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千葉銀 Research Memo(7):親会社株主に帰属する当期純利益は当初目標に対して上振れ着地の想定

注目トピックス 日本株
■中期経営計画の進捗

千葉銀行<8331>は、2015年3月期を初年度とする中期経営計画「ベストバンク2020〜価値創造の3年」を推進している。先進性のあるサービスで個人や中小企業を始めとした地域の顧客に、最高の満足と感動を提供する「リテール・ベストバンク」グループの実現のため、「新たな企業価値の創造」、「人材育成の一層の充実」、「持続可能な経営態勢の構築」の3つの課題に取り組んできた。ただ、これまでの取り組みが着実に進んでいることや計数面で計画を上回るペースで進捗していることに加えて、事業環境(地域経済の成長等)が計画策定時点と比べて好転していることなどを踏まえ、2015年11月に当初計画の一部増額修正を行った。2017年3月期の(修正)目標として、「親会社株主に帰属する当期純利益570億円」、「貸出金残高9兆円程度」、「預金残高11兆円程度」、「グループ預かり資産残高2兆4,000億円程度」、「連結ROE6%台」、「連結普通株式等Tier1比率13%台」を目指す内容となっている。なお、「親会社株主に帰属する当期純利益」については、2015年11月に一度増額修正(500億円→570億円)したものの、その後、マイナス金利政策の影響を織り込む必要性が出てきたことから、2016年5月に開示した2017年3月期の業績予想では520億円としている。ただ、当初目標(500億円)に対して上振れの着地となる想定に変わりはない。

主な計数目標の進捗とその背景については以下のとおりである。

(1)貸出金残高の進捗

2016年3月期末の貸出金残高は8兆7,974億円となり、2017年3月期の目標9兆円に対する進捗率(77.9%)は、巡航速度(66.6%)を上回るペースとなっている。特に、注力する中小企業向け貸出金残高の進捗率が96.7%、住宅ローン残高の進捗率が81.3%と好調である。また、無担保ローン残高についても進捗率では58.2%であるものの、2016年3月期の伸び率が前期末比20.3%と大きく増加していることから、2017年3月期での目標達成が期待できる。なお、中小企業向け貸出金が好調に推移しているのは、地元の富裕層向けの不動産活用ローン(賃貸アパート、マンション等)が相続税の基礎控除の引き下げ等の影響により伸びていることがあげられる。また、「戦略的営業地域」である東京23区への積極的な営業展開により法人新規も増えているようだ。住宅ローンについては、これまでの支店単位から人口が特に増加しているエリアを中心にブロック単位での営業体制に見直したことが奏功し、情報収集や案件取込が強化された。無担保ローン(カードローン、マイカーローン、教育ローン等)については、人気タレントを使った積極的な広告宣伝や非対面チャネル(インターネット支店)の活用、前述した「戦略的営業地域」への展開により千葉県外からの申し込みも増えている。

(2)預金残高の推移

2016年3月期末の預金残高は11兆1,402億円となり、2017年3月期の目標11兆円に対して1年前倒しで目標に到達した。法人及び個人ともに伸びているが、特に個人については、給与振込口座や年金受取口座の増加が寄与したものとみられる。

(3)グループ預かり資産残高の推移

2016年3月期末のグループ預かり資産残高は2兆130億円となり、2017年3月期の目標2兆4,000億円に対する進捗率は10.8%と苦戦している。2016年3月期における株式相場の低迷により投資信託が減少したことなどが影響した。ただ、預かり資産専任担当者の設置やタブレットを活用した営業手法の変革、ちばぎんラップの取扱開始など、初心者でも取引しやすい商品や環境の整備を進めており、これからの巻き返しに注力する方針である。さらには、2006年に信託業務に参入して以来、着実に体制整備を図ってきた信託及び相続関連業務についても、2016年3月期の申込件数(遺言信託及びサポートサービス等)が764件(前期は350件)と足元で大きく伸びており、今後の事業拡大に向けて弾みがついてきた。同行は、専担部署の設置などを通じて、関連収益の強化につなげていく方針であり、受託した先の資産を取り込むことによる預かり資産の拡大も期待される。

(4)役務取引等利益

2016年3月期の役務取引等利益は190億円となり、2017年3月期の修正目標215億円(185億円→215億円)に対して88.3%の水準となっている。2016年3月期は投信手数料の落ち込みがあったものの、年金保険手数料が好調であったことや、注力する法人ソリューション関連取引収益(私募債、シンジケートローン、ビジネスマッチング等)の拡大が大きく寄与した。特に、シンジケートローンにかかるアレンジメントフィー等の貢献が大きかった。また、前述した信託・相続関連業務にかかる収益も過去最高(2億円強と推定)を記録したようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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