ハウスドゥ Research Memo(3):ストック型収益事業を拡大し、全天候型経営への移行を加速
[16/09/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■新中期経営計画
2016年8月に、2017年6月期を初年度とする新3ヶ年中期経営計画を発表した。ちょうど1年前にも中期経営計画を発表しており、短期間での計画見直しとなった。前中期経営計画の1年目となる2016年6月期の業績は、売上高が前期比18.5%増、期初予想比5.6%増、経常利益が前期比2.3倍、期初予想比47.0%増と会社計画を大幅に上回った。利益への貢献度で筆頭のフランチャイズ事業は着実な伸びを見せたが、想定以上に好調だったのが不動産売買事業や住宅・リフォーム事業であった。この好業績が、かえってハウスドゥ<3457>に不動産市場の先行きに対する懸念を強めた。前中期経営計画では3年間で経営資源を労働集約型の不動産流通事業、住宅・リフォーム事業、不動産売買事業からストック型ビジネスであるフランチャイズ事業とハウス・リースバック事業にシフトすることを計画していた。新中期経営計画ではこの収益構造改革を加速し、不動産市場が変調を来しても持続的な成長をする全天候型経営への移行を急ぐ。
新中期経営計画では、最終年度の2019年6月期までの3ヶ年のCAGR(年平均成長率)を、売上高で-2.1%、経常利益で12.9%としている。2017年6月期は、前期の急伸の反動とハウス・リースバック事業の先行投資を強化するため、6〜7%の減収減益を予想している。安定的に積み上がるストックビジネスが事業規模を大きくするに従い、2018年6月期以降は増益傾向に戻ると計画している。売上高経常利益率は、利益が倍増以上となった2016年6月期の6.8%を超え、2019年6月期には10.5%を想定している。
今後3ヶ年で売上高の総額の変動は小さいが、事業別構成比は大きく変わることになる。ストック型ビジネスであるフランチャイズ事業とハウス・リースバック事業を合わせた構成比は、2016年6月期の17.1%から2017年6月期に20.8%、2018年6月期に31.4%、2019年6月期に37.2%へ上がると想定している。利益面でのストック型ビジネスへの依存度は、2016年6月期の43.7%から3期間で55.8%→70.9%→75.8%と推移する計画でいる。ハウス・リースバック事業の収益は、2016年6月期時点では収支トントンであったのが、2019年6月期では全体の4分の1弱を占める。一方、在庫を抱えるリスクが高まる不動産売買事業は物件を厳選し、直営エリアでの堅実な仕入れに徹する。住宅・リフォーム事業は、リフォーム事業に傾斜する。
(1)フランチャイズ事業
フランチャイズ事業は、知名度及び信用度のアップに複数の業態を開発したことで、地域と加盟店の対象が拡大しつつある。ブランドやネットワークを必要とする中小不動産事業者、また新規に不動産流通事業に参入しようとする企業に対し、不動産売買仲介事業におけるノウハウ(集客戦略、IT戦略、教育研修、モチベーションアップ戦略等)を提供している。同社は、住まい・不動産に関わるサービスメーカーとして新しいサービスの開発・提供を進めてきた。他社に先駆けて開発したサービスには、「家・不動産買取専門店」による買取サービスや、住みながら家を売却できる「ハウス・リースバック」、最近では「不動産担保ローン」といった金融サービスなど、フランチャイズチェーンのバリューを新しいスキームの開発力とブランド力と評価するステージに入ってきたと言える。
累計加盟店契約数は、2016年6月期末の377店舗から2017年6月期に472店舗、2018年6月期に583店舗、2019年6月期に699店舗と急ピッチに増加させる計画でいる。
2012年に東京本社・京都本店体制を始動し、翌年には元プロ野球選手・監督、現解説者の古田敦也氏をイメージキャラクターに起用したブランド戦略を展開した。東証上場により、同社に対するイメージが京都の企業から全国区へとアップした。社会的信用が向上したこともあり、問い合わせから契約までの期間も短縮している。
2016年6月期末における377店舗の地域別店舗数の割合は、東海地区が3割弱と最も多く、創業した近畿地区の2割弱を上回っている。市場規模が近畿地区の2.5倍あるとみられる関東地区は、店舗数が近畿地区よりも若干多い水準にとどまっている。東海地域は、同社が目標とする地域別店舗数100店舗をオーバーしている。同地域では、実績店舗数が目標の半分を超えたところで認知度が高まり、ブランド力が向上した。関東地域及び近畿地域で、それぞれ100店舗を超えたところで、東海地域で見られたような質的変化が起きることが見込まれる。最終目標は全国1,000店舗であるが、500店舗を超えてからフランチャイズの加盟に弾みがつくことが予想される。
2013年10月から開始した家・不動産買取専門店は、不動産の売買仲介・買取りをメインとし、少人数で店舗運営する。地場の不動産売買仲介業者にとっては、月会費が固定で、加盟金が安く、ポスター、チラシ、DMなどにイメージキャラクターが使えることが魅力だ。テレビCMの効果も大きい。従来の不動産売買仲介店(サテライト店)との併設も奨励している。2016年6月期末の店舗数は70店舗に増加した。
