大学と設立した産学共同ベンチャー、(株)トリム メディカル インスティテュート(TMI)が、電解透析水整水器の販売を行っている。日本トリム<6788>の出資比率は98.0%になる。
農業分野では、電解水素水による高品質・高付加価値農業の実現を目指している。電解水素水を植物に散布や潅水することにより、作物の高品質化や収穫量増加を図る。植物工場への応用も進めている。
2015年7月に、高知県、南国市、JA南国市、高知大学と同社の5者で「還元野菜プロジェクト」推進連携協定を締結し、産官学協働で実証、普及促進を推進している。「還元野菜」のブランディングも進める。2016年秋から、約3億2千万円規模の園芸用大型施設において、次世代型施設園芸での「還元野菜」の栽培を開始する。同協定による取り組みは、農林水産省補助事業「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」に採択され、補助金が交付されることとなった。一方、2016年4月から高知県の補助事業「環境制御技術普及促進事業」の対象に同社の農業用整水器が追加され、要件を満たす対象者に導入費用の3分の1が補助されることとなった。同時に、県内の市からも最大3分の1の補助が出るため、農業従事者の負担は3分の1で済む。他県においても、農業用整水器の設置、検証を進め、普及拡大に取り組む。
これまでの実証事業では、高知県南国スタイル及び高知大学農学部の栽培したコマツナを日本食品衛生協会が分析した結果、重量は3割強、草丈は2割強、βカロテンの含有量は1割以上増加した。メロンは、糖度が通常の14度に対し18度、サイズは通常の3L〜4Lと比べて5L〜6Lと大きくなった。他に、フルーツトマト、春菊、ホウレンソウ、白菜、水菜、苺などが電解水素水で栽培されている。
○産学共同研究-内外の大学と基礎から先端まで共同研究
同社は、1997年に「電解還元水の活性酸素の消去及びDNA酸化損傷からの保護作用」というタイトルで九州大学大学院と共同論文を発表した。現在は、電解水素水に関連する基礎研究を九州大学大学院農学研究院、カロリンスカ研究所(スウェーデン)、東京大学大学院工学系研究科と共同研究を行っている。医療分野での連携先は、東北大学大学院医学系研究科、福島県立医科大学、国立台湾大学医学院臨床医学研究所(台湾)、カロリンスカ医科大学病院(スウェーデン)になる。農業分野では、高知大学農学部及びJA南国市、帯広畜産大学と共同研究をしている。
基礎分野では、2004年に九州大学と機能水の測定、科学分析を行う合弁会社、(株)機能水細胞分析センターを設立した。電解水素水の機序や生体への作用などの基礎研究を行っている。九州大学大学院農学研究院とは、電解水素水のバブリング水素水に対する優位性の実証実験を実施中である。2010年1月より、欧州最大級の医学大学であるカロリンスカ研究所(スウェーデン)との共同研究を開始した。研究目的は、抗酸化性を持つ電解水素水の生理機能を明らかにするとともに神経変性疾患への効果を検証することである。さらに、2015年10月から、東京大学大学院工学系研究科と電解水素水の物性解明のための共同研究を始めた。2016年中に、電解水素水とバブリング水素水の違いについての論文発表が予定されている。
2010年4月に、東北大学医学部との共同論文が、欧州腎臓透析移植学会誌「Nephrology Dialysis Transplantation」電子版に掲載された。同大学より「慢性腎臓病・透析患者に対する新規治療法」としてプレスリリースされた。さらに、同年5月に東北大学医学部に新設された「創生応用医学研究センター先進統合腎臓科学コアセンター」のプロジェクトの1つに当研究が採用され、TMIが研究参画している。
2016年4月に「電解水透析研究会」は、日本透析医学会専門医制度委員会が認める全国規模学術集会に認定された。昨年に電解水透析関連で4演題が発表されたのに続き、今年6月に開催された第61回日本透析医学会学術集会・総会では、6演題が発表された。また、同社は初の企業セミナーを開催した。
