アトラエ Research Memo(3):成功報酬型求人メディア「Green」のほかHR領域の新規事業の育成に取り組む
[16/09/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■アトラエ<6194>の事業内容
手掛ける事業は、主力サービスである成功報酬型求人メディア「Green」の企画・運営と、タレントマイニングサービス「TalentBase」及びビジネスパーソン同士を結び付けるスマートフォンアプリ「yenta」の企画・開発・運営の新規事業、これらのいずれにも分類できないその他の3つに分類している。2015年9月期におけるサービス別売上構成比は「Green」 99.55%、新規事業0.27%、その他0.18%(2016年9月期第3四半期累計期間は「Green」 99.70%、新規事業0.29%、その他0.01%)となっており、「Green」が大半を占める。
(1)成功報酬型求人メディア「Green」
「Green」はビッグデータ解析等のテクノロジーを活用することにより、求職者と求人企業の最適なマッチングを実現するプラットフォーム。足元の求職者の利用状況、及び求人掲載数の状況は、アクティブユーザー数※1が15,443人(2016年3月単月)、「Green」に掲載されている求人数は7,057求人(同3月末時点)。「Green」は、下記3点の特徴を有し、コスト競争力、収益性、マッチング精度において既存の広告求人メディアや人材紹介会社を大きく凌駕する格好となっている。
※1アクティブユーザーとは、「Green」に登録する求職者のうち1か月に1回以上ログインを行っている求職者のことを指す。
a)成功報酬型のビジネスモデル
求人メディアとして業界に先駆けて成功報酬型の料金体系を導入したことが大きな特徴。利用する企業にとっては、採用の成否に関わらず、求人広告の掲載と同時に広告掲載料金が発生する従来の広告型求人メディアと異なり、新規登録時に初期設定費(システム利用料や掲載記事作成料)※2が必要となるものの、その後は求人広告の掲載期間や掲載求人数の制限がなく、採用が成功し、求職者が実際に入社した段階で成功報酬が発生する料金体系であるため、掛け捨てリスクがない。加えて、従来の人材紹介会社のように求職者と求人企業を仲介するキャリアアドバイザーを多数雇用する必要がないことから、人材紹介会社※3と比較して定額制かつ安価な料金モデルを実現している。
※2初期設定費は40万円、60万円、100万円の3つの契約プランが存在する。
※3一般の人材紹介会社の成功報酬は業界的に決まっておらず、基本的に求職者の想定年収の30%〜35%が相場となっている。
このため、従来の広告型求人メディアには掲載しづらく人材紹介会社に依頼する以外に採用する方法がなかった専門分野に特化した求人やハイクラスな求人等であっても、積極的に求人広告を掲載することが可能で、表に出てこなかった魅力ある求人情報も掲載されるようになり、優秀な人材が集まることで、それがまた優良な企業の利用を促すという好循環を生み出している。
加えて、多くの利用企業が採用ニーズの強弱に関わらず、能動的に継続的な求人の掲載を行うことができる。従来の広告型求人メディア運営企業のように多数の営業人員を抱える必要がないことも大きな特徴で、高い収益性と価格競争力を有する原動力として働いている。なお、同社では少数ながら中途採用に関するノウハウを熟知したアドバイザーが求人企業に対して主にオンラインでサポートを行うサービスも行っている。
b) IT/Web業界をターゲットとした求人メディア
IT/Web業界において採用ニーズの高いエンジニアやWebデザイナー等が多く登録する求人メディアとなっている。「Green」を利用して採用を行った求人企業のうち、約9割がIT/Web業界に属する。具体的なユーザー企業を見ると、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー<2432>、楽天、GMOインターネットグループ、ミクシィ<2121>、LINE<3938>、グリー<3632>などIT/Web業界の著名企業が利用している。加えて、(株)リクルートキャリア、キャリアデザインセンター<2410>、インテリジェンス、テンプホールディングス<2181>などHR業界の競合企業も採用のために利用している。
c)ビッグデータなどテクノロジーの活用
創業来、どのような職務経歴、専門能力、経験年数の求職者が、どのような業種、職種、規模、社風の企業にアプローチを行ったか、書類選考を通過したか、何次面接まで進んだか、内定もしくは入社まで至ったか、といった求人企業の採用活動または求職者の転職活動に関するあらゆるデータが蓄積されている。このデータを解析することで、転職を考える求職者には最適化された求人情報を、採用を考える求人企業には最適化された求職者情報を届けられるレコメンドシステム※1を実現しており、書類選考通過率※2の向上の原動力となっている。