2016年6月期のフランチャイズ事業の売上構成は、加盟金が23.7%、月会費が23.1%、システム料が10.4%、広告分担金が22.9%、備品売上が8.3%、その他が11.5%となった。同期における新規加盟契約数は119件であった。広告分担金は、集合的な広告宣伝に使用されるため、費用を徴収しているにすぎない。フランチャイズ事業の営業利益は1,110百万円となり、売上高営業利益率が59.1%の高水準であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2016年8月に、2017年6月期を初年度とする新3ヶ年中期経営計画を発表した。ちょうど1年前にも中期経営計画を発表しており、短期間での計画見直しとなった。前中期経営計画の1年目となる2016年6月期の業績は、売上高が前期比18.5%増、期初予想比5.6%増、経常利益が前期比2.3倍、期初予想比47.0%増と会社計画を大幅に上回った。利益への貢献度で筆頭のフランチャイズ事業は着実な伸びを見せたが、想定以上に好調だったのが不動産売買事業や住宅・リフォーム事業であった。この好業績が、かえってハウスドゥ<3457>に不動産市場の先行きに対する懸念を強めた。前中期経営計画では3年間で経営資源を労働集約型の不動産流通事業、住宅・リフォーム事業、不動産売買事業からストック型ビジネスであるフランチャイズ事業とハウス・リースバック事業にシフトすることを計画していた。新中期経営計画ではこの収益構造改革を加速し、不動産市場が変調を来しても持続的な成長をする全天候型経営への移行を急ぐ。
新中期経営計画では、最終年度の2019年6月期までの3ヶ年のCAGR(年平均成長率)を、売上高で-2.1%、経常利益で12.9%としている。2017年6月期は、前期の急伸の反動とハウス・リースバック事業の先行投資を強化するため、6〜7%の減収減益を予想している。安定的に積み上がるストックビジネスが事業規模を大きくするに従い、2018年6月期以降は増益傾向に戻ると計画している。売上高経常利益率は、利益が倍増以上となった2016年6月期の6.8%を超え、2019年6月期には10.5%を想定している。
今後3ヶ年で売上高の総額の変動は小さいが、事業別構成比は大きく変わることになる。ストック型ビジネスであるフランチャイズ事業とハウス・リースバック事業を合わせた構成比は、2016年6月期の17.1%から2017年6月期に20.8%、2018年6月期に31.4%、2019年6月期に37.2%へ上がると想定している。利益面でのストック型ビジネスへの依存度は、2016年6月期の43.7%から3期間で55.8%→70.9%→75.8%と推移する計画でいる。ハウス・リースバック事業の収益は、2016年6月期時点では収支トントンであったのが、2019年6月期では全体の4分の1弱を占める。一方、在庫を抱えるリスクが高まる不動産売買事業は物件を厳選し、直営エリアでの堅実な仕入れに徹する。住宅・リフォーム事業は、リフォーム事業に傾斜する。
(1)フランチャイズ事業
フランチャイズ事業は、知名度及び信用度のアップに複数の業態を開発したことで、地域と加盟店の対象が拡大しつつある。ブランドやネットワークを必要とする中小不動産事業者、また新規に不動産流通事業に参入しようとする企業に対し、不動産売買仲介事業におけるノウハウ(集客戦略、IT戦略、教育研修、モチベーションアップ戦略等)を提供している。同社は、住まい・不動産に関わるサービスメーカーとして新しいサービスの開発・提供を進めてきた。他社に先駆けて開発したサービスには、「家・不動産買取専門店」による買取サービスや、住みながら家を売却できる「ハウス・リースバック」、最近では「不動産担保ローン」といった金融サービスなど、フランチャイズチェーンのバリューを新しいスキームの開発力とブランド力と評価するステージに入ってきたと言える。
累計加盟店契約数は、2016年6月期末の377店舗から2017年6月期に472店舗、2018年6月期に583店舗、2019年6月期に699店舗と急ピッチに増加させる計画でいる。
2012年に東京本社・京都本店体制を始動し、翌年には元プロ野球選手・監督、現解説者の古田敦也氏をイメージキャラクターに起用したブランド戦略を展開した。東証上場により、同社に対するイメージが京都の企業から全国区へとアップした。社会的信用が向上したこともあり、問い合わせから契約までの期間も短縮している。
2016年6月期末における377店舗の地域別店舗数の割合は、東海地区が3割弱と最も多く、創業した近畿地区の2割弱を上回っている。市場規模が近畿地区の2.5倍あるとみられる関東地区は、店舗数が近畿地区よりも若干多い水準にとどまっている。東海地域は、同社が目標とする地域別店舗数100店舗をオーバーしている。同地域では、実績店舗数が目標の半分を超えたところで認知度が高まり、ブランド力が向上した。関東地域及び近畿地域で、それぞれ100店舗を超えたところで、東海地域で見られたような質的変化が起きることが見込まれる。最終目標は全国1,000店舗であるが、500店舗を超えてからフランチャイズの加盟に弾みがつくことが予想される。
2013年10月から開始した家・不動産買取専門店は、不動産の売買仲介・買取りをメインとし、少人数で店舗運営する。地場の不動産売買仲介業者にとっては、月会費が固定で、加盟金が安く、ポスター、チラシ、DMなどにイメージキャラクターが使えることが魅力だ。テレビCMの効果も大きい。従来の不動産売買仲介店(サテライト店)との併設も奨励している。2016年6月期末の店舗数は70店舗に増加した。
2016年6月期のフランチャイズ事業の売上構成は、加盟金が23.7%、月会費が23.1%、システム料が10.4%、広告分担金が22.9%、備品売上が8.3%、その他が11.5%となった。同期における新規加盟契約数は119件であった。広告分担金は、集合的な広告宣伝に使用されるため、費用を徴収しているにすぎない。フランチャイズ事業の営業利益は1,110百万円となり、売上高営業利益率が59.1%の高水準であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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