IXナレッジ Research Memo(1):独立系のシステムインテグレーター。受注強化と不採算案件の撲滅を目指す
[16/07/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
アイエックス・ナレッジ<9753>は、独立系の中堅システムインテグレーター。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までのシステムのライフサイクルに対応した一貫したサービスを提供する。主要顧客は日立製作所<6501>やNTTデータ<9613>などの大手システムインテグレーターや、みずほ情報総研(株)などのエンドユーザー系のシステム会社だが、KDDI<9433>などのエンドユーザーと直接取引も行う。1999年10月にソフトウェア開発を主力とする日本ナレッジインダストリ(株)と運用業務にも強みを持つ(株)アイエックスが合併して誕生した。
2016年3月期業績は、売上高が前期比4.3%増の17,508百万円、営業利益は同30.0%減の360百万円、当期純利益は同45.5%減の208百万円と、増収ながら2ケタ減益を余儀なくされた。売上高は、メガバンク向けの次期システム開発などを中心に金融分野の受注が好調であったことや、国民保険システム、マイナンバー関連の受注拡大により社会・公共分野も堅調に推移したことなどから、増収を確保した。にもかかわらず、大幅な営業減益となったのは、不採算案件が発生、今後見込まれる損失を受注損失引当金として計上し処理したことによる。
2017年3月期は、売上高が同2.9%増の18,016百万円、営業利益は同81.9%増の656百万円、当期純利益は同128.6%増の475百万円と増収、2ケタ増益を見込む会社計画となっている。銀行向けの大型統合案件が収束したマイナス影響により売上高は低い伸びに止まる。しかし、大幅な営業増益になるのは、2016年3月期に発生した不採算案件が対応済であることに加えて、新たな不採算案件の発生を見込まないためだ。
同社は、2019年3月期に売上高20,000百万円、営業利益1,200百万円(営業利益率6.0%)を達成することを目標として掲げている。この目標達成のために、需要の旺盛な金融分野での受注体制の強化を狙った組織変更や、新たな不採算案件の発生を阻止するためにプロジェクトマネジメント力の向上を狙い担当取締役直轄のPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)室の設置などの組織改革を4月に実施した。
情報サービス業界を取り巻く環境は、マイナンバー関連の需要は堅調で今後も公共分野の受注拡大が期待できるほか、金融分野ではFintech等新技術を活用したサービスの提供ニーズが増加しており、銀行を中心に堅調なIT投資が見込まれるなど、中期的に明るい状況が続く見通し。ただ、過去、不採算案件が発生し収益を圧迫してきたことを考慮すると、同社の中期財務目標の達成可否については、4月に設置されたPMO室がその機能を果たすかどうかがカギであると考え、今後の動向を注目する。
株主還元に関しては、「安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する」方針。この方針に従い、2017年3月期は10円の配当を計画(配当性向22.4%)している。加えて、同社は自社株買いを継続的に実施し、今年5月には保有する自己株式の消却を行った。これは、同業他社と比較して発行済株式数が多いと考えているためで、今後についても業績動向をにらみながら、自社株買いと自己株消却がセットで行われる可能性が高いと考えられる。
■Check Point
・2016年3月期は不採算案件発生で大幅減益を余儀なくされたが、2017年3月期は一転、その反動で大幅増益を見込む
・新たな不採算案件の発生を防ぐために担当取締役直轄のPMO室を設置
・安定配当継続をベースに、業績動向次第で自社株買いと自己株消却が行われる可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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2016年3月期業績は、売上高が前期比4.3%増の17,508百万円、営業利益は同30.0%減の360百万円、当期純利益は同45.5%減の208百万円と、増収ながら2ケタ減益を余儀なくされた。売上高は、メガバンク向けの次期システム開発などを中心に金融分野の受注が好調であったことや、国民保険システム、マイナンバー関連の受注拡大により社会・公共分野も堅調に推移したことなどから、増収を確保した。にもかかわらず、大幅な営業減益となったのは、不採算案件が発生、今後見込まれる損失を受注損失引当金として計上し処理したことによる。
2017年3月期は、売上高が同2.9%増の18,016百万円、営業利益は同81.9%増の656百万円、当期純利益は同128.6%増の475百万円と増収、2ケタ増益を見込む会社計画となっている。銀行向けの大型統合案件が収束したマイナス影響により売上高は低い伸びに止まる。しかし、大幅な営業増益になるのは、2016年3月期に発生した不採算案件が対応済であることに加えて、新たな不採算案件の発生を見込まないためだ。
同社は、2019年3月期に売上高20,000百万円、営業利益1,200百万円(営業利益率6.0%)を達成することを目標として掲げている。この目標達成のために、需要の旺盛な金融分野での受注体制の強化を狙った組織変更や、新たな不採算案件の発生を阻止するためにプロジェクトマネジメント力の向上を狙い担当取締役直轄のPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)室の設置などの組織改革を4月に実施した。
情報サービス業界を取り巻く環境は、マイナンバー関連の需要は堅調で今後も公共分野の受注拡大が期待できるほか、金融分野ではFintech等新技術を活用したサービスの提供ニーズが増加しており、銀行を中心に堅調なIT投資が見込まれるなど、中期的に明るい状況が続く見通し。ただ、過去、不採算案件が発生し収益を圧迫してきたことを考慮すると、同社の中期財務目標の達成可否については、4月に設置されたPMO室がその機能を果たすかどうかがカギであると考え、今後の動向を注目する。
株主還元に関しては、「安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する」方針。この方針に従い、2017年3月期は10円の配当を計画(配当性向22.4%)している。加えて、同社は自社株買いを継続的に実施し、今年5月には保有する自己株式の消却を行った。これは、同業他社と比較して発行済株式数が多いと考えているためで、今後についても業績動向をにらみながら、自社株買いと自己株消却がセットで行われる可能性が高いと考えられる。
■Check Point
・2016年3月期は不採算案件発生で大幅減益を余儀なくされたが、2017年3月期は一転、その反動で大幅増益を見込む
・新たな不採算案件の発生を防ぐために担当取締役直轄のPMO室を設置
・安定配当継続をベースに、業績動向次第で自社株買いと自己株消却が行われる可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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