ラクオリア創薬 Research Memo(6):中期経営計画「Odyssey 2018」を発表
[16/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
(1)業績見通しの全体像
ラクオリア創薬<4579>は2016年2月24日に中期経営計画「Odyssey 2018」を発表し、2016年12月期の業績予想に加えて2018年12月期までの業績計画を公表した。その後、2016年5月18日に2016年12月期業績予想について一部修正を行った。
2016年12月期については、事業収益(売上高)950百万円(前期比552.9%増)、営業損失819百万円、経常損失823百万円、当期純損失832百万円を予想している。また、中期経営計画最終年度の2018年12月期については、事業収益1,200百万円、営業損失128百万円、経常損失130百万円、当期純損失136百万円と計画している。
同社は上記の事業収益の計画値に関し、その内訳を公表している。弊社が重要と考えるポイントは、1)契約一時金収入が計画の中に組み込まれていないこと、2)導出先製品の上市に伴うロイヤリティ収入の計上が計画されていること、3)向こう3ヶ年の事業収益の中核となるマイルストーン収入は、過去に導出済みの化合物に限定されていること、の3点だ。以上3点をまとめると、この事業計画は保守的で達成可能性が十分高い計画となっていると弊社では評価している。
契約一時金収入は計画に織り込んでいないだけで、収入獲得の可能性は大いにある。同社も主力化合物(テゴプラザン、RQ-10、ダルババンシン、5-HT2B拮抗薬など)のライセンスアウトには一層注力していく方針だ。同社が今中期経営計画の事業計画に契約一時金収入を織り込まなかった理由は、過去数年間の反省もあるとみられるが、何よりも、それに頼らなくとも獲得蓋然性のより高い収入(マイルストーン、ロイヤリティ)だけで収益均衡の見通しが立てられるようになってきたことが大きいと弊社ではみている。今後生じる契約一時金収入は、事業計画に対して収益上振れ要因として作用することになる。
(2)事業収益の詳細
今中期経営計画における事業収益(売上高)の中身は、イベントスケジュールに基づいて構成されていると弊社では推測している。
2016年12月期においては、米Aratanaから第2四半期までに動物薬2剤の新薬承認申請に伴うマイルストーン収入を獲得済みだ。金額の詳細は開示されていないが、第2四半期の事業収益617百万円のかなりの部分をAratanaからのマイルストーンが占めているものとみられる。今下期においては、Aratanaが『Galliprant®』を2016年秋に上市(発売)予定であり、その際にマイルストーン収入が得られる見通しだ。これらAratanaからのマイルストーン収入と旭化成ファーマからの研究協力金などによって、950百万円という今通期の事業収益予想は達成される可能性が非常に高いと弊社では考えている。
2017年12月期は事業収益1,100百万円が計画されている。このうち約700百万円がマイルストーンと同社では計画している。このマイルストーンの具体的中身としては、Aratanaによる『Entyce®』の上市やCJヘルスケアによるP-CABの新薬承認申請が中核を形成するとみられる。ロイヤリティはAratanaから発売される動物薬2剤からのものだ。欧州での発売が米国よりも遅れることや、動物薬の売上予測が難しいため、慎重な計画となっていると弊社ではみている。Aratanaからは、それぞれの動物薬の年商は、米国と欧州でそれぞれ50億円との見方も示されているもようだ。したがって、2剤・2地域でピーク時には200億円の市場規模に達する可能性もあるということだ。
2018年12月期は、マイルストーンの中心としてはMeiji Seikaファルマによるジプラシドンの新薬承認申請が期待される。ジプラシドンは欧米では発売済みの医薬品であり、現在第3相臨床試験にある同剤が、日本だけドロップ(開発中止)となる可能性は小さいと考えられる。ロイヤリティは、認知度向上で売上成長が加速すると期待されるAratanaの動物薬からの収入が拡大する結果、ロイヤリティ収入も前期比4倍程度に急拡大すると計画されている。
(3)事業費用の詳細
一方、事業費用は2015年12月期実績の2,010百万円から、2018年12月期目標の1,328百万円へと漸減する計画となっている。主要項目の内容は以下のとおりだ。
a)人件費
2015年12月期において希望退職者を募り、2016年1月に従業員給与の減額改定を実施したことにより2016年12月期に大きく減少し、以降はその水準が続く見通しだ。
b)研究開発費
2016年12月期と2017年12月期は、5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)の英国での第1相臨床試験と探索分野での産学共同研究の費用で500百万円近い金額となるが、2018年12月期は5-HT2B拮抗薬の第1相臨床試験の終了で、一旦大きく減少する計画となっている。
c)支払ロイヤリティ
同社が受領するマイルストーン収入やロイヤリティ収入の中には、その一部をファイザーに支払う契約となっているものもあり、収入見合いのスポット的費用と言える。2016年12月期と2017年12月期はマイルストーン収入に対する支払ロイヤリティで金額がやや大きくなっているが、2018年12月期はロイヤリティ収入に対するものだけになる見込みで、支払金額は大きく減少する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(1)業績見通しの全体像