○研究開発費
同社の研究開発費は、年間2〜3億円、対売上高比(R&D比率)が1〜2%で推移している。研究のアウトソーシングでコストを抑えている。産学協同による基礎研究や新たな用途の開拓ばかりでなく、主力製品の家庭用電解水素水整水器の新製品開発・上市も定期的に行っている。
電解水素水整水器に関して、同社は米国、カナダ、ロシアや韓国を含む先進10ヶ国で国際特許を取得・申請中である。水道水中に含まれるカルシウムなどが電極に付着することで電解能力を低下させる現象を防ぐ、ダブル・オートチェンジ・クロスライン方式が同社独自技術となる。整水器の電解槽の寿命を延ばし、長期間にわたって安定して電解能力を発揮できるため、同社製品の優位性になっている。
○グループ会社
同社は、国内に8社、海外に4社、合計12社のグループ会社を有する。連結子会社は10社、持分法適用関連会社が3社になる。
同社グループは、電解水素水整水器の企画・開発から製造・販売、アフターサービスまで一貫対応している。本体が販売を行っており、製造を担当する(株)トリムエレクトリックマシナリー、アフターサービスを受託する(株)トリムライフサポートより構成される。
医療関連事業では、米国に設立したTrimGen Corporationが遺伝子変異検査キット研究開発、製造販売を行う。国内では、私的さい帯血バンクで最大手のステムセル研究所を買収し、再生医療分野に進出した。また、東北大学との産学連携により電解水素水の血液透析用途で合弁会社を設立し、電解透析水整水器の販売をしている。中国においては、2016年より日本の高度な糖尿病治療及び人工透析技術を用いた日本式医療サービスを提供する病院運営事業に参画する。
○電解水素水整水器の特徴-家庭用医療機器、JIS規格認証品
同社の整水器の特徴は、1)家庭用「医療機器」、2)JIS(日本工業規格)の規格認証品、3)JIS規格指定13物質+3物質を除去する浄水カートリッジの3つが挙げられる。整水器は、1965年に旧厚生省から家庭用「医療機器」として承認され、現在は医薬品医療機器等法(旧薬事法)において胃腸症状改善の効果・効能が認められている。飲用水生成器では唯一効果・効能が認められている機器になる。
整水器のメリットは、胃腸症状改善などの健康効果がある、コストが安い、いつでも新鮮な水素水、エコロジーの4点が挙げられる。電解水素水は、水道水を電気分解してつくられる、再現性のある有用な機能を持つ水溶液になる。その特徴は、1)還元作用(抗酸化性)のある水素を含む、2)pH9〜10未満のアルカリ水、3)ミネラル類を原水(水道水)に比べ約10〜20%多く含む。ミネラル類は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムになる。単なるアルカリ性水やバブリング水素水とは異なる。費用面では、イニシャルコストがかさむが、長期間にわたり家族などで大量に使用する場合は、単位当たりのコストが割安になる。アルミパウチ、ペットボトル、ガロンボトルなどの容器も不要なため、エコロジーである。
同社の整水器は、浄水カートリッジにより総トリハロメタンなどJIS規格指定13物質とジャオスミン(カビ臭)などの浄水器協会自主規格3物質を除去する。ろ過された水は、電解槽で電気分解され、主力製品であるトリムイオンHyperの場合酸性水1に対し5の電解水素水を取水することができる。
整水器から得られる3種類の水は、用途に応じて使い分ける。中性の浄水は、粉ミルクや薬の服用に、酸性水は洗顔や洗い物に、電解水素水は飲み水や調理に利用される。電解水素水は、抽出力に優れるため、素材の味を引き立たせるなどの特長があることから、プロの料理人も愛用している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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○「多角化戦略」-医療分野と農業分野に進出
現在、新規市場である医療分野と農業分野に電解水素水生成技術をベースに新規製品を開発する「多角化戦略」を採っている。
