ラクオリア創薬 Research Memo(5):化合物ライブラリーやイオンチャネル創薬の技術が強み
[16/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■共同研究・産学連携の状況
(1)企業との共同研究
ラクオリア創薬<4579>は充実した化合物ライブラリーやイオンチャネル創薬の技術が強みとなっており、大手医薬品企業にとっても魅力ある存在となっている。共同研究は医薬品候補になる化合物の探索を目的しており、医薬品研究開発全体では初期ステージに属するが、共同研究契約の中には、開発の各段階でのマイルストーン収入や医薬品として上市後のロイヤリティ収入についても言及されているため、探索の結果、有望な化合物を創出できれば、同社への収益貢献が期待できることになる。
現状、同社はEAファーマ(株)(契約締結時は味の素製薬(株))、インタープロテイン(株)、旭化成ファーマ(株)、及び中国のXuanZhu Pharma Co.,Ltdと共同研究契約を締結している。インタープロテイン以外はすべて同社が得意とするイオンチャネルをターゲットとするものだ。旭化成ファーマとは3回目の契約で、過去2回の契約はいずれも一定の目標に到達し、マイルストーンを受領して終了している。
(2)産学連携
ここ数年同社が注力してきたのは、アカデミア(大学)との産学連携だ。とりわけ、地元の名古屋大学との連携を深めてきている。同社は2014年4月に名古屋大学環境医学研究所内に産学協同研究部門「薬効解析部門」を設置したのを皮切りに、2015年4月に産学協同研究講座「薬剤科学・分析化学講座」と「新薬創成化学講座」を設置し、同年8月には化学研究部が同大学東山キャンパスに移転した。同社はこれら一連の名古屋大学との産学協同研究の成果を、国内外の製薬会社やバイオベンチャーにライセンスアウトして収益化していく計画だ。
同社は上記の取り組みを事業テーマ「新薬の種を大学発シーズから創出し、ライセンスアウトで収益を上げる創薬事業」としてまとめ、経産省中部経済産業局による異分野連携による新事業分野開拓計画(新連携計画)に応募していたが、2015年7月に「中部地域における平成27年度第1回」に認定された。この認定により同社は補助金、政府系金融機関からの低利融資、信用保証の特例等の各種支援策を受けることが可能となった。この取り組みに際しては、市場性の調査・マーケティングを担当する(株)シード・プランニングと提携し、事業可能性を高めることを期待している。
弊社では、同社の産学連携の取り組みは、創薬の面のみならず、様々なシナジー効果を期待できる施策であると考えている。主目的の創薬については、前述した名古屋大学内の3機関(薬効解析部門、新薬創成化学講座、薬剤科学・分析化学講座)の設置により、名古屋大学の強みである豊富なターゲットや高レベルの基礎研究力を活用できることになる。大学との共同研究による開発が進展して知的ライセンス商品へと成長した場合には、その権利帰属は企業-大学間で柔軟に決めることができる。さらに、「企業の費用で雇用した研究者が創出した知的財産は企業帰属とできる」と定められているため、企業独自の研究も継続して展開することができる。他方で、これらの3機関の設置に合わせて、同社の研究者は活動拠点を名古屋大学へと移転したが、このことは同社の事業費用における施設関連費の大幅な削減につながっている。また、大学主催の企業研究セミナーや合同企業説明会への参加やインターンシップ制度の活用等により、将来的には有能な若手人材の採用・育成の面でも効果が期待できるとみられる。このように、同社は名古屋大学との連携から数多くのメリットを享受できるとみられ、弊社では同社の産学連携の進捗を、期待を持って見守りたいと考えている。
(3)事業パートナーAskAt社との協業
同社は事業パートナーであるAskAt(アスカット)社との間で、同社からAskAt社に知的財産を譲渡し、将来的な売上高に対して一定料率のロイヤリティを受け取る契約を締結している。
2016年8月時点では、前臨床段階に疼痛領域のEP4拮抗薬(RQ-8/AAT-008)が、第2相臨床試験段階にEP4拮抗薬(RQ-7/AAT-007)とCOX-2阻害薬(RQ-00317076/AAT-076)がある。また中枢神経疾患を対象とした5-HT4部分作動薬(RQ-9/AAT-009)が第1相臨床試験を終了した段階にある。これら各プログラムの開発は順調な進捗を見せており、今後のさらなる開発進展や導出が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(1)企業との共同研究
