EMシステムズ Research Memo(4):自己資本比率は59.6%へ、ROEは14.1%へそれぞれ改善
[16/07/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(2)財務状態
EMシステムズ<4820>の2016年3月期末の総資産は、前期末比1,060百万円増加し20,310百万円となった。内訳を見ると、流動資産は現金及び預金の増加(同1,526百万円増)、受取手形及び売掛金の増加(同351百万円増)などにより、前期末に比べ1,506百万円増加した。一方、固定資産は、減価償却による有形固定資産(同215百万円減)や投資その他の資産(同190百万円減)の減少などにより、前期末に比べ444百万円減少した。
負債は、8,137百万円となり、前期末に比べ99百万円減少した。未払法人税等の増加(同527百万円増)があったものの、長期借入金の減少を主要因として有利子負債が減少(同790百万円減)したためだ。対照的に、純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加(同1,223百万円増)等により、同1,159百万円増加し12,172百万円となった。
キャッシュ・フローの状況について見ると、2016年3月期末の現金及び現金同等物は、好調な業績に伴う税金等調整前当期純利益の増加、投資不動産の賃貸による収入の増加により、前期末に比べ1,426百万円増加し、6,354百万円へ拡大した。内訳を見ると、営業キャッシュ・フローは業績が堅調に推移したことにより2,108百万円の収入となったほか、投資キャッシュ・フローも投資不動産の賃貸による収入により597百万円の収入となった。一方、財務キャッシュ・フローは借入金の返済や配当金の支払などにより1,277百万円の支出となった。
経営指標について見ると、借入金の返済により安全性を表す流動比率は211.7%(前期末は198.0%)、自己資本比率は59.6%(同56.8%)へ上昇し、それぞれ改善した。一方、収益性を表す指標も業績拡大を反映しそれぞれ改善、特にROEは14.1%と10%台乗せを達成した。
(3)中期経営戦略
介護事業者向けシステム事業、医療・介護情報連携の推進により市場シェアのアップを狙う同社は2016年3月期決算の発表と同時に中期経営計画(2016年4月〜2019年3月)を策定・発表した。今回、現在の中期経営計画の最終年度(2017年3月期)の終了を待たずに新しい中期経営計画を1年前倒しで策定したのは、2018年4月に予定されている介護報酬・診療報酬の同時改定で同社の主力ユーザーである調剤薬局の経営状態が一段と厳しくなり、それにつれてそのシステムを取り扱うシステム事業者も厳しい状況に置かれることになると予想。同社はこれをビジネスチャンスと捉え、市場シェアのアップとストックビジネスによる収益基盤の更なる盤石化を狙ったことによる。
その基本戦略として、事業領域を調剤・医科・介護の3領域とし、それぞれの領域でソリューションの強化と販路の拡大、事業間の相乗効果によるユーザー数の増加と、調剤・医科・介護情報連携を実現することを挙げている。同社では今年4月から組織の権限と責任を明確化する組織変更(従来の5本部制を再編し、調剤システム事業部、医科システム事業部、医療介護連携事業部及び営業・サービス事業部の4事業部を新設)を行い、それぞれが戦略を実行することにより、調剤システムのマーケットシェア40%、医科システムのマーケットシェア10%、介護事業者向けシステムのマーケットシェア5%を確保し、2019年3月期に売上高14,670百万円、営業利益2,280百万円を達成することを目標としている。事業別の具体的な施策は以下のとおり。
a)調剤システム事業
調剤システム事業では、1)調剤薬局チェーン店へのアプローチ強化による他社リプレース、及び新規開局案件の獲得を図る、2)ユーザー訪問の強化によるCSの向上、3)EHR※のメリットを最大限に活かし、医科ユーザーの門前薬局へのアプローチを推進、4)事業規模拡大に資するM&Aの積極的な検討、5)次世代製品の開発、を重点施策として挙げている。これらを推進することで、2019年3月期の売上高9,025百万円、営業利益2,060百万円の達成を目指す。
※EHR:Electronic Health Recordの略。電子健康記録。異なる医療機関・健康関連組織で別々に管理されている個々人の健康・医療情報を地域/国レベルで集約・統合して共同利用する仕組みのこと。医療構造改革を達成する手段として期待されている。
b)医科システム事業
医科システムについては、1)同社と(株)ユニコンの営業体制を一元化することによるシナジー効果を追求する、2)新規販売チャネルの拡充、3) EHRのメリットを最大限に活かし、調剤薬局ユーザーの処方元医院・クリニックへのアプローチを推進、4)事業規模拡大に資するM&Aの積極的な検討、などを行うことで、2019年3月期に売上高1,560百万円、営業利益100百万円の達成を目指す。
c)その他事業
その他事業については、調剤・医科以外の事業をその他事業とし、1)新製品リリースにより介護事業者向けシステム事業への参入と立ち上げを図る、2)調剤・医科・介護情報連携システムの構築、3)大阪本社ビルにおけるヘルスケア産業事業の更なる展開、などにより、2019年3月期に売上高1,370百万円、営業利益200百万円の達成を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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(2)財務状態
