シノケンG Research Memo(1):東京の用地仕入れ強化により早期に年間アパート販売1,000棟を目指す
[16/10/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
シノケングループ<8909>は、アパート販売事業、マンション販売事業を2本柱とし、東京、福岡、名古屋など国内主要都市圏で事業展開。電話営業が主流の業界にあって、1990年に福岡で創業して以来、セミナーや広告などによるプル型営業を特徴としている。
アパート販売は、土地を持たないサラリーマン層に土地からあっせんするというアパート経営の常識を覆すビジネスモデル。フロービジネスのアパート販売やマンションの販売に伴い、不動産賃貸管理、家賃滞納保証などのストック収益が自動的に積み上がる仕組みになっている。2012年12月に福岡市の介護事業者を買収したのを皮切りに介護事業に参入。2014年2月にマンション施工の内製化を主目的に老舗中堅ゼネコンの(株)小川建設を買収し、ゼネコン事業にも事業領域を広げた。
リーマンショックによる損失計上で財務内容が悪化したが、その後の金融環境の好転を背景にした順調な業績回復により、2016年6月末には自己資本152億円、自己資本比率25.6%と財務内容の健全化が進んだ。
2016年12月期第2四半期累計(1月−6月)業績は、売上高364億円(前年同期比26.3%増)、営業利益51.7億円(同32.5%増)。第2四半期累計としては売上高、利益とも過去最高を更新した。7セグメントすべてで増収増益となった。
増収寄与が大きかったのはアパート販売事業で、販売棟数が230棟(前年同期比60棟増)と増加し、売上高は168億円(同37.8%増)となった。ただし、テレビCMや用地仕入れ要員の増加が費用先行となったことなどにより営業利益は16.5億円(同6.8%増)と小幅増にとどまった。アパートの受注棟数は、積極的な用地仕入れやテレビCM効果により373棟(前年同期比195棟)と倍増した結果、6月末の受注残は532棟と大幅に積み上がった。
増益をけん引したのはマンション販売事業で、売上高94.8億円(前年同期比18.2%増)、営業利益28.6億円(同48.0%増)。増収効果に加え、旺盛な投資用マンション需要を受け、値引きが少なく済み利益率が向上した。期初会社予想に対しては、売上高で24.2億円、営業利益で11.7億円、それぞれ上回った。マンション販売事業やゼネコン事業の利益率が想定以上となったことなどによる。
2016年12月期会社業績予想は、売上高720億円(前期比30.7%増)、営業利益75億円(同10.2%増)。期初予想が据え置かれたが、第2四半期累計の進捗率は、売上高50.6%、営業利益68.9%と高い上、アパートの受注残が豊富なことなどから会社予想を大幅に上回るだろう。アパート販売(引渡)棟数は600棟に迫るとみられる(前期は320棟)。経常利益が予想を10%以上上回った場合、期末に3円の特別配当を実施するとしているが、この条件はクリアするだろう。中期経営計画では最終期の2018年12月期に売上高960億円、営業利益94億円を掲げているが、営業利益は1年前倒しで達成できるとみている。
2015年1月からの相続税の課税強化を受け、相続税対策のアパートの着工が増加しており、市場では駅から遠いなど競争力の劣るアパートの空室率が上昇している。同社のアパート販売事業は、相続税対策ではなく資産形成を目的としており、主要都市圏の駅から10分圏内で用地を厳選してアパートを供給していることや、大手ハウスメーカーなどに比べ建築費が安く競争力のある家賃設定が可能なため非常に高い入居率を維持している。今後も入居率の悪化懸念は乏しいだろう。東京エリアに最注力し、早期に年間のアパート販売1,000棟を目指す。開発期間の長いマンション販売は拡大せず、横ばい圏で推移させる方針のようだ。
ストックビジネスはアパート、マンション販売に伴う自然増に加え、M&Aによって上乗せを図る計画。中期経営計画には織り込んでいないが、民泊にも関連法案の整備を待って参入を予定している。
■Check Point
・マイナス金利、年金不安などを背景にした旺盛な投資用アパート、投資用マンション需要を背景に業績続伸
・今後は東京におけるアパート販売の拡大が業績のけん引役になる見込み