医療分野では、血液透析への応用に注力している。2007年に、東北大学と設立した産学共同ベンチャー、(株)トリム メディカル インスティテュート(TMI)が、電解透析水整水器の販売を行っている。日本トリム<6788>の出資比率は98.0%になる。
農業分野では、電解水素水による高品質・高付加価値農業の実現を目指している。電解水素水を植物に散布や潅水することにより、作物の高品質化や収穫量増加を図る。植物工場への応用も進めている。
2015年7月に、高知県、南国市、JA南国市、高知大学と同社の5者で「還元野菜プロジェクト」推進連携協定を締結し、産官学協働で実証、普及促進を推進している。「還元野菜」のブランディングも進める。2016年秋から、約3億2千万円規模の園芸用大型施設において、次世代型施設園芸での「還元野菜」の栽培を開始する。同協定による取り組みは、農林水産省補助事業「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」に採択され、補助金が交付されることとなった。一方、2016年4月から高知県の補助事業「環境制御技術普及促進事業」の対象に同社の農業用整水器が追加され、要件を満たす対象者に導入費用の3分の1が補助されることとなった。同時に、県内の市からも最大3分の1の補助が出るため、農業従事者の負担は3分の1で済む。他県においても、農業用整水器の設置、検証を進め、普及拡大に取り組む。
これまでの実証事業では、高知県南国スタイル及び高知大学農学部の栽培したコマツナを日本食品衛生協会が分析した結果、重量は3割強、草丈は2割強、βカロテンの含有量は1割以上増加した。メロンは、糖度が通常の14度に対し18度、サイズは通常の3L〜4Lと比べて5L〜6Lと大きくなった。他に、フルーツトマト、春菊、ホウレンソウ、白菜、水菜、苺などが電解水素水で栽培されている。
○産学共同研究-内外の大学と基礎から先端まで共同研究
同社は、1997年に「電解還元水の活性酸素の消去及びDNA酸化損傷からの保護作用」というタイトルで九州大学大学院と共同論文を発表した。現在は、電解水素水に関連する基礎研究を九州大学大学院農学研究院、カロリンスカ研究所(スウェーデン)、東京大学大学院工学系研究科と共同研究を行っている。医療分野での連携先は、東北大学大学院医学系研究科、福島県立医科大学、国立台湾大学医学院臨床医学研究所(台湾)、カロリンスカ医科大学病院(スウェーデン)になる。農業分野では、高知大学農学部及びJA南国市、帯広畜産大学と共同研究をしている。
基礎分野では、2004年に九州大学と機能水の測定、科学分析を行う合弁会社、(株)機能水細胞分析センターを設立した。電解水素水の機序や生体への作用などの基礎研究を行っている。九州大学大学院農学研究院とは、電解水素水のバブリング水素水に対する優位性の実証実験を実施中である。2010年1月より、欧州最大級の医学大学であるカロリンスカ研究所(スウェーデン)との共同研究を開始した。研究目的は、抗酸化性を持つ電解水素水の生理機能を明らかにするとともに神経変性疾患への効果を検証することである。さらに、2015年10月から、東京大学大学院工学系研究科と電解水素水の物性解明のための共同研究を始めた。2016年中に、電解水素水とバブリング水素水の違いについての論文発表が予定されている。
2010年4月に、東北大学医学部との共同論文が、欧州腎臓透析移植学会誌「Nephrology Dialysis Transplantation」電子版に掲載された。同大学より「慢性腎臓病・透析患者に対する新規治療法」としてプレスリリースされた。さらに、同年5月に東北大学医学部に新設された「創生応用医学研究センター先進統合腎臓科学コアセンター」のプロジェクトの1つに当研究が採用され、TMIが研究参画している。
2016年4月に「電解水透析研究会」は、日本透析医学会専門医制度委員会が認める全国規模学術集会に認定された。昨年に電解水透析関連で4演題が発表されたのに続き、今年6月に開催された第61回日本透析医学会学術集会・総会では、6演題が発表された。また、同社は初の企業セミナーを開催した。
