19日の日本国債市場概況:債券先物は151円30銭台で軟調推移
[16/08/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■トーセイ<8923>の中長期展望
(1)既存事業を拡大しながら周辺事業領域への進出を模索
2015年11月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「Advancing Together 2017」では企業規模の拡大を志向し、基本方針を『既存事業の拡大と周辺事業領域の検討』としている。重点戦略に掲げているのは、1)成長ドライバーの強化、2)安定3事業の強化、3)周辺事業領域の検討と進出の3つ。
(2)積極仕入れによるバランスシート拡大が成長の基本
成長の基本は積極仕入れ継続によるバランスシートの拡大。これにより成長ドライバーとする3事業のうち不動産流動化、不動産開発と、安定3事業のうちの不動産賃貸の拡大を図っていく。
拡大路線ながら事業の安定性向上も重視しており、保有不動産拡大に伴う賃貸収入の増加に加え、AUM拡大によるフィー収入の拡大などにより、2020年11月期には安定3事業の売上総利益を全体の売上総利益(物件販売経費を控除したベース)の50%まで高めたいとしている(2015年11月期末47%、2016年11月期末予想40%)。また、安定3事業の売上総利益で物件販売経費を除く販管費と金利をカバーしたいとしている(この点については現状でもおおむねカバーできている)。
(3)周辺事業領域ではホテル事業が核となる
周辺事業領域への進出で、目玉になっているのはホテル事業。新規ホテルの開発、既存ホテルの取得・バリューアップ、中古オフィスビルのコンバージョン、第三者が保有するホテルの運営受託の4つの手法で展開する方針。
2016年11月期上期には錦糸町の空ビルをホテルコンバージョンプランの提案により売却し、比較的高い利益率を上げた。
開発第1号案件は、千代田区内神田のビジネスホテルで、2017年秋のオープンを目指し、現在、建設中。観光需要のほかビジネス用途などのインバウンド需要も見込める立地で想定部屋数は111室。オフィスとして開発する場合に比べキャッシュフローは5割増になる見込みという。2016年2月にホテルの企画・運営等を行う100%子会社のトーセイ・ホテル・マネジメント(株)を設立し、基本的に自社でオペレーションを行う方針。
このほか、現在、池袋(池袋の不動産保有会社のM&Aにより取得)と多摩永山にビジネスホテルを保有している。
ホテルの売却先としては、ファンド、ホテル事業会社などを想定している。トーセイ・リートもビジネスホテルへの投資を可能とするための規約変更を実施しており、将来、売却先の候補となろう。
(4) 2020年11月期に連結売上高1,000億円を目指す
中期経営計画では、最終年度の2017年11月期の売上高や利益の計数目標を公表しておらず、オリンピックイヤーの2020年11月期の連結売上高目標として1,000億円を掲げている。この時の利益目標は明示されていないが、営業利益120億円程度を想定していると推測される。しかし、2017年11月期に早くも営業利益100億円を達成しそうな状況であり、新たな目標設定が必要となるだろう。
(5) Brexit後の急速な円高進行による不動産投資市場への影響は限定的だろう
Brexitによる急激な円高の進行、それによる企業業績や国内景況感の悪化懸念など事業環境には不透明感が高まっている。円高は海外投資家の日本の不動産に対する投資意欲の減退、利益確定のための売却促進につながる可能性がある。また、今後、ホテルの開業が増えていくなか、円高により訪日外国人旅行者数の伸びが鈍化すればホテルの稼働率、ADRが影響を受ける可能性がある。企業業績の悪化はオフィス需要を減退させる可能性がある。
足元ではホテル需要にはやや陰りがみられるものの、潮目が変わったとまでは言えない。オフィス需要は景気に遅行するため楽観はできないものの、引続き旺盛である。主要なアセットタイプで急激に賃貸キャッシュフローが悪化する可能性は乏しいとみる。
金融機関の融資姿勢は昨秋頃から一部選別的になった感があったが、2月からの日銀のマイナス金利導入により、ほとんどの金融機関は再び不動産融資を積極化し、デットの調達環境は非常に良好である。ただし、外部環境の不透明感の高まりにより、キャップレートの一段の低下余地は乏しくなったとみる。
もともと同社は不動産流動化事業においてキャップレートの低下に依存せず、バリューアップ余地の大きい中小型物件を取得し、NOIを改善させることで売却益を上げるビジネスモデルである。また、物件取得時には収益還元法に基づく収益価格だけでなく、原価法に基づく積算価格による検証も行っており、高値つかみにならないよう注意を払っている。中期的に持続的な業容拡大は可能と考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
