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シュッピン Research Memo(7):見積りSNSやWebマーケティング、情報マーケティングが中期的に奏功するか

注目トピックス 日本株
■中期経営計画と業績見通し

(1)中期経営計画

シュッピン<3179>は向こう3ヶ年の中期経営計画を策定し、毎年ローリング(見直し)している。今回、2017年3月期と2018年3月期について昨年の計画から修正し、2019年3月期を新規策定した、2017年3月期〜2019年3月期の3ヶ年中期経営計画を発表した。

2017年3月期の予想売上高は、前回の27,046百万円から25,600百万円に、2018年3月期は31,815百万円から29,450百万円に、それぞれ引き下げられた。経常利益も同様に、2017年3月期は1,512百万円から1,070百万円に、2018年3月期は2,027百万円から1,400百万円に、引き下げられた。

弊社では、ECが順調に拡大を続ける現状に照らして、2017年3月期以降の業績計画を上方修正してくる可能性も考えていたが、実際には大幅な下方修正となった。この最大の要因は、インバウンド売上高(店舗免税売上高)の想定を大きく引き下げたことにある。2016年3月期のインバウンド売上高は、5月にピークを付けた後は急速に減少し、第4四半期には月商100百万円ペースまで縮小した。これを受けて、今回のローリング中期経営計画においては、インバウンド売上高の想定を月商100百万円にまで落として計画に織り込んだ。

インバウンド売上高の想定引き下げも含めて、新中期経営計画では店舗売上高の前期比伸び率を−2%から+5%で前提を置いている。反対にEC売上高については、従来同様、年20%の成長が続くことを前提としている。その結果として売上高全体では年率15%としている(2017年3月期は12.8%増)。

費用については、楽天市場店及びYahoo!ショッピング店での売り上げ拡大を想定し、それに伴う支払手数料の増加を見込んでいる。人員については、業容拡大に伴って絶対数は増加を見込むが、新基幹システムの稼働で増加ペースはより緩やかなものになると想定している。これらの要素を織り込み、結果的に売上高販管費率は、2019年3月期において11.9%にまで低下すると予想している。

現実の動きとしても2016年3月期においてECは堅調な伸びを示しているのは前述のとおりだ。弊社では、EC分野の本質的部分、すなわち、顧客への訴求力や他店との競争力(価格だけでなくサービスを含めた総合的な魅力度、の意味)、及び将来の成長ポテンシャルの点では、従来から全く変わっていないと考えている。

今回の業績計画の引き下げは、今後の業績回復にとってプラスに働く可能性があると弊社では考えている。理由は、社員のモチベーションアップだ。同社は業績連動型ボーナスを採用しているが、2016年3月期は業績未達であったためにボーナスは支払われなかった。社員の落胆は想像に難くない。今回のローリング中期経営計画で示された業績計画は、より現実的な数字であり、一度失われたモチベーションを復活させることができると弊社では考えている。

この業績計画実現のための具体的な諸施策は「成長軌道回復に向けた取り組み」の項で前述したとおりだ。中古品買取策は順調に機能しているほか、見積もりSNSやWebマーケティング、情報マーケティングなど、短期〜中期で次々と施策が奏功する形で中期経営計画の業績計画の達成に貢献してくると弊社では期待している。

(2) 2017年3月期業績見通し

2017年3月期の業績予想の内容は前述のとおりであるが、業績面での注目ポイントは売上総利益率(粗利益率)の回復にあると弊社では考えている。2016年3月期に業績が踊り場入りした直接的な原因は粗利益率の低下にあるからだ。

粗利益率に対するポジティブ要因とネガティブ要因を整理すると、2017年3月期の足元は新製品売上高が急伸しているもようだ。理由はニコンとキヤノンの2大メーカーから、両社のフラッグシップ機が相次いで発売されたためだ。この結果、特に第1四半期は新品比率が高まり、粗利益率の押し下げられる可能性がある。しかしながら、これらは高額機種だけに、下取りの中古品も順調に入ってきているもようで、第2四半期以降は潤沢な在庫を背景に、中古品売上高が伸びることが期待される。

もう1つの視るべきポイントはやはりセールであろう。同社は常にセールを実施しており、その中で商品在庫回転率と粗利益率をコントロールしている。しかし2016年3月期は売上高を創るために通常はセールの対象とはしない商品まで拡大してセールを行い、それが粗利益率をヒットした。今期はこのような事態に陥ることがないかがポイントだ。予想増収率を従来予想から引き下げているため、前期よりはそのリスクは小さくなっていると弊社ではみている。

弊社では、第1四半期については前述の要因から粗利益率の明確な改善が見られない可能性はあるものの、第2四半期以降は着実に改善が進むと考えている。ECの本質的な強さは変わっておらず、実際にEC売り上げが力強い伸びを続けていることと、前期に打ち出した各種マーケティング策が奏功して、過度なセールを行うことはなくなると想定しているためだ。

同社の業績について弊社が強気で見ているもう1つの理由はWeb会員数の推移にある。新規会員数はこのところ、毎四半期7,000〜8,000人ずつ増加している。同社における会員の定義は同社で商品を購入した人となっており、新規会員数というのは新規顧客数を意味している。順調な会員の積み上がりを反映して、EC客数も着実に増加している。客単価も安定的に推移しており、これまでの成長モデルが依然としてワークしていることを示していると弊社では考えている。この傾向は2017年3月期及び今中期経営計画期間においても継続するとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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