レカム Research Memo(6):第3四半期以降の新たな取り組みで通期計画達成を狙う
[16/08/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(4) 2016年9月期見通し
2016年9月期について、レカム<3323>は期初会社計画(売上高5,500百万円、営業利益280百万円)を据え置いた。ただ、第2四半期累計業績の通期計画に対する進捗率は売上高で38.1%、営業利益で0.1%に過ぎず、ハードルが高いように映る。しかし、売上高、利益ともに下期、特に第4四半期のウエイトが高いという特殊要因があることに加えて、第3四半期以降新たな取り組みを行うプラス要因が期待できることなどを手掛かりに、同社は期初計画を据え置いた。
第3四半期以降の主要な取り組みについてみると、情報通信事業では、1)電力小売業への参入、2)MFP販売の新しいプラン導入、3)セキュリティ製品の販売拡大の3点で、売上高の拡大を図る。一方、BPO事業に関しては、フルラインナップ受託体制の構築による受注拡大と各BPOセンターの処理能力のアップを図り、収益性を高める計画。さらに、国際情報通信事業として、中国全土へLEDの事業展開を進めるほか、ASEAN地域における新規事業展開を図る計画となっている。
○情報通信事業
1)電力小売事業への参入
同社は光通信<9435>と合弁会社「レカムエナジーパートナー株式会社」(同社出資比率51%、光通信49%)を6月に設立した。合併会社で新規の顧客開拓を進めるほか、レカムでは顧客に対する電力の販売を行うことになっている。同社では光回線サービスと合わせて電力サービスを開始することにより、オフィスに必要不可欠な商品及びサービスのラインナップを強化し、LED、空調機器販売とのクロスセルを推進するほか、電力販売先には各種情報通信機器のアップセル提案を行う計画となっている。
2)MFPの新たな販売プランの導入
昨年7月に新たな販売プランを導入したことで低迷していたMFPの売上高が回復したが、4月からさらにブラッシュアップした販売プランの導入により1,075百万円の年間売上高の確保を目指す。なお、今年2月に業務提携し、4月に資本提携に発展したAI inside(株)(以下、AI社)※の人工知能搭載OCR(Optical character recognition:光学文字認識)のバンドルサービスの展開も検討している。
※業務提携の目的はAI社が保有する世界初の人工知能搭載OCRを用いた画像認識サービスを普及させ、同社の販売商品にその技術を付加したサービスを構築すること。同社ではBPO事業及び情報通信事業との事業シナジーが見込まれることから4月に資本提携(同社がAI社の株式を43百万円取得)した。なお、AI社のOCRの手書き文字認識率は99.8%という業界トップレベルの認識率を実現している。
3)セキュリティ製品の販売拡大
連結子会社ヴィーナステックジャパンが、次世代情報漏洩対策ソリューションとして「VenusenseDLP」の販売を6月から開始する。「VenusenseDLP」は内部要因による情報漏洩に対応した製品であり、社内のファイルサーバーやイントラネットに保存されているファイルから、機密情報が含まれるファイルを自動的に検出・保護するソリューションシステム。中国の銀行の約90%(ヴィーナステック社調べによる。)に導入実績がある。これをサーバやUTMとのセット販売で拡販する計画で、UTMの年間売上高530百万円の達成を目標としている。
○BPO事業
同社は、上期にミャンマーBPOセンターへの先行投資を行い、ハイエンドな業務の受託ができる大連レカムから低コストが売り物のミャンマーレカムまでのフルラインナップ受託体制の構築を行っている。加えて、各センターへシステム投資を行うことで、業務処理の速度、精度を上げ、コスト削減を図る計画。その切り札となるのがAI社のOCR技術で、それを活用することによりBPOセンターの生産性の抜本的改善を進め、BPO事業の収益性の向上を図る計画。これにより年間売上高455百万円の達成を目標としている。
○国際通信事業の展開
3月30日付けで下期から多角化を一段と加速させるために、「海外事業本部」を「国際情報通信事業本部」と「ASEAN事業本部」に分割する組織改革を決定。「国際情報通信事業本部」は4月からスタートした上海支店でのLED販売を中核に、中国での更なる支店拡大を図る。「ASEAN事業本部」はミャンマーでのBPOセンター運営を早期黒字化し、ミャンマー及びその他ASEAN各国での新規事業を推進する。これらにより年間売上高240百万円の確保を目標としている。
弊社では、1)国内の情報通信事業はメーカーからのインセンティブの受取りもあり第4四半期偏重の構造になっている※ことに加えて、第3四半期以降、電力小売事業参入、MFPの新しいプランの導入、新たなセキュリティ商材の取扱い開始など、関連商材の販売拡大が期待される、2)BPO事業は受注が順調で上期に実施したミャンマーでの先行投資効果の顕在化や、大連レカムの上海支店開設による中国でのLED販売の拡大が予想される、など積み上げが期待できる要素が多いと考える。このため、会社計画達成可否を探る重要な手掛かりとして、第3四半期以降の情報通信事業とBPO事業における取り組みの進捗動向が注目される。
※業績が回復トレンドに突入した2015年9月期についてみると、上下バランスは上45:下55、通期業績に占める第4四半期のウエイトは31.4%と、業績低迷していた2014年9月期に比べ明らかにそのウエイトは高まる傾向にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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(4) 2016年9月期見通し
