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シンワアート Research Memo(5):医療ツーリズムと保険代理店事業に新規事業として取り組む

注目トピックス 日本株
■新規事業における進展

シンワアートオークション<2437>の2016年5月期は、今後の収益ドライバーとなり得る新規事業として、医療ツーリズムとキャプティブ設立コンサルティングにおける事業モデルの構築に取り組んだ。各事業概要は以下のとおりである。

(1)医療ツーリズムの事業モデル

2016年1月にマーケティング拠点を香港に開設※1するとともに、中国銀聯カード※2の決済機能を保有するCoporate Business Network Limitedとの業務提携により、決済プラットフォームの構築を目的とした合弁会社(出資比率は50%ずつ)を設立した。

※1同社の連結子会社であるエーペックが香港の休眠会社の株式を100%取得し、名称を「Shinwa Medico Hong Kong Limited」に変更した。
※2銀聯(ぎんれん)とは、中国の中国人民銀行の主導で2002年に設立された決済ネットワークで、決済後すぐに銀行の口座から代金が引き落とされるデビット方式であるところに特徴がある。現金を除くと中国国内では最も普及している決済手段となっている。

この合弁事業を通じて、Coporate Business Network Limitedは中国銀聯カードの決済プラットフォームの具体的な運用を担う一方、Shinwa Medico Hong Kong Limitedは各地の旅行代理店との連携により中国・アジアからのインバウンド旅行者へのマーケティングを行うと同時に、決済プラットフォームに加盟する日本国内の医療機関の開拓を行う。

医療ツーリズムにおける事業モデルの特徴はこの決済プラットフォームにある。医療機関にとっては、安心して決済機能を利用できるほか、各種情報提供機能やサービスが備わっており加盟するメリットが大きい。また、同社にとっても、医療機関を囲い込むことでスケールメリットの享受やネットワーク外部性を働かせることができ、1人勝ちの事業モデルとなり得る。なお、同社には、決済手数料のほか、旅行代理店とのレベニューシェア(収益配分)により収益が積み上がる仕組みとなっているようだ。

(2)保険代理店事業(地震保険キャプティブ設立コンサルティング)

キャプティブとは、自社のリスクを専門的に引き受ける再保険子会社のことである。キャプティブを活用することにより、保険会社へ移転したリスクと保険料の一部を再保険の仕組みを使って、再度キャプティブへ移転し自家保険化することができる。事故発生率の抑制等を通じて、自社のリスク移転コストの効率化(収益性の向上)が可能となる。

同社は、これまで子会社エーペックを通じて、太陽光発電施設に付与する損害保険の代理店事業を行ってきた。本事業への参入により、これまで加入しにくいと考えられてきた地震保険※について、画期的なカスタムメイドにより様々なオプションを提案するところに狙いがあるようだ。具体的には、日本の元受保険会社の提供する地震保険の販売代理店として保険商品の販売を行うとともに、海外での再保険会社(キャプティブ)設立及び再々保険の利用を通じて効率的なリスクマネジメントの実現等を提案することが可能になる。

※地震保険は単独では加入できず(火災保険とセット)、保険金額にも上限(主契約である火災保険の50%まで)が設定されていることから補償機能に限界がある。

非常に高度な金融知識が必要とされるが、外資系金融機関に勤務経験のある代表取締役社長の倉田陽一郎(くらたよういちろう)氏にとっては、なじみのある領域と考えられる。また、同社においても米国ハワイ州のキャプティブの仕組みを利用して、海外再保険会社「APEC Reinsurance Co.,Ltd.」(エーペック子会社)を設立した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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