○研究開発費
同社の研究開発費は、年間2〜3億円、対売上高比(R&D比率)が1〜2%で推移している。研究のアウトソーシングでコストを抑えている。産学協同による基礎研究や新たな用途の開拓ばかりでなく、主力製品の家庭用電解水素水整水器の新製品開発・上市も定期的に行っている。
電解水素水整水器に関して、同社は米国、カナダ、ロシアや韓国を含む先進10ヶ国で国際特許を取得・申請中である。水道水中に含まれるカルシウムなどが電極に付着することで電解能力を低下させる現象を防ぐ、ダブル・オートチェンジ・クロスライン方式が同社独自技術となる。整水器の電解槽の寿命を延ばし、長期間にわたって安定して電解能力を発揮できるため、同社製品の優位性になっている。
○グループ会社
同社は、国内に8社、海外に4社、合計12社のグループ会社を有する。連結子会社は10社、持分法適用関連会社が3社になる。
同社グループは、電解水素水整水器の企画・開発から製造・販売、アフターサービスまで一貫対応している。本体が販売を行っており、製造を担当する(株)トリムエレクトリックマシナリー、アフターサービスを受託する(株)トリムライフサポートより構成される。
医療関連事業では、米国に設立したTrimGen Corporationが遺伝子変異検査キット研究開発、製造販売を行う。国内では、私的さい帯血バンクで最大手のステムセル研究所を買収し、再生医療分野に進出した。また、東北大学との産学連携により電解水素水の血液透析用途で合弁会社を設立し、電解透析水整水器の販売をしている。中国においては、2016年より日本の高度な糖尿病治療及び人工透析技術を用いた日本式医療サービスを提供する病院運営事業に参画する。
○電解水素水整水器の特徴-家庭用医療機器、JIS規格認証品
同社の整水器の特徴は、1)家庭用「医療機器」、2)JIS(日本工業規格)の規格認証品、3)JIS規格指定13物質+3物質を除去する浄水カートリッジの3つが挙げられる。整水器は、1965年に旧厚生省から家庭用「医療機器」として承認され、現在は医薬品医療機器等法(旧薬事法)において胃腸症状改善の効果・効能が認められている。飲用水生成器では唯一効果・効能が認められている機器になる。
整水器のメリットは、胃腸症状改善などの健康効果がある、コストが安い、いつでも新鮮な水素水、エコロジーの4点が挙げられる。電解水素水は、水道水を電気分解してつくられる、再現性のある有用な機能を持つ水溶液になる。その特徴は、1)還元作用(抗酸化性)のある水素を含む、2)pH9〜10未満のアルカリ水、3)ミネラル類を原水(水道水)に比べ約10〜20%多く含む。ミネラル類は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムになる。単なるアルカリ性水やバブリング水素水とは異なる。費用面では、イニシャルコストがかさむが、長期間にわたり家族などで大量に使用する場合は、単位当たりのコストが割安になる。アルミパウチ、ペットボトル、ガロンボトルなどの容器も不要なため、エコロジーである。
同社の整水器は、浄水カートリッジにより総トリハロメタンなどJIS規格指定13物質とジャオスミン(カビ臭)などの浄水器協会自主規格3物質を除去する。ろ過された水は、電解槽で電気分解され、主力製品であるトリムイオンHyperの場合酸性水1に対し5の電解水素水を取水することができる。
整水器から得られる3種類の水は、用途に応じて使い分ける。中性の浄水は、粉ミルクや薬の服用に、酸性水は洗顔や洗い物に、電解水素水は飲み水や調理に利用される。電解水素水は、抽出力に優れるため、素材の味を引き立たせるなどの特長があることから、プロの料理人も愛用している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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