2016年9月期について、レカム<3323>は期初会社計画(売上高5,500百万円、営業利益280百万円)を据え置いた。ただ、第2四半期累計業績の通期計画に対する進捗率は売上高で38.1%、営業利益で0.1%に過ぎず、ハードルが高いように映る。しかし、売上高、利益ともに下期、特に第4四半期のウエイトが高いという特殊要因があることに加えて、第3四半期以降新たな取り組みを行うプラス要因が期待できることなどを手掛かりに、同社は期初計画を据え置いた。
第3四半期以降の主要な取り組みについてみると、情報通信事業では、1)電力小売業への参入、2)MFP販売の新しいプラン導入、3)セキュリティ製品の販売拡大の3点で、売上高の拡大を図る。一方、BPO事業に関しては、フルラインナップ受託体制の構築による受注拡大と各BPOセンターの処理能力のアップを図り、収益性を高める計画。さらに、国際情報通信事業として、中国全土へLEDの事業展開を進めるほか、ASEAN地域における新規事業展開を図る計画となっている。
○情報通信事業
1)電力小売事業への参入
同社は光通信<9435>と合弁会社「レカムエナジーパートナー株式会社」(同社出資比率51%、光通信49%)を6月に設立した。合併会社で新規の顧客開拓を進めるほか、レカムでは顧客に対する電力の販売を行うことになっている。同社では光回線サービスと合わせて電力サービスを開始することにより、オフィスに必要不可欠な商品及びサービスのラインナップを強化し、LED、空調機器販売とのクロスセルを推進するほか、電力販売先には各種情報通信機器のアップセル提案を行う計画となっている。
2)MFPの新たな販売プランの導入
昨年7月に新たな販売プランを導入したことで低迷していたMFPの売上高が回復したが、4月からさらにブラッシュアップした販売プランの導入により1,075百万円の年間売上高の確保を目指す。なお、今年2月に業務提携し、4月に資本提携に発展したAI inside(株)(以下、AI社)※の人工知能搭載OCR(Optical character recognition:光学文字認識)のバンドルサービスの展開も検討している。
※業務提携の目的はAI社が保有する世界初の人工知能搭載OCRを用いた画像認識サービスを普及させ、同社の販売商品にその技術を付加したサービスを構築すること。同社ではBPO事業及び情報通信事業との事業シナジーが見込まれることから4月に資本提携(同社がAI社の株式を43百万円取得)した。なお、AI社のOCRの手書き文字認識率は99.8%という業界トップレベルの認識率を実現している。
3)セキュリティ製品の販売拡大
連結子会社ヴィーナステックジャパンが、次世代情報漏洩対策ソリューションとして「VenusenseDLP」の販売を6月から開始する。「VenusenseDLP」は内部要因による情報漏洩に対応した製品であり、社内のファイルサーバーやイントラネットに保存されているファイルから、機密情報が含まれるファイルを自動的に検出・保護するソリューションシステム。中国の銀行の約90%(ヴィーナステック社調べによる。)に導入実績がある。これをサーバやUTMとのセット販売で拡販する計画で、UTMの年間売上高530百万円の達成を目標としている。
○BPO事業
同社は、上期にミャンマーBPOセンターへの先行投資を行い、ハイエンドな業務の受託ができる大連レカムから低コストが売り物のミャンマーレカムまでのフルラインナップ受託体制の構築を行っている。加えて、各センターへシステム投資を行うことで、業務処理の速度、精度を上げ、コスト削減を図る計画。その切り札となるのがAI社のOCR技術で、それを活用することによりBPOセンターの生産性の抜本的改善を進め、BPO事業の収益性の向上を図る計画。これにより年間売上高455百万円の達成を目標としている。
○国際通信事業の展開
3月30日付けで下期から多角化を一段と加速させるために、「海外事業本部」を「国際情報通信事業本部」と「ASEAN事業本部」に分割する組織改革を決定。「国際情報通信事業本部」は4月からスタートした上海支店でのLED販売を中核に、中国での更なる支店拡大を図る。「ASEAN事業本部」はミャンマーでのBPOセンター運営を早期黒字化し、ミャンマー及びその他ASEAN各国での新規事業を推進する。これらにより年間売上高240百万円の確保を目標としている。
弊社では、1)国内の情報通信事業はメーカーからのインセンティブの受取りもあり第4四半期偏重の構造になっている※ことに加えて、第3四半期以降、電力小売事業参入、MFPの新しいプランの導入、新たなセキュリティ商材の取扱い開始など、関連商材の販売拡大が期待される、2)BPO事業は受注が順調で上期に実施したミャンマーでの先行投資効果の顕在化や、大連レカムの上海支店開設による中国でのLED販売の拡大が予想される、など積み上げが期待できる要素が多いと考える。このため、会社計画達成可否を探る重要な手掛かりとして、第3四半期以降の情報通信事業とBPO事業における取り組みの進捗動向が注目される。
※業績が回復トレンドに突入した2015年9月期についてみると、上下バランスは上45:下55、通期業績に占める第4四半期のウエイトは31.4%と、業績低迷していた2014年9月期に比べ明らかにそのウエイトは高まる傾向にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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