サムティ Research Memo(2):高稼働率のレジデンスを得意分野としリーシング力に強み
[16/08/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■サムティ<3244>の会社概要
(1)事業概要
事業セグメントは、「不動産事業」、「不動産賃貸事業」、「その他の事業」の3つに分類される。「不動産事業」が売上高の79.5%、営業利益の67.5%を占めている(2016年11月期第2四半期実績)。ただ、「不動産賃貸事業」が着実に伸びてきたことに対して、「不動産事業」は事業環境等によって大きく増減するところに注意が必要である。創業以来、安定した高稼働率が期待できるレジデンス(マンション等)を得意分野としており、リーシング力(賃貸付け)に強みがある。
また、2015年3月にSRRを設立し、同年6月に東証J-REIT市場に上場させた。同社は、SRRへのスポンサーとしての役割(物件供給)とアセットマネジメント業務等を担っている。SRRの現在の資産規模は500億円超となっている(2016年8月2日時点)。
営業拠点は、大阪本社(大阪市淀川区)のほか、東京支店(東京都千代田区)、福岡支店(福岡市博多区)、札幌支店(札幌市中央区)、名古屋支店(名古屋市中村区)となっており、地方大都市圏を中心として全国に展開する体制が確立されている。
同社グループは、同社及び連結子会社15社によって構成されるが、不動産事業及び不動産賃貸事業を行うプロセスにおいて、土地・建物及び信託受益権を取得・保有・開発するスキームに関連して設立又は出資している特別目的会社(SPC)や一般社団法人が10社含まれている。主な連結子会社には、サムティアセットマネジメント(株)(アセットマネジメント等)、(株)サン・トーア(ホテル運営等)、サムティ管理(株)(物件管理や保守等)などがある。
各事業の概要は以下のとおりである。
a)不動産事業
同社の成長を支える事業であり、「開発流動化」、「再生流動化」、「分譲(投資・住宅)」、「アセットマネジメント」の4つサブセグメントに区分される。
「開発流動化」は、不動産ファンド向け賃貸マンション(自社開発ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ)等の企画、開発及び販売を行っている。基本的には総戸数200戸前後の大型ワンルームマンションであり、吹き抜けのあるエントランスや高級感あふれるデザインに特徴がある。最近では、規模にかかわらず不動産ファンド等からの需要が大きいことから、中型物件も増えてきた。SRRに対して「S-RESIDENCE」シリーズの優先的売買交渉権を付与しており、今後はSRRへの物件供給を中心に据える方針である。
「再生流動化」は、既存の収益不動産の再生及び販売を行っている。取得した収益不動産に対して、リーシング力やノウハウの活用、設備改修によるグレードアップなどにより、稼働率の向上等を図り、保有期間中の収益確保につなげるとともに、最終的には、投資物件として不動産ファンドや事業会社、個人富裕層等に販売することによる売却益を目的としている。また、SRR向けのウェアハウジング※も行っている。なお、保有期間中は、たな卸資産(販売用不動産)に計上されるが、賃料収入は不動産賃貸事業に計上される。
※REITに組み入れるための物件取得
「分譲(投資・住宅)」は、主に個人投資家向けの投資用ワンルームマンションの企画、開発及び販売を行っている。自社では販売部隊を持たず、販売会社に卸販売(区分及び一棟売り)するところに特徴がある。事業エリアにおいて販売実績のある販売会社とのネットワークを構築し、企画開発の段階から販売会社と協議を行うことにより、顧客(利用者)ニーズに合致した物件を供給している。また、品薄感から販売会社による青田買いの動きが活発な首都圏を除くと、同社のリーシング力(賃貸付けを行ったうえで販売)の高さが他社との差別化や販売会社に対する信頼性や交渉力につながっている。