(1)既存事業を拡大しながら周辺事業領域への進出を模索
2015年11月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「Advancing Together 2017」では企業規模の拡大を志向し、基本方針を『既存事業の拡大と周辺事業領域の検討』としている。重点戦略に掲げているのは、1)成長ドライバーの強化、2)安定3事業の強化、3)周辺事業領域の検討と進出の3つ。
(2)積極仕入れによるバランスシート拡大が成長の基本
成長の基本は積極仕入れ継続によるバランスシートの拡大。これにより成長ドライバーとする3事業のうち不動産流動化、不動産開発と、安定3事業のうちの不動産賃貸の拡大を図っていく。
拡大路線ながら事業の安定性向上も重視しており、保有不動産拡大に伴う賃貸収入の増加に加え、AUM拡大によるフィー収入の拡大などにより、2020年11月期には安定3事業の売上総利益を全体の売上総利益(物件販売経費を控除したベース)の50%まで高めたいとしている(2015年11月期末47%、2016年11月期末予想40%)。また、安定3事業の売上総利益で物件販売経費を除く販管費と金利をカバーしたいとしている(この点については現状でもおおむねカバーできている)。
(3)周辺事業領域ではホテル事業が核となる
周辺事業領域への進出で、目玉になっているのはホテル事業。新規ホテルの開発、既存ホテルの取得・バリューアップ、中古オフィスビルのコンバージョン、第三者が保有するホテルの運営受託の4つの手法で展開する方針。
2016年11月期上期には錦糸町の空ビルをホテルコンバージョンプランの提案により売却し、比較的高い利益率を上げた。
開発第1号案件は、千代田区内神田のビジネスホテルで、2017年秋のオープンを目指し、現在、建設中。観光需要のほかビジネス用途などのインバウンド需要も見込める立地で想定部屋数は111室。オフィスとして開発する場合に比べキャッシュフローは5割増になる見込みという。2016年2月にホテルの企画・運営等を行う100%子会社のトーセイ・ホテル・マネジメント(株)を設立し、基本的に自社でオペレーションを行う方針。
このほか、現在、池袋(池袋の不動産保有会社のM&Aにより取得)と多摩永山にビジネスホテルを保有している。
ホテルの売却先としては、ファンド、ホテル事業会社などを想定している。トーセイ・リートもビジネスホテルへの投資を可能とするための規約変更を実施しており、将来、売却先の候補となろう。
(4) 2020年11月期に連結売上高1,000億円を目指す
中期経営計画では、最終年度の2017年11月期の売上高や利益の計数目標を公表しておらず、オリンピックイヤーの2020年11月期の連結売上高目標として1,000億円を掲げている。この時の利益目標は明示されていないが、営業利益120億円程度を想定していると推測される。しかし、2017年11月期に早くも営業利益100億円を達成しそうな状況であり、新たな目標設定が必要となるだろう。
(5) Brexit後の急速な円高進行による不動産投資市場への影響は限定的だろう
Brexitによる急激な円高の進行、それによる企業業績や国内景況感の悪化懸念など事業環境には不透明感が高まっている。円高は海外投資家の日本の不動産に対する投資意欲の減退、利益確定のための売却促進につながる可能性がある。また、今後、ホテルの開業が増えていくなか、円高により訪日外国人旅行者数の伸びが鈍化すればホテルの稼働率、ADRが影響を受ける可能性がある。企業業績の悪化はオフィス需要を減退させる可能性がある。
足元ではホテル需要にはやや陰りがみられるものの、潮目が変わったとまでは言えない。オフィス需要は景気に遅行するため楽観はできないものの、引続き旺盛である。主要なアセットタイプで急激に賃貸キャッシュフローが悪化する可能性は乏しいとみる。
金融機関の融資姿勢は昨秋頃から一部選別的になった感があったが、2月からの日銀のマイナス金利導入により、ほとんどの金融機関は再び不動産融資を積極化し、デットの調達環境は非常に良好である。ただし、外部環境の不透明感の高まりにより、キャップレートの一段の低下余地は乏しくなったとみる。
もともと同社は不動産流動化事業においてキャップレートの低下に依存せず、バリューアップ余地の大きい中小型物件を取得し、NOIを改善させることで売却益を上げるビジネスモデルである。また、物件取得時には収益還元法に基づく収益価格だけでなく、原価法に基づく積算価格による検証も行っており、高値つかみにならないよう注意を払っている。中期的に持続的な業容拡大は可能と考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)