テックファーム Research Memo(3):売上高はEBEのフル稼働により過去最高を更新
[16/09/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 2016年6月期連結業績の概要
8月12日付で発表されたテックファームホールディングス<3625>の2016年6月期の連結業績は、売上高が4,654百万円、営業利益が26百万円、経常利益が18百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が74百万円となった。前期が11ヶ月の変則決算だったことから前期比増減率は出していないが、売上高と売上総利益に関してはEBEの業績が年度を通じてフル寄与したことにより、過去最高を更新した。一方、営業利益の増減要因を見ると、増益要因としてEBE分の利益増(+135百万円)やテックファームにおける不採算案件の減少に伴う利益増(+113百万円)があったが、テックファームの売上減少に伴う利益減(-87百万円)や持株会社化に伴う費用(-52百万円)、人材育成等に伴う費用増(-34百万円)、採用費等販管費の増加(-39百万円)、のれん償却額の増加(-52百万円)が減益要因となった。また、当期純損失については、EBEの本社移転費用や投資有価証券評価損等の特別損失10百万円を計上したことや、損益不算入項目であるのれん償却費の増加による実効税率の上昇もあって、拡大する格好となっている。期初会社計画比で見ると売上高、利益とも下回ったが、これはソフトウェア受託開発事業で当初計画に織り込んでいた新規大型案件を失注したことが主因となっている。
なお、当期のトピックスとしては2016年1月に、ビッグデータの遠隔処理技術等のノウハウを持つインヴェンティット(株)と資本業務提携(出資比率3.4%)を行い、「IoTビジネスパッケージ※」サービスの提供をスタートしたほか、Beacon端末を用いたIoTソリューションを開発し、同分野への参入を果たした。また、ガソリンスタンド向けに音声認識システムを活用した新たな営業ソリューションサービスをテックファームとEBEで共同開発し、2016年5月より販売を開始したことが挙げられる。
※顧客企業のIoTサービスの開発からアプリケーション設計・開発、プラットフォーム提供までをパッケージにしてサポートするサービスで、センサーやデバイス、サーバ開発まで含めたトータルソリューションを提供する。
a)ソフトウェア受託開発事業
ソフトウェア受託開発事業の売上高は3,378百万円(前期は3,624百万円)、セグメント利益は374百万円(同24百万円)となった。売上高を顧客別に見ると、主力顧客のNTTドコモについては堅調に推移したものの、その他既存顧客において大型案件の開発終了や商談の長期化の影響があったことが減収要因となった。売上高の内訳を見ると、システム開発案件が前期比5億円減となった一方で、運用・保守サービスが同1.3億円増、自社製品・広告等が同1.3億円増となった。
セグメント利益が増加したが、これは2015年6月期のセグメント利益が持株会社への移行前で全社費用の調整額を含めたベースとなっているためで(当期は全社費用控除前ベース)実質的には減益となっている。売上の減収に加えて、開発体制強化のためのプロジェクト管理システムの導入や人材投資費用の増加が要因となっている。人材投資に関して当期は若手中心に採用を行ったことから、教育費が前期比で増加した。
同社は収益低迷の要因となっていた不採算プロジェクトの削減を進めるため、開発体制の強化を前期から取り組んできた。当期においては組織の再編成やプロジェクト管理システムの導入等の施策を進めた結果、不採算プロジェクトの件数は前期比60%強減少し、全案件に占める比率も前期の7%から4%まで低下した。また、不採算案件の損失額も合計で前期の180百万円から70百万円まで縮小するなど一定の成果を上げている。組織の再編成では、PM(プロジェクト管理)の専門部署を新設し、会社全体のプロジェクトをPM部でまとめて管理するようにした。
b)自動車アフターマーケット
自動車アフターマーケット事業の売上高は1,276百万円(前期は4ヶ月間で333百万円)、セグメント利益は100百万円(同17百万円)となった。前期の実績値を単純に3倍したとすると、売上高では27%増、セグメント利益は約2倍の水準に拡大したことになる。
業績好調の要因は、主力製品である整備システムを中心に年間取引社数が540社と前期の200社弱から約3倍に拡大したこと、整備工場向けに経営マネジメントシステムの販売を開始し、1顧客当たりの販売高が増加したこと、データベースの拡充によりガラス・部品卸商向けのシステムのバージョンアップを図り、販売単価が上昇したことなどが挙げられる。取引社数540社のうち約7割が他社製品からの乗り換えまたは自社製品のリプレースによるもので、残り約3割が新規にシステムを導入する顧客となっている。他社からの乗り換えが増えている要因としては、同社の製品が機能ごとに細分化されて販売されており、顧客側から見れば必要な機能だけを購入することで導入コストを競合品よりも安価に抑えることができる点が評価されているものと考えられる。また、上場企業のグループ会社となったことにより、取引先からの信用力が向上したことも収益拡大の一因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) 2016年6月期連結業績の概要
