サイバネット Research Memo(1):16/12期2Qは順調。据え置かれた通期会社計画は保守的で上ぶれ余地
[16/08/31]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
サイバネットシステム<4312>は、CAE※に特化したエンジニアリング系ITソリューションプロバイダーで、組込みソフト開発で独立系大手の富士ソフト<9749>グループの一員。自動車、電気機器など製造業の設計・研究開発などに利用されるCAEソフトウェアの開発・販売、コンサルティング、技術支援などのサービスを提供する。世界的に実績のある10社以上、50種類以上のCAEソフトウェア、情報セキュリティソフトウェアなどを自動車、機械、電機などの製造業を中心とする約2,000の企業や500の研究機関・大学へ提供し、1985年の創業以来過去30年以上にわたって日本のものづくりを支える。
※1 CAEとはComputer Aided Engineeringの略で、評価対象物をコンピュータ上でモデル化し、その機能や強度等をはじめとする多くの工学的問題をシミュレーション(模擬実験)する手法。
同社は昨年春、新中期経営計画2015年−2020年(3年×2)を公表した。その基本戦略は、1)同社独自の価値の提供、2)自動車関連分野への注力、3)パートナーとの連携強化、の3点で、SI(Solution Integrator)※として、CAE、IT、可視化、ビッグデータなどを用いた顧客にとって最適なソリューションを提供することにより、中長期の経営目標(前期(2015年−2017年):連結営業利益率8%超、後期(2018年−2020年):連結売上高300億円超、連結営業利益30億円(営業利益率10%超))の達成を目指すというものだ。
※同社では、「ユーザーの悩み、課題を多面的に捉え、包括的にかつ長期にわたってソリューションを提供すること」と定義している。
2016年12月期第2四半期累計(2016年1月−6月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.9%増の8,958百万円、営業利益は同44.4%増の907百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同67.4%増の503百万円と増収、2ケタ増益となった。これは、1)国内で光学設計分野やモデルベース開発(MBD:Model Based Development)※エンジニアリングサービスのほかセキュリティ関連ソリューションが好調に推移した、2)海外でカナダの開発子会社が大型OEM案件を受注したことに加えて、中国、台湾の販売子会社が好調に推移した、??などが要因。なお、中期経営計画の注力分野である自動車関連(輸送用機器)向けの単独売上高は同14.4%増の836百万円(売上構成比は前年同期の10.5%から11.3%へ上昇)となり、順調に拡大している。
※モデルベース開発(MBD:Model Based Development)は、1D-CAE(対象とする製品やシステムなどの機能を数学モデル(数式)で表現し、評価解析する手法)などのシミュレーションモデルを用いた事前評価を取り入れた開発のことを指す。従来の仕様にとらわれない全体最適の観点での製品づくりや、開発後半期間における手戻りを抑制できるなどの効果が見込める。
2016年12月期会社計画は期初計画(売上高16,800百万円、営業利益950百万円、当期純利益461百万円)を据え置いた。上期実績の通期計画に対する進捗率は、売上高53.3%、営業利益95.5%、当期純利益109.1%と、利益は前期の水準(売上高54.0%、営業利益73.8%、当期純利益64.8%)を大きく上回り、当期純利益に関しては通期計画過達となっている。にもかかわらず、同社が計画を据え置いた要因は、1)足元の円高の進行により主力ユーザーである製造業の投資に対する意思決定の遅れによる受注の期ずれや投資抑制による予算凍結などが発生するリスクを最大限に織り込んだ、2)上期から後ずれした経費予算を下期に計画どおり使い切る予定である、??ことによる。
弊社では、足元ユーザーの意思決定の遅れによる受注の後ずれは発生していないこと、パイプラインの状況が良好であること、などを考慮すると、据え置かれた会社計画は保守的で、上ぶれ余地があるとみる。このため、今後の為替動向と受注動向に注目する。
■Check Point
・2016年12月期2Q決算はカナダ子会社の大型OEM案件前倒し受注により増収、2ケタ増益を確保
・中期経営計画における注力分野である自動車関連は順調に拡大
・円高によるユーザーの意思決定の遅れ等のリスクの織り込みにより期初会社計画を据え置き
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
<HN>
※1 CAEとはComputer Aided Engineeringの略で、評価対象物をコンピュータ上でモデル化し、その機能や強度等をはじめとする多くの工学的問題をシミュレーション(模擬実験)する手法。
同社は昨年春、新中期経営計画2015年−2020年(3年×2)を公表した。その基本戦略は、1)同社独自の価値の提供、2)自動車関連分野への注力、3)パートナーとの連携強化、の3点で、SI(Solution Integrator)※として、CAE、IT、可視化、ビッグデータなどを用いた顧客にとって最適なソリューションを提供することにより、中長期の経営目標(前期(2015年−2017年):連結営業利益率8%超、後期(2018年−2020年):連結売上高300億円超、連結営業利益30億円(営業利益率10%超))の達成を目指すというものだ。
※同社では、「ユーザーの悩み、課題を多面的に捉え、包括的にかつ長期にわたってソリューションを提供すること」と定義している。
2016年12月期第2四半期累計(2016年1月−6月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.9%増の8,958百万円、営業利益は同44.4%増の907百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同67.4%増の503百万円と増収、2ケタ増益となった。これは、1)国内で光学設計分野やモデルベース開発(MBD:Model Based Development)※エンジニアリングサービスのほかセキュリティ関連ソリューションが好調に推移した、2)海外でカナダの開発子会社が大型OEM案件を受注したことに加えて、中国、台湾の販売子会社が好調に推移した、??などが要因。なお、中期経営計画の注力分野である自動車関連(輸送用機器)向けの単独売上高は同14.4%増の836百万円(売上構成比は前年同期の10.5%から11.3%へ上昇)となり、順調に拡大している。
※モデルベース開発(MBD:Model Based Development)は、1D-CAE(対象とする製品やシステムなどの機能を数学モデル(数式)で表現し、評価解析する手法)などのシミュレーションモデルを用いた事前評価を取り入れた開発のことを指す。従来の仕様にとらわれない全体最適の観点での製品づくりや、開発後半期間における手戻りを抑制できるなどの効果が見込める。
2016年12月期会社計画は期初計画(売上高16,800百万円、営業利益950百万円、当期純利益461百万円)を据え置いた。上期実績の通期計画に対する進捗率は、売上高53.3%、営業利益95.5%、当期純利益109.1%と、利益は前期の水準(売上高54.0%、営業利益73.8%、当期純利益64.8%)を大きく上回り、当期純利益に関しては通期計画過達となっている。にもかかわらず、同社が計画を据え置いた要因は、1)足元の円高の進行により主力ユーザーである製造業の投資に対する意思決定の遅れによる受注の期ずれや投資抑制による予算凍結などが発生するリスクを最大限に織り込んだ、2)上期から後ずれした経費予算を下期に計画どおり使い切る予定である、??ことによる。
弊社では、足元ユーザーの意思決定の遅れによる受注の後ずれは発生していないこと、パイプラインの状況が良好であること、などを考慮すると、据え置かれた会社計画は保守的で、上ぶれ余地があるとみる。このため、今後の為替動向と受注動向に注目する。
■Check Point
・2016年12月期2Q決算はカナダ子会社の大型OEM案件前倒し受注により増収、2ケタ増益を確保
・中期経営計画における注力分野である自動車関連は順調に拡大
・円高によるユーザーの意思決定の遅れ等のリスクの織り込みにより期初会社計画を据え置き
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
<HN>