※1レコメンドシステムは、求職者が「Green」を利用して求人企業を検索する際に、「Green」の解析システムが求職者のプロフィールデータからより入社確率の高い求人企業を提示する機能。求人企業が求職者を検索する際も同様に、求人企業への入社確率の高い求職者を提示することが可能。加えて、「Green」独自の機能として「気になる/会いたい」機能がある。この機能は、求職者から求人企業へまたは求人企業から求職者へ「気になる/会いたい」を送信することで、気軽に面談希望の意思を伝えることができるというもの。求職者及び求人企業の心理負担を下げた「気になる/会いたい」機能の導入が、書類選考通過率向上の1つの要因として働いている。
※2書類選考通過率は「書類選考に通過する件数÷書類選考に応募する件数」。
(2)新規事業
同社は、長期に渡って成長し続ける企業になるために、複数の事業を収益化させ、発展・拡大させていくことが重要であるという考えに基づいて多角化戦略の展開を基本としている。足元は、新規事業として「TalentBase」及び「yenta」のサービスを提供している。
a) TalentBase
「TalentBase」は、175万人分(2016年3月末時点)のビジネスパーソンのプロフィールデータやソーシャルメディア上のアクションデータ等を保有し、独自のデータ解析技術により個人ユーザーの能力、志向、人間関係等を抽出することが可能なタレントデータベース。転職の意向が顕在化していない転職潜在層への採用アプローチを可能とする、求人企業のダイレクトリクルーティング※1を行う機能があり、データベースの中から、求人企業が求める人材を効率的に探し出すことが可能※2。求人企業(有料会員)からの月額利用料を収益として計上している。
※1求人メディアを通じた求職者からの応募や人材紹介会社からの紹介を待つような受け身の採用手法とは異なり、求人企業自ら、Facebook等のソーシャルメディアやTalentBaseのようなデータベースの中から必要な人材を探し出し、直接コンタクトを取ることによって採用を実現する。海外では10年以上の歴史がある採用手法。
※2 TalentBaseの人工知能(AI)は、175万人のユーザー及び当該ユーザーとソーシャルメディア上で友人である400万人(2016年3月末時点)のソーシャルメディア上でのアクションを分析し、求人企業が求める人材を求人企業へ提示する。
b) yenta
「yenta」は、ビジネスパーソン同士の様々な目的(採用、転職、情報交換、情報収集、人脈形成、営業活動等)での出会いを実現する完全審査制スマートフォンアプリ。TalentBaseのデータや解析技術を活かしたテクノロジーにより、利用ユーザー同士の相性や親和性の高さ等を割り出し、ビジネスパーソン同士を結びつける。現在無料で提供しているが、今後一部の個人ユーザーに対する有料課金を含むマネタイズ方法を検討中。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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手掛ける事業は、主力サービスである成功報酬型求人メディア「Green」の企画・運営と、タレントマイニングサービス「TalentBase」及びビジネスパーソン同士を結び付けるスマートフォンアプリ「yenta」の企画・開発・運営の新規事業、これらのいずれにも分類できないその他の3つに分類している。2015年9月期におけるサービス別売上構成比は「Green」 99.55%、新規事業0.27%、その他0.18%(2016年9月期第3四半期累計期間は「Green」 99.70%、新規事業0.29%、その他0.01%)となっており、「Green」が大半を占める。
(1)成功報酬型求人メディア「Green」
「Green」はビッグデータ解析等のテクノロジーを活用することにより、求職者と求人企業の最適なマッチングを実現するプラットフォーム。足元の求職者の利用状況、及び求人掲載数の状況は、アクティブユーザー数※1が15,443人(2016年3月単月)、「Green」に掲載されている求人数は7,057求人(同3月末時点)。「Green」は、下記3点の特徴を有し、コスト競争力、収益性、マッチング精度において既存の広告求人メディアや人材紹介会社を大きく凌駕する格好となっている。
※1アクティブユーザーとは、「Green」に登録する求職者のうち1か月に1回以上ログインを行っている求職者のことを指す。
a)成功報酬型のビジネスモデル
求人メディアとして業界に先駆けて成功報酬型の料金体系を導入したことが大きな特徴。利用する企業にとっては、採用の成否に関わらず、求人広告の掲載と同時に広告掲載料金が発生する従来の広告型求人メディアと異なり、新規登録時に初期設定費(システム利用料や掲載記事作成料)※2が必要となるものの、その後は求人広告の掲載期間や掲載求人数の制限がなく、採用が成功し、求職者が実際に入社した段階で成功報酬が発生する料金体系であるため、掛け捨てリスクがない。加えて、従来の人材紹介会社のように求職者と求人企業を仲介するキャリアアドバイザーを多数雇用する必要がないことから、人材紹介会社※3と比較して定額制かつ安価な料金モデルを実現している。
※2初期設定費は40万円、60万円、100万円の3つの契約プランが存在する。
※3一般の人材紹介会社の成功報酬は業界的に決まっておらず、基本的に求職者の想定年収の30%〜35%が相場となっている。
