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高千穂交 Research Memo(1):グローバルビジネスの拡大、新規ビジネス創出を推進する中期計画でV字回復を狙う

注目トピックス 日本株
高千穂交易<2676>は、システム機器、機構部品、半導体などを主として海外メーカーから仕入れて国内のユーザーに提供するBtoBの商社である。特に「安全・安心・快適」を提供する商品監視システムや機構部品のスライドレールでは国内トップクラスの高いシェアを持っており、近年は海外企業の買収によりセキュリティシステムや防火システムの東南アジア地区での拡販にも力を入れている。顧客満足度を高めるため専門性の高い社員を多く抱え、商社でありながら技術系社員の割合は40%超に達している。過去5年間で3社の買収(のれん総額30億円超)の償却負担や約40円の変動がみられた円安により業績は影響を受けたが、今後3年間で利益を再び倍増させる計画だ。財務面では、自己資本比率が8期連続で70%を超えるなど安定した財務体質を誇っている。

2016年3月期は、売上高19,986百万円(前期比6.3%増)、営業利益436百万円(同36.5%減)、経常利益410百万円(同52.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益103百万円(同82.5%減)となった。売上高は買収した防火関連子会社が通年で寄与したこと、国内小売店向けの商品監視システムが販売回復したことなどから増収となったが、営業利益は主に為替(円安)の影響による商品調達コストの増加とのれん償却額の増加によって大幅減益となった。さらに営業外でも為替差損が発生し経常利益はさらに減益となった。

進行中の2017年3月期は売上高で22,280百万円(前期比11.5%増)、営業利益で800百万円(同83.2%増)、経常利益で800百万円(同94.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で400百万円(同287.5%増)と予想している。利益率の高い商品の売上増、対円安対策の効果などから売上総利益率が改善、さらにのれん償却が2016年3月期をピークとして順次終了していくことなどから、営業利益は大幅な改善を予想している。また前期に発生した営業外での為替評価損もその要因を解消したことから経常利益も大幅増益を予想している。

同社は経常利益をV字回復させ、2020 年度に経常利益20 億円を目指せる事業基盤を構築することを目的とした中期経営計画を新たに発表した。買収という先行投資が回収のフェーズに入ってくる中で、既存商品を既存市場で拡大させるのはもちろんのこと、新規市場(主に海外)での拡販、既存市場へ新規製品の投入などを行う計画だ。さらに全く新しい新規商品を新規市場に投入することも狙っており、今後同社の事業ポートフォリオがどう変わっていくかは大いに注目する必要がありそうだ。

■Check Point
・1952年設立
・身近な場所や製品の「安全・安心・快適」を提供
・安定した財務基盤
・17/3期は大幅増収増益の見通し
・中期経営方針として「独自ソリューションの展開とグローバル事業の拡大による利益成長の実現」を掲げる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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