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神戸物産 Research Memo(3):16/10期2Qは円高の進行などで減益で着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

(1) 2016年10月期第2四半期累計業績について

6月13日付で発表された神戸物産<3038>の2016年10月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比6.8%増の119,014百万円、営業利益が同61.4%増の5,030百万円、経常利益が同39.3%減の2,868百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同56.5%減の1,021百万円となった。営業利益段階までは主力の業務スーパー事業の売上高が好調に推移したこと、並びに自社開発商品の強化や円高の進展に伴う仕入れコストの低減効果により増収営業増益となったが、4月末の為替レートが108円/ドルと前期末の120円/ドルから円高が進んだことで、営業外費用として為替差損805百万円、デリバティブ評価損1,326百万円を計上した他、金利スワップ解約損216百万円を計上したことが減益要因となった。前年同期は円安の進行で為替差益1,203百万円、デリバティブ評価益544百万円を計上していた。また、親会社株主に帰属する四半期純利益については実効税率の上昇や非支配株主に帰属する四半期純利益の増加によって減益率が経常利益段階よりも大きくなっている。

会社計画対比では、売上高はクックイノベンチャー事業が低調だったことにより若干未達となったものの、営業利益は業務スーパー事業の好調により上回る格好となった。また、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益については為替が当初想定よりも円高になったことで計画を下回った。ただ、為替関連の損失に関してはキャッシュアウトを伴うものではなく、本業ベースでは順調に拡大していると言える。実際、営業活動によるキャッシュフローは前年同期の3,727百万円から当第2四半期は5,835百万円と前年同期比で56.6%増となっている。

(2)事業別動向

a)業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前期比8.3%増の100,697百万円、営業利益は同62.5%増の5,344百万円となった。4月末の店舗数が前年同期比で34店舗増の730店舗と拡大したことに加えて、既存店の売上高が前年同期比4.8%増と堅調に推移したことが増収要因となった。同期間における国内スーパーマーケット業界全体の既存店売上高は2.1%増となっており、引き続き業務スーパーの販売力の強さが際立った格好となった。

既存店の売上高が業界平均を上回る伸びを続けている要因としては、独自開発で魅力的なオリジナル商品をベストプライスで提供し続けていることが挙げられる。当期のヒット商品としては、牛乳パック型の「水ようかん」や豆腐パック型の冷凍「チーズケーキ」などがあり、これら商品がテレビのほかSNSやブログなどでも取り上げられたことで、集客増や客単価アップにつながった。また、新たな販売促進策として、来店客を対象に旅行などのプレゼントキャンペーンを実施したほか、業務スーパーの商品を使ったレシピのコンテストを定期的に開催し、ファンづくりに取り組んだことなども売上増に寄与したと見られる。

なお、売上高営業利益率が前年同期の3.5%から5.3%へ上昇したが、これは為替の円高進展に伴って輸入商品のコスト低減が進んだことや、自社開発商品の強化により国内生産子会社の収益が第2四半期に入って大幅に改善したことが要因となっている。輸入商品に関しては自社工場を含めて商品開発が進んでおり、特に第2四半期において円高メリットを享受した。また、国内子会社では養鶏事業を行う(株)朝びき若鶏や、牛乳パック型「水ようかん」等が好調な豊田乳業(株)などの収益が拡大したほか、その他子会社についても自社開発商品の売上増や原材料費の下落などもあって概ね順調に推移した。損失の続いていた水産加工業のほくと食品(株)も自社開発の新商品の投入を予定しており、今期中に黒字化する見込みとなっている。一方、農・畜産事業と食品の製造販売を行う(株)神戸物産エコグリーン北海道については、製造ラインの改善余地がまだ残っているほか、従業員のスキルアップが必要で、黒字化の時期が遅れている。

なお、新業態として取り組んでいる輸入食品店の「ガレオン」については、2015年12月に路地店舗として元住吉店(川崎市中原区)を出店したほか、2016年3月に横浜みなとみらいのショッピングモール内にクイーンズスクエア横浜店を出店した。現在は、顧客ニーズを模索している段階にあり、試食販売やお菓子の詰め放題の実施など業務スーパーとは異なる施策を行い、顧客の獲得に取り組んでいる。

b)神戸クック事業
神戸クック事業の売上高は前年同期比7.9%増の669百万円、営業損失は133百万円(前年同期は181百万円の損失)となった。4月末の店舗数は「神戸クックワールドビュッフェ」が前年同期比2店舗増の15店舗、「Green’s K」が同1店舗減の10店舗、「Green’s K 鉄板ビュッフェ」が横ばいの5店舗、「ビュッフェ&しゃぶしゃぶ神戸」が同じく1店舗となっている。また、米国で展開していた「SHABU SHABU KOBE」については収益化が見込みにくいことから閉店している。

売上高については、総菜や弁当など中食需要の拡大を背景に「Green’s K」の増収が寄与した。また、「神戸クックワールドビュッフェ」についても一部の店舗で減収となったものの、初めての都市型店舗としてオープンしたハーバーランド店(神戸市中央区)が好調で、収益改善が進んでいる。「Green’s K 鉄板ビュッフェ」については店舗によって好不調の明暗が分かれているようで、フォーマットの見直しを検討している段階にある。

c)クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業の売上高は前年同期比1.4%減の17,337百万円、営業利益は同5.3%減の762百万円となった。外食事業において、居酒屋業態が低調に推移したことで減収となったが、同業他社と比較すれば減収率は小幅にとどまっており、焼肉屋さかいなど他業態は好調に推移した。また、利益面では神戸物産グループのサプライチェーンを活かしたローコストの食材を用いた商品メニューの開発や、不採算店舗・事業からの撤退など経営資源の集中と効率化を進めたことで小幅減益にとどまった。

d)エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前年同期比0.8%増の310百万円、営業損失は9百万円(前年同期は29百万円の損失)となった。メガソーラー発電事業は、4月末時点で北海道、兵庫県、福岡県で合計15.7MW(発電所は13ヶ所)と前年同期と同水準であった。利益面では償却負担の減少により、損失額が若干縮小する格好となった。なお、2016年春のオープンを予定していた大分県の温浴施設「ホットラグーン大分」に関しては、熊本地震の影響により井戸水の量が当初の想定よりも減少しており、オープン時期を8月以降に延期している。同事業に関しては地域活性化、雇用創出などの社会貢献を目的とした事業であり、業績面での寄与は織り込んでいない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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