「アセットマネジメント」は、同社がアセットマネジャーとして不動産ファンドからの不動産の運用及び管理業務等を受託することによる手数料収入のほか、同社自らの不動産ファンドへの出資による配当収入を目的としている。SRRが順調に立ち上がったことにより、今後はSRRの資産規模の拡大に伴って、アセットマネジメント業務も拡大する方向にあると言える。
b)不動産賃貸事業
同社の安定性を担保する基盤事業である。セグメント利益率も高い水準を維持している。関西圏及び首都圏、福岡、札幌、名古屋等の政令指定都市を中心とした全国各地に約80棟を有するとともに、マンション、オフィスビル、商業施設等、多様な資産に分散投資を行っている。施設別の内訳は、マンションが54.3%、商業施設等が23.4%、オフィスが22.4%となっており、安定した高稼働率が期待できるマンションや商業施設等の比重が高い。リーシング力を活かすことで年平均90%を超える高い稼働率を実現している。施設別の稼働率では、マンション91.0%、オフィス91.8%、商業施設の89.6%となっている。保有不動産の規模は約823億円にのぼるが、最終的に売却を目的とするたな卸資産(販売用不動産)約348億円と自社保有を目的とする有形固定資産約475億円に分かれる(実績数値はすべて2015年11月末現在)。なお、主な商業施設等には歴史のある「天橋立ホテル」のほか、最近では2014年12月にリニューアルオープンした琵琶湖畔の大型商業施設の「ピエリ守山」などが含まれている。
c)その他の事業
主にホテルの運営、分譲マンション管理事業、建設・リフォーム業を行っている。ホテルについては、「センターホテル東京」(東京都中央区日本橋、客室数107室)、「センターホテル大阪」(大阪市中央区北浜、同84室)、「エスペリアホテル長崎」(長崎県長崎市、同153室)、「ホテルサンシャイン宇都宮」(栃木県宇都宮市、同160室)の4棟のビジネスホテルを保有し、「センターホテル東京」、「センターホテル大阪」は子会社のサン・トーアが運営を行っている。また、子会社のサムティ管理において、分譲マンション管理(同社分譲物件の一部及び外部物件)及び建設・リフォームなども展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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(1)事業概要
事業セグメントは、「不動産事業」、「不動産賃貸事業」、「その他の事業」の3つに分類される。「不動産事業」が売上高の79.5%、営業利益の67.5%を占めている(2016年11月期第2四半期実績)。ただ、「不動産賃貸事業」が着実に伸びてきたことに対して、「不動産事業」は事業環境等によって大きく増減するところに注意が必要である。創業以来、安定した高稼働率が期待できるレジデンス(マンション等)を得意分野としており、リーシング力(賃貸付け)に強みがある。
また、2015年3月にSRRを設立し、同年6月に東証J-REIT市場に上場させた。同社は、SRRへのスポンサーとしての役割(物件供給)とアセットマネジメント業務等を担っている。SRRの現在の資産規模は500億円超となっている(2016年8月2日時点)。
営業拠点は、大阪本社(大阪市淀川区)のほか、東京支店(東京都千代田区)、福岡支店(福岡市博多区)、札幌支店(札幌市中央区)、名古屋支店(名古屋市中村区)となっており、地方大都市圏を中心として全国に展開する体制が確立されている。
同社グループは、同社及び連結子会社15社によって構成されるが、不動産事業及び不動産賃貸事業を行うプロセスにおいて、土地・建物及び信託受益権を取得・保有・開発するスキームに関連して設立又は出資している特別目的会社(SPC)や一般社団法人が10社含まれている。主な連結子会社には、サムティアセットマネジメント(株)(アセットマネジメント等)、(株)サン・トーア(ホテル運営等)、サムティ管理(株)(物件管理や保守等)などがある。
各事業の概要は以下のとおりである。
a)不動産事業
同社の成長を支える事業であり、「開発流動化」、「再生流動化」、「分譲(投資・住宅)」、「アセットマネジメント」の4つサブセグメントに区分される。
