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シノケンG Research Memo(4):広告宣伝費の増加を吸収し、期初会社予想を上回る好決算。アパート受注は急伸

注目トピックス 日本株
■決算動向

(1) 2016年12月期第2四半期業績概況

シノケングループ<8909>の2016年12月期第2四半期累計(1月-6月)決算は、売上高364億円(前年同期比26.3%増)、営業利益51.7億円(同32.5%増)、経常利益46.2億円(同19.6%増)、純利益30.2億円(同15.3%増)。7セグメントすべてで増収増益となり、第2四半期累計業績としては過去最高益を更新した。特に、マンション販売事業やゼネコン事業の利益率向上がけん引した。販管費が40.4億円(同42.4%増)と大幅に増加したが、これを吸収した。販管費の大幅増は、1)アパート販売事業拡大のための用地仕入れ要員の増員、2)今年1月に買収したアップルケアの新規連結、3)今年1月からの積極的なテレビCMの投下、などによる。6月末の従業員数(パート、アルバイトを含む)は、805人(前期末比170人増)と大幅に増加した。増加のうちアップルケアの新規連結による増加は60人程度のもよう。

期初会社業績予想に対しては、売上高で24.2億円、営業利益で11.7億円、経常利益で7.2億円、純利益で3.2億円、それぞれ上回った。マンション販売事業やゼネコン事業の利益率が想定以上になったことが上振れの主因となったもよう。営業利益に比べ、経常利益の上振れが少ないのは、海外のゼネコン事業に関し、円高進行により為替差損2.0億円が発生したためだ。

(2)主要セグメントの業績動向

a)アパート販売事業
セグメント業績は、売上高168億円(前年同期比37.8%増)、営業利益16.5億円(同6.8%増)。期初の受注残が389棟と高水準だったことを受け、販売(引渡)棟数が230棟(同60棟増)と拡大した。エリア別の販売状況は、名古屋が大きく伸びたほか、注力中の東京も増加したもよう。2014年12月に大阪オフィスを開設し、昨年初から受注活動を開始した大阪エリアも本格的に寄与し始めた。1棟当たり販売単価は7,324万円(同1.9%増)とおおむね横ばいだった。

増収率に比べ、営業増益率が小幅にとどまったのは、1)今年1月からの俳優の佐々木蔵之介(ささきくらのすけ)氏を起用したテレビCMの積極投下が費用先行となった(テレビCM費用は2〜3億円だったもようですべて当該セグメントに配賦された)、2)アパート用地の仕入れ拡大のための積極的な人員採用、3)土地代の高い東京エリアの比率がやや高まったことによる売上総利益率の低下、などによる。1)に関して付言すれば、受注から引渡まで通常、6〜8ヶ月を要するため、上期受注・上期引渡の棟数はわずかであり、テレビCM効果がP/Lに寄与するのは下期からとなる。

第2四半期累計の受注棟数は373棟(前年同期比2.1倍)。テレビCM効果と人員増による用地仕入れの増加を受け急伸した。第2四半期累計ではアパート購入者の属性の開示はないが、テレビCM効果により若年層や女性が増えているようである。1棟当たり受注単価は、8,340万円(同10.1%増)と8,000万円台に乗せてきた。エリア別の受注棟数は非開示だが、注力中の東京エリアの受注が大きく伸びたことが単価上昇の主因になったとみられる。好調な受注の結果、6月末の受注残は532棟(前期末比143棟増)と大幅に積み上がった。

b)マンション販売事業
セグメント業績は、売上高94.8億円(前年同期比18.2%増)、営業利益28.6億円(同48.0%増)。マンションの引渡戸数が347戸(同32戸増)と増加したことに加え、戸当たり単価が2,733万円(同7.3%増)とやや上昇した。

セグメントの売上高営業利益率は30.2%(前年同期比6.1pt増)と向上。この要因としては、1)マイナス金利下における個人の旺盛な投資用マンション需要を背景に値引きを抑制できた、2)子会社の小川建設による施工内製化率を約7割と2015年12月期通期の約5割から高めるなどのコストコントロールが功を奏した、3)テレビCMの効果は当該セグメントにも及んでいるが、費用は当該セグメントには配賦されていない、4)当該セグメントは年間販売戸数を530〜540戸程度にとどめる方針で規模の拡大を追っていないため、人員増が限定的である、などが挙げられる。

c)ゼネコン事業
セグメント業績は、売上高50.1億円(前年同期比9.7%増)、営業利益7.9億円(同49.4%増)。労務費高騰に対する発注者の理解が進んでいることによる受注時採算の好転などにより、工事利益率が想定以上に改善し、大幅増益となった。なお、第2四半期累計の受注高は非開示。

d)不動産賃貸管理事業
セグメント業績は、売上高37.2億円(前年同期比18.8%増)、営業利益4.6億円(同58.6%増)。アパート、マンションの販売進捗に伴い、6月末の賃貸管理戸数は20,070戸(前期末比1,809戸増)と順調に積み上がった。マンション管理組合から受託するマンション管理戸数も4,457戸(同752戸増)と順調に拡大した。ストック拡大に伴う管理収入の増加に加え、管理物件のオーナーチェンジが多かったため売買仲介手数料が増加し、増益に寄与した。

(3)財務内容

アパート販売事業の業容拡大に向けた積極的なアパート用地の仕入れにより6月末の棚卸資産(販売用不動産+不動産事業支出金)は350億円(前期末比58億円増)と拡大した。これを主因に6月末の総資産は594億円(同70億円増)となった。一方、期間利益の積み上げにより、6月末の自己資本は152億円(同28億円増)となり、自己資本比率は25.6%(同2.1pt増)と改善した。現下の非常に良好なデットの資金調達環境では問題のない水準であるが、早期に30%まで高めたいとしている。

なお、アパートの販売用不動産の約9割は既に受注済み。これはアパート用地仕入れの手付けを打った時点で受注活動を開始し、用地代金を決済するまでに通常、ほぼ受注を終えているためである(残り約10%が未受注となっているのは、アパートローンの否認や、キャンセル発生などによる)。したがって、アパートの販売用不動産から棚卸資産評価損が発生する恐れはほぼない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)



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