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ソフトバンテク Research Memo(7):IoTビジネスは既に同社グループ内でコア技術を提供できる体制に

注目トピックス 日本株
■中・長期の展望も見える

ソフトバンク・テクノロジー<4726>の2016年3月期決算では、「SBTクラウド」の確立という特に重要なトピックスと、ストックビジネスの拡大という大きなトピックスによって、投資家も同社の今後の展望が予測しやすくなった。企業ブランドが打ち立てられ、継続して収益を確保できるビジネスが定着したからである。ちなみに、同社が提示した今後の業績イメージは、次のとおりである。

事業別の売上高では、2016年3月期で売上高の約40%を占める、シマンテックストアが中心のEC事業と、約35%を占める、注力3事業を除いたプラットフォームとシステムインテグレーション事業は横ばいか微減となる。EC事業は自社でのコントロールが難しい点を考慮し、保守的に想定している。注力3事業を除いたプラットフォームとシステムインテグレーション事業はクラウド化の更なる進展により機器販売が減少するケースなどを想定し、やはり保守的な見通しとする。一方、売上高の約25%を占める注力3事業、つまり「SBTクラウド」は年率で20〜30%の伸びを計画している。

また、形態別の売上高では、フロービジネスがやはり機器販売が減少するケースなどを想定し、横ばいもしくは微減を想定、一方、ストックビジネスは「SBTクラウド」の拡大により、20〜30%の伸びを見込む。

2016年3月期の注力3事業合計の売上高が前期比で34.6%の伸びを示している点、今後は売上高の伸びに加えて、スケールメリットによる利益率の向上も期待できることから、「SBTクラウド」及びストックビジネスの成長は、十分に達成可能と考えられる。また、その他の事業は保守的に見ていることから、同社の業績イメージは、堅実な内容と見てよかろう。リスクとしては、景気の大幅な悪化といった外部要因や、大型案件での不採算発生等のトラブルなどであろう。

こういった、堅実な成長イメージに加え、同社はさらに新たな成長事業への取り組みも進めていく。「SBTクラウド」の「IoT」ビジネスへの発展である。同社はIoTの市場が早ければ2019年3月期にも本格的に立ち上がると見ている。

IoTビジネスへの進出は決して、過度にチャレンジングな計画ではない。「SBTクラウド」は、IoTのコア技術である、数多くのデバイスから取得されるビッグデータを収集・整理し、分析するという技術を提供する環境だからである。具体的に言えば、同社の持つクラウド・ビッグデータ技術、子会社のM-SOLUTIONが持つ、デバイス向けの各種アプリケーション開発技術、サイバートラストのデバイス認証技術、ミラクル・リナックスが持つリナックスOSの技術を結集することによって、同社グループ内でコア技術を提供できる体制に既になっているのである。

特に、子会社群が持つ独自技術が同社の強みにもなりそうである。例えば、IoTに使われるデバイスの多くがリナックスOSを使用している点から、ミラクル・リナックスの技術は同社のIoTビジネスの優位性を高める可能性がある。

同社は、IoTが本格的にビジネスとして普及するまで間の技術力の蓄積が現在の最も重要な課題だと考えている。同社がIoTのコア技術を有しているとはいえ、IoTが使われる業種・業界ごとにデバイスに違いがあり、それらに対応する技術が必要になるほか、提供するサービスもカスタマイズする必要があるからである。また、デバイスまで含めたIoTのすべての技術を提供できるわけでもない。したがって今後は、M&Aやアライアンスによる技術の補完も積極的に行っていく。2016年3月に自社株買い(発行済株式数の0.8%に当たる88,600株)を行ったが、これは、株主還元の意味のほかに今後のM&Aの“原資”にするという意味もあると考えられる。

ちなみに、IoTの技術開発という面では、2016年3月期には、農業分野において、既に触れたが「全国農地ナビ」のクラウド化を行ったほか、「精密農業」の実証実験もスタートさせた。精密農業は、各種センサーから気象・土壌の情報を集めたり、ドローンを使って農地の赤外線データや画像データを取得したりし、それらのデータを「SBTクラウド」で整理・分析することによって、農業が抱える様々な問題点を解決するというものである。このほか、ヒト型ロボット「ペッパー」とデジタルサイネージを連携させるソリューションの提供や、ドローンを使った太陽光パネルの検査サービスの開発なども行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)



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