・アパートの供給が増加しているが、利便性重視の立地と競争力のある家賃設定により空室率悪化懸念は乏しい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
<TN>
アパート販売は、土地を持たないサラリーマン層に土地からあっせんするというアパート経営の常識を覆すビジネスモデル。フロービジネスのアパート販売やマンションの販売に伴い、不動産賃貸管理、家賃滞納保証などのストック収益が自動的に積み上がる仕組みになっている。2012年12月に福岡市の介護事業者を買収したのを皮切りに介護事業に参入。2014年2月にマンション施工の内製化を主目的に老舗中堅ゼネコンの(株)小川建設を買収し、ゼネコン事業にも事業領域を広げた。
リーマンショックによる損失計上で財務内容が悪化したが、その後の金融環境の好転を背景にした順調な業績回復により、2016年6月末には自己資本152億円、自己資本比率25.6%と財務内容の健全化が進んだ。
2016年12月期第2四半期累計(1月−6月)業績は、売上高364億円(前年同期比26.3%増)、営業利益51.7億円(同32.5%増)。第2四半期累計としては売上高、利益とも過去最高を更新した。7セグメントすべてで増収増益となった。
増収寄与が大きかったのはアパート販売事業で、販売棟数が230棟(前年同期比60棟増)と増加し、売上高は168億円(同37.8%増)となった。ただし、テレビCMや用地仕入れ要員の増加が費用先行となったことなどにより営業利益は16.5億円(同6.8%増)と小幅増にとどまった。アパートの受注棟数は、積極的な用地仕入れやテレビCM効果により373棟(前年同期比195棟)と倍増した結果、6月末の受注残は532棟と大幅に積み上がった。
増益をけん引したのはマンション販売事業で、売上高94.8億円(前年同期比18.2%増)、営業利益28.6億円(同48.0%増)。増収効果に加え、旺盛な投資用マンション需要を受け、値引きが少なく済み利益率が向上した。期初会社予想に対しては、売上高で24.2億円、営業利益で11.7億円、それぞれ上回った。マンション販売事業やゼネコン事業の利益率が想定以上となったことなどによる。
2016年12月期会社業績予想は、売上高720億円(前期比30.7%増)、営業利益75億円(同10.2%増)。期初予想が据え置かれたが、第2四半期累計の進捗率は、売上高50.6%、営業利益68.9%と高い上、アパートの受注残が豊富なことなどから会社予想を大幅に上回るだろう。アパート販売(引渡)棟数は600棟に迫るとみられる(前期は320棟)。経常利益が予想を10%以上上回った場合、期末に3円の特別配当を実施するとしているが、この条件はクリアするだろう。中期経営計画では最終期の2018年12月期に売上高960億円、営業利益94億円を掲げているが、営業利益は1年前倒しで達成できるとみている。
2015年1月からの相続税の課税強化を受け、相続税対策のアパートの着工が増加しており、市場では駅から遠いなど競争力の劣るアパートの空室率が上昇している。同社のアパート販売事業は、相続税対策ではなく資産形成を目的としており、主要都市圏の駅から10分圏内で用地を厳選してアパートを供給していることや、大手ハウスメーカーなどに比べ建築費が安く競争力のある家賃設定が可能なため非常に高い入居率を維持している。今後も入居率の悪化懸念は乏しいだろう。東京エリアに最注力し、早期に年間のアパート販売1,000棟を目指す。開発期間の長いマンション販売は拡大せず、横ばい圏で推移させる方針のようだ。
ストックビジネスはアパート、マンション販売に伴う自然増に加え、M&Aによって上乗せを図る計画。中期経営計画には織り込んでいないが、民泊にも関連法案の整備を待って参入を予定している。
■Check Point
・マイナス金利、年金不安などを背景にした旺盛な投資用アパート、投資用マンション需要を背景に業績続伸
・今後は東京におけるアパート販売の拡大が業績のけん引役になる見込み
・アパートの供給が増加しているが、利便性重視の立地と競争力のある家賃設定により空室率悪化懸念は乏しい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)
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