このため、従来の広告型求人メディアには掲載しづらく人材紹介会社に依頼する以外に採用する方法がなかった専門分野に特化した求人やハイクラスな求人等であっても、積極的に求人広告を掲載することが可能で、表に出てこなかった魅力ある求人情報も掲載されるようになり、優秀な人材が集まることで、それがまた優良な企業の利用を促すという好循環を生み出している。
加えて、多くの利用企業が採用ニーズの強弱に関わらず、能動的に継続的な求人の掲載を行うことができる。従来の広告型求人メディア運営企業のように多数の営業人員を抱える必要がないことも大きな特徴で、高い収益性と価格競争力を有する原動力として働いている。なお、同社では少数ながら中途採用に関するノウハウを熟知したアドバイザーが求人企業に対して主にオンラインでサポートを行うサービスも行っている。
b) IT/Web業界をターゲットとした求人メディア
IT/Web業界において採用ニーズの高いエンジニアやWebデザイナー等が多く登録する求人メディアとなっている。「Green」を利用して採用を行った求人企業のうち、約9割がIT/Web業界に属する。具体的なユーザー企業を見ると、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー<2432>、楽天、GMOインターネットグループ、ミクシィ<2121>、LINE<3938>、グリー<3632>などIT/Web業界の著名企業が利用している。加えて、(株)リクルートキャリア、キャリアデザインセンター<2410>、インテリジェンス、テンプホールディングス<2181>などHR業界の競合企業も採用のために利用している。
c)ビッグデータなどテクノロジーの活用
創業来、どのような職務経歴、専門能力、経験年数の求職者が、どのような業種、職種、規模、社風の企業にアプローチを行ったか、書類選考を通過したか、何次面接まで進んだか、内定もしくは入社まで至ったか、といった求人企業の採用活動または求職者の転職活動に関するあらゆるデータが蓄積されている。このデータを解析することで、転職を考える求職者には最適化された求人情報を、採用を考える求人企業には最適化された求職者情報を届けられるレコメンドシステム※1を実現しており、書類選考通過率※2の向上の原動力となっている。
※1レコメンドシステムは、求職者が「Green」を利用して求人企業を検索する際に、「Green」の解析システムが求職者のプロフィールデータからより入社確率の高い求人企業を提示する機能。求人企業が求職者を検索する際も同様に、求人企業への入社確率の高い求職者を提示することが可能。加えて、「Green」独自の機能として「気になる/会いたい」機能がある。この機能は、求職者から求人企業へまたは求人企業から求職者へ「気になる/会いたい」を送信することで、気軽に面談希望の意思を伝えることができるというもの。求職者及び求人企業の心理負担を下げた「気になる/会いたい」機能の導入が、書類選考通過率向上の1つの要因として働いている。
※2書類選考通過率は「書類選考に通過する件数÷書類選考に応募する件数」。
(2)新規事業
同社は、長期に渡って成長し続ける企業になるために、複数の事業を収益化させ、発展・拡大させていくことが重要であるという考えに基づいて多角化戦略の展開を基本としている。足元は、新規事業として「TalentBase」及び「yenta」のサービスを提供している。
a) TalentBase
「TalentBase」は、175万人分(2016年3月末時点)のビジネスパーソンのプロフィールデータやソーシャルメディア上のアクションデータ等を保有し、独自のデータ解析技術により個人ユーザーの能力、志向、人間関係等を抽出することが可能なタレントデータベース。転職の意向が顕在化していない転職潜在層への採用アプローチを可能とする、求人企業のダイレクトリクルーティング※1を行う機能があり、データベースの中から、求人企業が求める人材を効率的に探し出すことが可能※2。求人企業(有料会員)からの月額利用料を収益として計上している。
※1求人メディアを通じた求職者からの応募や人材紹介会社からの紹介を待つような受け身の採用手法とは異なり、求人企業自ら、Facebook等のソーシャルメディアやTalentBaseのようなデータベースの中から必要な人材を探し出し、直接コンタクトを取ることによって採用を実現する。海外では10年以上の歴史がある採用手法。
※2 TalentBaseの人工知能(AI)は、175万人のユーザー及び当該ユーザーとソーシャルメディア上で友人である400万人(2016年3月末時点)のソーシャルメディア上でのアクションを分析し、求人企業が求める人材を求人企業へ提示する。
b) yenta
「yenta」は、ビジネスパーソン同士の様々な目的(採用、転職、情報交換、情報収集、人脈形成、営業活動等)での出会いを実現する完全審査制スマートフォンアプリ。TalentBaseのデータや解析技術を活かしたテクノロジーにより、利用ユーザー同士の相性や親和性の高さ等を割り出し、ビジネスパーソン同士を結びつける。現在無料で提供しているが、今後一部の個人ユーザーに対する有料課金を含むマネタイズ方法を検討中。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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