EMシステムズ<4820>の2016年3月期末の総資産は、前期末比1,060百万円増加し20,310百万円となった。内訳を見ると、流動資産は現金及び預金の増加(同1,526百万円増)、受取手形及び売掛金の増加(同351百万円増)などにより、前期末に比べ1,506百万円増加した。一方、固定資産は、減価償却による有形固定資産(同215百万円減)や投資その他の資産(同190百万円減)の減少などにより、前期末に比べ444百万円減少した。
負債は、8,137百万円となり、前期末に比べ99百万円減少した。未払法人税等の増加(同527百万円増)があったものの、長期借入金の減少を主要因として有利子負債が減少(同790百万円減)したためだ。対照的に、純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加(同1,223百万円増)等により、同1,159百万円増加し12,172百万円となった。
キャッシュ・フローの状況について見ると、2016年3月期末の現金及び現金同等物は、好調な業績に伴う税金等調整前当期純利益の増加、投資不動産の賃貸による収入の増加により、前期末に比べ1,426百万円増加し、6,354百万円へ拡大した。内訳を見ると、営業キャッシュ・フローは業績が堅調に推移したことにより2,108百万円の収入となったほか、投資キャッシュ・フローも投資不動産の賃貸による収入により597百万円の収入となった。一方、財務キャッシュ・フローは借入金の返済や配当金の支払などにより1,277百万円の支出となった。
経営指標について見ると、借入金の返済により安全性を表す流動比率は211.7%(前期末は198.0%)、自己資本比率は59.6%(同56.8%)へ上昇し、それぞれ改善した。一方、収益性を表す指標も業績拡大を反映しそれぞれ改善、特にROEは14.1%と10%台乗せを達成した。
(3)中期経営戦略
介護事業者向けシステム事業、医療・介護情報連携の推進により市場シェアのアップを狙う同社は2016年3月期決算の発表と同時に中期経営計画(2016年4月〜2019年3月)を策定・発表した。今回、現在の中期経営計画の最終年度(2017年3月期)の終了を待たずに新しい中期経営計画を1年前倒しで策定したのは、2018年4月に予定されている介護報酬・診療報酬の同時改定で同社の主力ユーザーである調剤薬局の経営状態が一段と厳しくなり、それにつれてそのシステムを取り扱うシステム事業者も厳しい状況に置かれることになると予想。同社はこれをビジネスチャンスと捉え、市場シェアのアップとストックビジネスによる収益基盤の更なる盤石化を狙ったことによる。
その基本戦略として、事業領域を調剤・医科・介護の3領域とし、それぞれの領域でソリューションの強化と販路の拡大、事業間の相乗効果によるユーザー数の増加と、調剤・医科・介護情報連携を実現することを挙げている。同社では今年4月から組織の権限と責任を明確化する組織変更(従来の5本部制を再編し、調剤システム事業部、医科システム事業部、医療介護連携事業部及び営業・サービス事業部の4事業部を新設)を行い、それぞれが戦略を実行することにより、調剤システムのマーケットシェア40%、医科システムのマーケットシェア10%、介護事業者向けシステムのマーケットシェア5%を確保し、2019年3月期に売上高14,670百万円、営業利益2,280百万円を達成することを目標としている。事業別の具体的な施策は以下のとおり。
a)調剤システム事業
調剤システム事業では、1)調剤薬局チェーン店へのアプローチ強化による他社リプレース、及び新規開局案件の獲得を図る、2)ユーザー訪問の強化によるCSの向上、3)EHR※のメリットを最大限に活かし、医科ユーザーの門前薬局へのアプローチを推進、4)事業規模拡大に資するM&Aの積極的な検討、5)次世代製品の開発、を重点施策として挙げている。これらを推進することで、2019年3月期の売上高9,025百万円、営業利益2,060百万円の達成を目指す。
※EHR:Electronic Health Recordの略。電子健康記録。異なる医療機関・健康関連組織で別々に管理されている個々人の健康・医療情報を地域/国レベルで集約・統合して共同利用する仕組みのこと。医療構造改革を達成する手段として期待されている。
b)医科システム事業
医科システムについては、1)同社と(株)ユニコンの営業体制を一元化することによるシナジー効果を追求する、2)新規販売チャネルの拡充、3) EHRのメリットを最大限に活かし、調剤薬局ユーザーの処方元医院・クリニックへのアプローチを推進、4)事業規模拡大に資するM&Aの積極的な検討、などを行うことで、2019年3月期に売上高1,560百万円、営業利益100百万円の達成を目指す。
c)その他事業
その他事業については、調剤・医科以外の事業をその他事業とし、1)新製品リリースにより介護事業者向けシステム事業への参入と立ち上げを図る、2)調剤・医科・介護情報連携システムの構築、3)大阪本社ビルにおけるヘルスケア産業事業の更なる展開、などにより、2019年3月期に売上高1,370百万円、営業利益200百万円の達成を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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