8月12日付で発表されたテックファームホールディングス<3625>の2016年6月期の連結業績は、売上高が4,654百万円、営業利益が26百万円、経常利益が18百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が74百万円となった。前期が11ヶ月の変則決算だったことから前期比増減率は出していないが、売上高と売上総利益に関してはEBEの業績が年度を通じてフル寄与したことにより、過去最高を更新した。一方、営業利益の増減要因を見ると、増益要因としてEBE分の利益増(+135百万円)やテックファームにおける不採算案件の減少に伴う利益増(+113百万円)があったが、テックファームの売上減少に伴う利益減(-87百万円)や持株会社化に伴う費用(-52百万円)、人材育成等に伴う費用増(-34百万円)、採用費等販管費の増加(-39百万円)、のれん償却額の増加(-52百万円)が減益要因となった。また、当期純損失については、EBEの本社移転費用や投資有価証券評価損等の特別損失10百万円を計上したことや、損益不算入項目であるのれん償却費の増加による実効税率の上昇もあって、拡大する格好となっている。期初会社計画比で見ると売上高、利益とも下回ったが、これはソフトウェア受託開発事業で当初計画に織り込んでいた新規大型案件を失注したことが主因となっている。
なお、当期のトピックスとしては2016年1月に、ビッグデータの遠隔処理技術等のノウハウを持つインヴェンティット(株)と資本業務提携(出資比率3.4%)を行い、「IoTビジネスパッケージ※」サービスの提供をスタートしたほか、Beacon端末を用いたIoTソリューションを開発し、同分野への参入を果たした。また、ガソリンスタンド向けに音声認識システムを活用した新たな営業ソリューションサービスをテックファームとEBEで共同開発し、2016年5月より販売を開始したことが挙げられる。
※顧客企業のIoTサービスの開発からアプリケーション設計・開発、プラットフォーム提供までをパッケージにしてサポートするサービスで、センサーやデバイス、サーバ開発まで含めたトータルソリューションを提供する。
a)ソフトウェア受託開発事業
ソフトウェア受託開発事業の売上高は3,378百万円(前期は3,624百万円)、セグメント利益は374百万円(同24百万円)となった。売上高を顧客別に見ると、主力顧客のNTTドコモについては堅調に推移したものの、その他既存顧客において大型案件の開発終了や商談の長期化の影響があったことが減収要因となった。売上高の内訳を見ると、システム開発案件が前期比5億円減となった一方で、運用・保守サービスが同1.3億円増、自社製品・広告等が同1.3億円増となった。
セグメント利益が増加したが、これは2015年6月期のセグメント利益が持株会社への移行前で全社費用の調整額を含めたベースとなっているためで(当期は全社費用控除前ベース)実質的には減益となっている。売上の減収に加えて、開発体制強化のためのプロジェクト管理システムの導入や人材投資費用の増加が要因となっている。人材投資に関して当期は若手中心に採用を行ったことから、教育費が前期比で増加した。
同社は収益低迷の要因となっていた不採算プロジェクトの削減を進めるため、開発体制の強化を前期から取り組んできた。当期においては組織の再編成やプロジェクト管理システムの導入等の施策を進めた結果、不採算プロジェクトの件数は前期比60%強減少し、全案件に占める比率も前期の7%から4%まで低下した。また、不採算案件の損失額も合計で前期の180百万円から70百万円まで縮小するなど一定の成果を上げている。組織の再編成では、PM(プロジェクト管理)の専門部署を新設し、会社全体のプロジェクトをPM部でまとめて管理するようにした。
b)自動車アフターマーケット
自動車アフターマーケット事業の売上高は1,276百万円(前期は4ヶ月間で333百万円)、セグメント利益は100百万円(同17百万円)となった。前期の実績値を単純に3倍したとすると、売上高では27%増、セグメント利益は約2倍の水準に拡大したことになる。
業績好調の要因は、主力製品である整備システムを中心に年間取引社数が540社と前期の200社弱から約3倍に拡大したこと、整備工場向けに経営マネジメントシステムの販売を開始し、1顧客当たりの販売高が増加したこと、データベースの拡充によりガラス・部品卸商向けのシステムのバージョンアップを図り、販売単価が上昇したことなどが挙げられる。取引社数540社のうち約7割が他社製品からの乗り換えまたは自社製品のリプレースによるもので、残り約3割が新規にシステムを導入する顧客となっている。他社からの乗り換えが増えている要因としては、同社の製品が機能ごとに細分化されて販売されており、顧客側から見れば必要な機能だけを購入することで導入コストを競合品よりも安価に抑えることができる点が評価されているものと考えられる。また、上場企業のグループ会社となったことにより、取引先からの信用力が向上したことも収益拡大の一因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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