ラクオリア創薬<4579>は充実した化合物ライブラリーやイオンチャネル創薬の技術が強みとなっており、大手医薬品企業にとっても魅力ある存在となっている。共同研究は医薬品候補になる化合物の探索を目的しており、医薬品研究開発全体では初期ステージに属するが、共同研究契約の中には、開発の各段階でのマイルストーン収入や医薬品として上市後のロイヤリティ収入についても言及されているため、探索の結果、有望な化合物を創出できれば、同社への収益貢献が期待できることになる。
現状、同社はEAファーマ(株)(契約締結時は味の素製薬(株))、インタープロテイン(株)、旭化成ファーマ(株)、及び中国のXuanZhu Pharma Co.,Ltdと共同研究契約を締結している。インタープロテイン以外はすべて同社が得意とするイオンチャネルをターゲットとするものだ。旭化成ファーマとは3回目の契約で、過去2回の契約はいずれも一定の目標に到達し、マイルストーンを受領して終了している。
(2)産学連携
ここ数年同社が注力してきたのは、アカデミア(大学)との産学連携だ。とりわけ、地元の名古屋大学との連携を深めてきている。同社は2014年4月に名古屋大学環境医学研究所内に産学協同研究部門「薬効解析部門」を設置したのを皮切りに、2015年4月に産学協同研究講座「薬剤科学・分析化学講座」と「新薬創成化学講座」を設置し、同年8月には化学研究部が同大学東山キャンパスに移転した。同社はこれら一連の名古屋大学との産学協同研究の成果を、国内外の製薬会社やバイオベンチャーにライセンスアウトして収益化していく計画だ。
同社は上記の取り組みを事業テーマ「新薬の種を大学発シーズから創出し、ライセンスアウトで収益を上げる創薬事業」としてまとめ、経産省中部経済産業局による異分野連携による新事業分野開拓計画(新連携計画)に応募していたが、2015年7月に「中部地域における平成27年度第1回」に認定された。この認定により同社は補助金、政府系金融機関からの低利融資、信用保証の特例等の各種支援策を受けることが可能となった。この取り組みに際しては、市場性の調査・マーケティングを担当する(株)シード・プランニングと提携し、事業可能性を高めることを期待している。
弊社では、同社の産学連携の取り組みは、創薬の面のみならず、様々なシナジー効果を期待できる施策であると考えている。主目的の創薬については、前述した名古屋大学内の3機関(薬効解析部門、新薬創成化学講座、薬剤科学・分析化学講座)の設置により、名古屋大学の強みである豊富なターゲットや高レベルの基礎研究力を活用できることになる。大学との共同研究による開発が進展して知的ライセンス商品へと成長した場合には、その権利帰属は企業-大学間で柔軟に決めることができる。さらに、「企業の費用で雇用した研究者が創出した知的財産は企業帰属とできる」と定められているため、企業独自の研究も継続して展開することができる。他方で、これらの3機関の設置に合わせて、同社の研究者は活動拠点を名古屋大学へと移転したが、このことは同社の事業費用における施設関連費の大幅な削減につながっている。また、大学主催の企業研究セミナーや合同企業説明会への参加やインターンシップ制度の活用等により、将来的には有能な若手人材の採用・育成の面でも効果が期待できるとみられる。このように、同社は名古屋大学との連携から数多くのメリットを享受できるとみられ、弊社では同社の産学連携の進捗を、期待を持って見守りたいと考えている。
(3)事業パートナーAskAt社との協業
同社は事業パートナーであるAskAt(アスカット)社との間で、同社からAskAt社に知的財産を譲渡し、将来的な売上高に対して一定料率のロイヤリティを受け取る契約を締結している。
2016年8月時点では、前臨床段階に疼痛領域のEP4拮抗薬(RQ-8/AAT-008)が、第2相臨床試験段階にEP4拮抗薬(RQ-7/AAT-007)とCOX-2阻害薬(RQ-00317076/AAT-076)がある。また中枢神経疾患を対象とした5-HT4部分作動薬(RQ-9/AAT-009)が第1相臨床試験を終了した段階にある。これら各プログラムの開発は順調な進捗を見せており、今後のさらなる開発進展や導出が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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