「開発流動化」は、不動産ファンド向け賃貸マンション(自社開発ブランド「S-RESIDENCE」シリーズ)等の企画、開発及び販売を行っている。基本的には総戸数200戸前後の大型ワンルームマンションであり、吹き抜けのあるエントランスや高級感あふれるデザインに特徴がある。最近では、規模にかかわらず不動産ファンド等からの需要が大きいことから、中型物件も増えてきた。SRRに対して「S-RESIDENCE」シリーズの優先的売買交渉権を付与しており、今後はSRRへの物件供給を中心に据える方針である。
「再生流動化」は、既存の収益不動産の再生及び販売を行っている。取得した収益不動産に対して、リーシング力やノウハウの活用、設備改修によるグレードアップなどにより、稼働率の向上等を図り、保有期間中の収益確保につなげるとともに、最終的には、投資物件として不動産ファンドや事業会社、個人富裕層等に販売することによる売却益を目的としている。また、SRR向けのウェアハウジング※も行っている。なお、保有期間中は、たな卸資産(販売用不動産)に計上されるが、賃料収入は不動産賃貸事業に計上される。
※REITに組み入れるための物件取得
「分譲(投資・住宅)」は、主に個人投資家向けの投資用ワンルームマンションの企画、開発及び販売を行っている。自社では販売部隊を持たず、販売会社に卸販売(区分及び一棟売り)するところに特徴がある。事業エリアにおいて販売実績のある販売会社とのネットワークを構築し、企画開発の段階から販売会社と協議を行うことにより、顧客(利用者)ニーズに合致した物件を供給している。また、品薄感から販売会社による青田買いの動きが活発な首都圏を除くと、同社のリーシング力(賃貸付けを行ったうえで販売)の高さが他社との差別化や販売会社に対する信頼性や交渉力につながっている。
「アセットマネジメント」は、同社がアセットマネジャーとして不動産ファンドからの不動産の運用及び管理業務等を受託することによる手数料収入のほか、同社自らの不動産ファンドへの出資による配当収入を目的としている。SRRが順調に立ち上がったことにより、今後はSRRの資産規模の拡大に伴って、アセットマネジメント業務も拡大する方向にあると言える。
b)不動産賃貸事業
同社の安定性を担保する基盤事業である。セグメント利益率も高い水準を維持している。関西圏及び首都圏、福岡、札幌、名古屋等の政令指定都市を中心とした全国各地に約80棟を有するとともに、マンション、オフィスビル、商業施設等、多様な資産に分散投資を行っている。施設別の内訳は、マンションが54.3%、商業施設等が23.4%、オフィスが22.4%となっており、安定した高稼働率が期待できるマンションや商業施設等の比重が高い。リーシング力を活かすことで年平均90%を超える高い稼働率を実現している。施設別の稼働率では、マンション91.0%、オフィス91.8%、商業施設の89.6%となっている。保有不動産の規模は約823億円にのぼるが、最終的に売却を目的とするたな卸資産(販売用不動産)約348億円と自社保有を目的とする有形固定資産約475億円に分かれる(実績数値はすべて2015年11月末現在)。なお、主な商業施設等には歴史のある「天橋立ホテル」のほか、最近では2014年12月にリニューアルオープンした琵琶湖畔の大型商業施設の「ピエリ守山」などが含まれている。
c)その他の事業
主にホテルの運営、分譲マンション管理事業、建設・リフォーム業を行っている。ホテルについては、「センターホテル東京」(東京都中央区日本橋、客室数107室)、「センターホテル大阪」(大阪市中央区北浜、同84室)、「エスペリアホテル長崎」(長崎県長崎市、同153室)、「ホテルサンシャイン宇都宮」(栃木県宇都宮市、同160室)の4棟のビジネスホテルを保有し、「センターホテル東京」、「センターホテル大阪」は子会社のサン・トーアが運営を行っている。また、子会社のサムティ管理において、分譲マンション管理(同社分譲物件の一部及び外部物件)及び建設・リフォームなども展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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