ラクオリア創薬<4579>は2016年2月24日に中期経営計画「Odyssey 2018」を発表し、2016年12月期の業績予想に加えて2018年12月期までの業績計画を公表した。その後、2016年5月18日に2016年12月期業績予想について一部修正を行った。
2016年12月期については、事業収益(売上高)950百万円(前期比552.9%増)、営業損失819百万円、経常損失823百万円、当期純損失832百万円を予想している。また、中期経営計画最終年度の2018年12月期については、事業収益1,200百万円、営業損失128百万円、経常損失130百万円、当期純損失136百万円と計画している。
同社は上記の事業収益の計画値に関し、その内訳を公表している。弊社が重要と考えるポイントは、1)契約一時金収入が計画の中に組み込まれていないこと、2)導出先製品の上市に伴うロイヤリティ収入の計上が計画されていること、3)向こう3ヶ年の事業収益の中核となるマイルストーン収入は、過去に導出済みの化合物に限定されていること、の3点だ。以上3点をまとめると、この事業計画は保守的で達成可能性が十分高い計画となっていると弊社では評価している。
契約一時金収入は計画に織り込んでいないだけで、収入獲得の可能性は大いにある。同社も主力化合物(テゴプラザン、RQ-10、ダルババンシン、5-HT2B拮抗薬など)のライセンスアウトには一層注力していく方針だ。同社が今中期経営計画の事業計画に契約一時金収入を織り込まなかった理由は、過去数年間の反省もあるとみられるが、何よりも、それに頼らなくとも獲得蓋然性のより高い収入(マイルストーン、ロイヤリティ)だけで収益均衡の見通しが立てられるようになってきたことが大きいと弊社ではみている。今後生じる契約一時金収入は、事業計画に対して収益上振れ要因として作用することになる。
(2)事業収益の詳細
今中期経営計画における事業収益(売上高)の中身は、イベントスケジュールに基づいて構成されていると弊社では推測している。
2016年12月期においては、米Aratanaから第2四半期までに動物薬2剤の新薬承認申請に伴うマイルストーン収入を獲得済みだ。金額の詳細は開示されていないが、第2四半期の事業収益617百万円のかなりの部分をAratanaからのマイルストーンが占めているものとみられる。今下期においては、Aratanaが『Galliprant®』を2016年秋に上市(発売)予定であり、その際にマイルストーン収入が得られる見通しだ。これらAratanaからのマイルストーン収入と旭化成ファーマからの研究協力金などによって、950百万円という今通期の事業収益予想は達成される可能性が非常に高いと弊社では考えている。
2017年12月期は事業収益1,100百万円が計画されている。このうち約700百万円がマイルストーンと同社では計画している。このマイルストーンの具体的中身としては、Aratanaによる『Entyce®』の上市やCJヘルスケアによるP-CABの新薬承認申請が中核を形成するとみられる。ロイヤリティはAratanaから発売される動物薬2剤からのものだ。欧州での発売が米国よりも遅れることや、動物薬の売上予測が難しいため、慎重な計画となっていると弊社ではみている。Aratanaからは、それぞれの動物薬の年商は、米国と欧州でそれぞれ50億円との見方も示されているもようだ。したがって、2剤・2地域でピーク時には200億円の市場規模に達する可能性もあるということだ。
2018年12月期は、マイルストーンの中心としてはMeiji Seikaファルマによるジプラシドンの新薬承認申請が期待される。ジプラシドンは欧米では発売済みの医薬品であり、現在第3相臨床試験にある同剤が、日本だけドロップ(開発中止)となる可能性は小さいと考えられる。ロイヤリティは、認知度向上で売上成長が加速すると期待されるAratanaの動物薬からの収入が拡大する結果、ロイヤリティ収入も前期比4倍程度に急拡大すると計画されている。
(3)事業費用の詳細
一方、事業費用は2015年12月期実績の2,010百万円から、2018年12月期目標の1,328百万円へと漸減する計画となっている。主要項目の内容は以下のとおりだ。
a)人件費
2015年12月期において希望退職者を募り、2016年1月に従業員給与の減額改定を実施したことにより2016年12月期に大きく減少し、以降はその水準が続く見通しだ。
b)研究開発費
2016年12月期と2017年12月期は、5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)の英国での第1相臨床試験と探索分野での産学共同研究の費用で500百万円近い金額となるが、2018年12月期は5-HT2B拮抗薬の第1相臨床試験の終了で、一旦大きく減少する計画となっている。
c)支払ロイヤリティ
同社が受領するマイルストーン収入やロイヤリティ収入の中には、その一部をファイザーに支払う契約となっているものもあり、収入見合いのスポット的費用と言える。2016年12月期と2017年12月期はマイルストーン収入に対する支払ロイヤリティで金額がやや大きくなっているが、2018年12月期はロイヤリティ収入に対するものだけになる見込みで、支払金額は大きく減少する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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